魚捕りに伴う危険

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魚捕り 危険な側面のみが過度に強調され、人が水辺から遠ざかることには疑問を感じますが、水辺にはたくさんの危険が隠れています。 楽しく安全に魚捕りができるように、予め水辺の危険を理解し、危険を感じたら迅速に危険回避の行動を取るようにします。

一般的な水辺の危険
川の構造にひそむ危険
川の増水による危険
装備による危険
熱中症、低体温症による危険
危険生物や不快生物との遭遇による危険

一般的な水辺の危険

(1)水の性質による危険
急に深くなる危険 水の屈折率は空気より大きいため、見た目よりも深い場合があります。足元を確認しながらゆっくりと川に入るようにします。 また水は想像以上に重いものです。流れが急な瀬などを横断する際はかなりの水圧を受けます。足元を確認しながら注意して歩くようにします。
(2)水底が見えない事による危険
水が濁っているところや水草で水面が覆われているところは、川底を確認することができません。 不安定な石や水草があって足を取られ転倒したり、泥底に足を取られ抜けなくなったりする可能性があります。 また急に深くなっていたり、危険なゴミが落ちていたりする可能性もあります。 タモ網の柄や長い棒で水深や水底の状態を探るなどをして安全を確認するようにします。
(3)滑ったり転倒したりする危険
砂で引きずり込まれる危険 水が透明で日がよく当たるところの石や水に浸かった平らな堰堤などは、「コケ」が生えていて大変滑りやすい状態になっています。 また、川の流れの作用によりできた「ふかふかの砂」にも注意が必要です。足を取られ、深みに引きずり込まれる場合があります。 右の写真は、手前下から川が本流に流れ込んでいる合流部の写真です。 先端部に堆積した砂底は大変柔らかく体重を乗せたら一気に崩れ、奥の反転流が渦巻く深みに引きずり込まれまれるでしょう。大変危険な場所です。 さらには「ゴロゴロした石」にも注意が必要です。 滑りやすいだけでなく、石と石の間に足が挟まれ転倒すると、流れがあるところでは上体が強い水圧で押され身動きが取れなくなる場合があります。

川の構造にひそむ危険

(1)取水口や揚水口の周辺
農業用水や発電用に、河川や湖の水を取り込んだりポンプを使って水を吸い込んでいるところがあります。 見た目より流れは早く複雑で危険な場所のひとつです。 水の取り込み口には鉄の柵などが設けられていますが水圧が強く、誤って人が張り付いてしまった場合は脱出が困難になります。
(2)堰や水門
砂で引きずり込まれる危険 堰や水門は川の流れを堰き止めているところです。規模に大小がありますが、流れが滝のようになっていたり深みを形成したりしています。 魚が寄りつく場所として釣りのポイントのひとつですが、堰の下は滝壺のようになっていることもあります。 複雑な流れや逆反転流があり、うっかり入ってしまうと引きずり込まれ脱出できない可能性があります。 農業用水路でも所々に堰や水門が設けられています。魚捕りをしていると上流側の堰や水門が突然開けられ一気に大量の水が流れ込んでくる場合があります。
(3)地下埋設になる用水路
用水路によっては、流れ先が地下埋設管となっているところがあります。右上の写真は農業用水路途中にある取水口です。 写真右側の鉄の柵の向こう側は長く地下埋設になっています。深く、流れはかなり早く複雑で、近寄りたくない場所です。

川の増水による危険

ダムの放水注意川の増水注意 魚捕りをしてるときは、絶えず周囲の様子を気にするようにするべきです。天気や水の変化に素早く気付いて正しい判断ができるようにするためです。
水は上流から下流に流れるので、魚捕りをしている場所に加え、川の上流にも注意を払うようにします。 雷が聞こえたり雨の臭いがしてきたり、山側の空に雨雲や入道雲が現れたりした場合は要注意です。 今いる場所は水かさが少なくて安全だと思えても、急に水が濁ってきた、普段流れてこない流木や草や落ち葉が流れてきた、 急に水が冷たくなってきたということがあったら、迷わず川から離るべきです。 時に川の増水は我々の想像を超える速さで進みます。周囲の状況をみて、危ないかもと思ったら、すぐに魚捕りを止めて川からあがるようにします。
上左の写真は神戸の都市河川にあった看板です。 神戸は山と海に挟まれた狭い区間を縦に流れ下る河川が多く、その多くが急な増水を引き起こす構造をしています。 また、上右の写真のように上流にダムがある河川の場合、ダムによる放水で急な増水が起こることがあります。 前者と異なるのは天気が良くても発生する場合があることです。予兆を感じたら、早め早めに安全行動を取るようにします。
氾濫した淀川 左の写真は、2013年9月に通過した台風18号により激しく増水した淀川下流部の様子です。 写真の左半分は淀川本流、右半分は河川公園としてサッカーグランドや駐車場が整備されているところです。 かろうじて頭を出している白い柵や半分沈んだサッカーゴールが見えますが、河川公園はどこ?というくらいに完全に水没してしまっています。 普段は緩やかに流れている本流も、水位高く濁流がごうごうと音を出し白波を立てながら流れ、飲み込まれそうなその様子に怖さを感じました。 このような大雨による氾濫は河川に溜まった汚れを一気に洗い流したり、多様な河川環境を生み出したりする作用をもちますが、 その一方で我々の生命や財産を危険にさらす可能性があります。

装備による危険

(1) ウェダー(胴長)
ウェダーを着用したままで川や池で転ぶと、空気の入ったウェダーが浮き袋の役目をして浮き上がり、 上半身が水面下に沈んだ体勢になり溺れる危険があります。 足元の空気を抜き腰のベルトをしっかりと巻いておくことが大切ですが、それでも転ぶと足が浮いてなかなか立ち上がれないと聞きます。 滑りにくい底がフェルト地のものを着用するにようにしたり、ライフジャケットを着用するようにします。 あるいはウェダーは危険な装備であると考え、着用しないようにします。
(2)ライフジャケット
ライフジャケットも着ているだけではダメで、きちんと着用する必要があります。 いい加減につけていると、いざ流されたときにずり上がり、バンザイの状態で流されてしまいます。

熱中症、低体温症による危険

夏の魚捕りでは、熱中症になる可能性があります。水辺は涼しいので大丈夫とは言い切れません。 陰になるようなところは決して多くなく、魚捕りに夢中になっている間、容赦なく降り注ぐ直射日光にさらされることになります。 帽子やタオルなどをかぶり、スポーツ飲料などの水分を十分に取るようにします。
また、長時間水に浸かっていることで体温を奪われ、低体温症になることがあります。水中ではより早く体温が奪われます。 特に流れのあるところでは、常に冷たい水が体にあたり続けるため注意が必要です。 時間を決めて水からあがるようにしたり、温かい飲み物を用意しておくなどの対策をとるようにします。

危険生物や不快生物との遭遇による危険

魚捕りでは、いつもお目当ての生き物ばかりに出会えるとは限りません。時には会いたくもない危険生物や不快生物に遭遇することもあります。 中には危害を加える種類もありますが、彼らは人間に危害を加えるために襲ってくるのではなく、あくまでも自己防衛のためであることを知っておくべきです。
河原に良くある毒蛇注意の看板 (1)ヘビ
最も注意すべきはマムシです。自己防衛のための高い攻撃性をもつ毒ヘビで、近くを通りかかると体温や震動で跳びかかって噛み付きます。 田んぼのあぜや水辺などの湿気の多い草むらなどに生息しており、マムシ注意の看板をよく見かけます。 全長は30~60cmくらいで、全体的に寸胴な印象を受けます。頭が三角形で、背中に菱形の大柄な模様があります。 また水辺にはヤマカガシもいます。体色は灰色がかった緑褐色をしていますマムシほど攻撃性は高くなく、襲ってくることはないようです。
実際にこれらの毒蛇にかまれるのは、知らずに踏みつけたり、触れたりしたときです。 岸辺を歩く際には、タモ網の柄や木の棒などを使って前を叩きながら探り、安全を確かめてから行動するようにします。 もし毒蛇を見つけたら、長い棒などでそっと追い払いようにするか、身の安全のため無理をせずその場での採捕をあきらめます。
(2)スズメバチの仲間
毒をもつヘビと並び、注意したいのがスズメバチの仲間です。 里山や水田地帯には水辺にクヌギやコナラなどの雑木が植えられていることが多く、暖かい季節には樹液にスズメバチが集まっています。 土手の草むらに隠された土の穴、橋桁の下、石組みの間にも巣があることがあります。 ゆっくりと旋回しているものは偵察隊ですが、カチカチという警戒音を出しているような場合は、大変危険なので早々に立ち去ります。 動くものに攻撃性を見せるので、近くに寄ってきた場合は少し怖いですが、立ち去るまで慌てず騒がずじーっとしている方が良いです。 また昼間は黒っぽいものに攻撃してきます。明るい色の服を着たり、髪の毛を明るい色のタオルや帽子で被うなどの工夫があれば、なお安心です。
(3)ヒキガエル、イモリ
共に皮膚から毒を出します。ヒキガエルの毒は神経毒で、皮膚や粘膜を刺激して炎症を起こすのでうかつには触らないようにします。 イモリは危険を感じると皮膚から白い体液を出します。毒性は強くはありませんが、フグと同じテトロドトキシンです。 粘膜に触れると炎症をおこすことがあるので、すぐに洗い流すようにします。
(4)スッポン
想像以上に首が伸びます。イシガメなどを扱うように甲羅をつかんで持ち上げたりすると首をグーッと伸ばして指に噛み付いてきます。 もしスッポンに噛み付かれたら、慌てずそっと水の中に戻します。たいていの場合は、泳いで逃げていきます。
ノバラのトゲにも注意 (5) ウルシの仲間など
ウルシにはウルシオールという物質が含まれていて、それが体内に入るとアレルギーによりかぶれが起こり発疹や腫れが出ます。 皮膚に弱い人であれば近づくだけでかぶれることがあるそうです。草むらや灌木のそばを歩くときは注意が必要です。 ウルシ以外にも、イラクサのように葉や茎の表面にある刺毛に接触するとかぶれを起こすものがあります。 これはアレルギーではなく、その植物がもつヒスタミン系などの毒性物質が皮膚に入るからです。 また、川岸には右図のようなバラ科の植物も多く見られ、トゲが刺さって擦り傷をつくる場合もあります。 草むらを歩くときには皮膚の露出部をできるだけ少なくなるようにします。

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