カエル・サンショウウオの仲間
両生類であるカエルは、卵からオタマジャクシの間は水中で生活するため、水辺なしには生きていけません。
食う、食われるの食物連鎖の中間ぐらいにいる生物であることから、カエルがいるということは、自然が失われていない目安にもなると考えられます。
ピョンピョン跳ぶ動作や、舌をビロ~ンと伸ばすエサの捕り方、裂けた口に大きな目をした愛嬌のある顔が印象的です。
・ニホンアマガエル
・トノサマガエル
・ナゴヤダルマガエル
・トウキョウダルマガエル
・ヌマガエル
・ツチガエル
・ムカシツチガエル
・シュレーゲルアオガエル
・ヒキガエル
・カジカガエル
・ニホンアカガエル
・タゴガエル
・ウシガエル(国外外来種)
・カエルの幼生:オタマジャクシ
・オオサンショウウオ
・ヤマトサンショウウオ
・番外:シマヘビ
・番外:アオダイショウ
ニホンアマガエル
比較的開けた水辺やその周辺、湿地などに生息し、特に田んぼとその周辺でよく見られる。
吸盤が発達していて、水辺の背の高い草の上にちょこんと居座っている姿を見ることも多い。
雨が降りそうなときや湿度が向上した際に、のどをふくらませて騒がしく鳴く。アマガエルと言う名はそれを表しているのだろう。
鳴き声は「グェコ、グェコ、グェコ」といった具合。
全長は3cm程度で、雌の方が雄よりもやや大きくなる。周囲の環境に合わせて、緑色、茶色、灰褐色など、様々に体色を変えることもできる。
鼻のあたりから目にかけて黒筋があり、これがよく似た種類と見分けるわかりやすいポイントだ。
吸盤が発達しており木やコンクリート壁でも上れること、一時水域でも産卵できることから、圃場整備された環境でも目にすることが多い。
繁殖期は春で、その頃には夜間水際で盛んに鳴く雄の姿が見られる。
皮膚からは毒性のある物質が分泌されるそうだ。直接触った手で目などを擦らないようにした方が良いだろう。
以前、朝日放送のナイトスクープという番組で体色が水色の本種が放送されていた。まるでポスターカラーを塗ったような感じだった。
ニホンアマガエルは黄、青、黒の三色素をもつらしいが、水色の個体は黄の色素がない突然変異個体だという。
水色以外にも、黄色の強い個体や黒筋のない個体もいるという。
トノサマガエル
本種は日本のカエルの中では最も有名ではないだろうか。田んぼを代表するカエルのひとつだ。東京や仙台方面には生息していないそうだ。
スラリと長い足で悠然としている姿から殿様の名が与えられたという。背中に白や緑の筋が入ることが多く、体の黒斑がつながっている。
鼻先が長く、目が横向きに付いているため、見ようによってはきつい顔をしている。
体色や体の大きさに雌雄の差があり、雌は8cm程度で灰褐色で地味、雄は4cm程度とより小さく体色も緑色や山吹色をしている。
跳躍力が強く、陸上、水中ともに動きはかなり素早い。ヌマガエルのように追いかけながら容易に手づかみできるような種ではない。
雄は、水に浮きながら目の下にある袋をふくらませて「グルグル、ゲゲゲ」と鳴く。
田んぼに水が入る頃、真っ先に姿を現して産卵しオタマジャクシは田んぼで育つ。
田んぼにいる様々な小動物を食し、当然稲の害虫であるウンカやイナゴなども食べるので、作物の害虫防除に役立ってくれている。
手頃な大きさで、観察しやすいことから理科の解剖教材としてよく扱われた。
まだ広く分布しており、多くの個体数が確認できるところも残されているが、圃場整備が進んだところではあまり見かけなくなった。
個体数がかなり減ってきたように思う。
ナゴヤダルマガエル
平野の田んぼや沼の周辺で見られる。
トノサマガエルに似るが、体の黒斑が独立しており、口先がやや短く、手足が短くて胴部が丸みをやや帯び、全体の印象としてずんぐりしている。
ずんぐりしているからダルマの名がある。体色は緑色から茶褐色までいろいろな個体を見かける。体長は4~7cm。本種も雌は雄より大きくなる。
産卵は田んぼに水が入る頃に行われ、トノサマガエルよりやや遅いそうだ。トノサマガエルと分布が重なる地域では自然交雑するらしい。
最近は子苗を機械植えするため水田に水を張る時期が遅くなり、
産卵期の早いトノサマガエルとやや遅れる本種の産卵期が重なる結果、雑種が増えてきているという。
雄は縄張りをもち、水面で鳴きながら雌を待つ。鳴き声は「ゲェ~、ゲェ~」という感じだ。
本種は田んぼを生活のベースとしており、田んぼの環境変化には敏感だ。各地で減少が著しく、レッドリストに記載されている。
乾田化により冬季には水がなくなってしまうことやコンクリートで三面護岸化された水路は、肢が短くジャンプ力に乏しい本種にとって大きな障害となる。
圃場整備などにより、田んぼの環境が変化したことが大きな原因だ。
トウキョウダルマガエル
平野や山間部の水田地帯に生息する。
トノサマガエルに似るが、体の黒斑が独立しており、口先がやや短く、手足が短くて胴部が丸みを帯びて、全体的にずんぐりしている。
背面には明朗な背中線があり、個々の黒色斑が独立している。体色は緑色から褐色で、トノサマガエルのような雌雄差は見られない。
関東平野にはトノサマガエルは生息していないので、例えば東京都内でトノサマガエルと思われているものは本種だ。
体長は4~8cmで、雌は雄より大きくなる。繁殖は4月~7月。水が入った田んぼなどで行われる。雄は縄張りをもち水面に浮きながら鳴いて雌を待つ。
雄の鳴き声は「ンゲゲゲゲ」といった感じだ。
卵は水面に広がるような形であったり、水草などに一部が付着して小さな卵塊状であったりする。
昆虫類やクモ、多足類などを食べる動物食。冬季になると水の干上がった水田の泥の中や藁の下などに潜って冬眠する。
圃場整備などの開発による生息環境の破壊などが原因で生息数は減少している。
ヌマガエル
水田、湿地、池沼などの水辺にいる。生息範囲は広く、水田の周りでは最も多く見られ馴染み深い。近年多い乾田化された水田地帯でも普通に見られる。
昼間は水辺近くの草むらなどに隠れているが、いるところには大量にいて、畦を歩くと次から次へと水田にジャンプする。
ツチガエルによく似るが、背中はヌルヌルしていて、ツチガエルほど背中のイボは大きくなく、ツチガエルとは異なり腹部が白い。
この白い腹部が最もわかりやすい区別ポイントだ。体長は3~5cm程度でずんぐりした体形をしており、本種も雌の方が大きい。
繁殖期は4~8月と長く、雄は「ギャウ、ギャウ」とのど元をハート形にふくらませて大声で鳴く。
産卵は田んぼなどで行われる。オタマジャクシは40℃程度の高温でも生きることができ、水田という環境に適した種であると考えられる。
それはヌマと名が付くものの、英語名がIndian Rice Frogであるからもわかる。
動きもそんなに素早くなくジャンプの距離もたいしたことがないので、子供の良き遊び相手になってくれる。
ツチガエル
平地や低山地の水田、池沼、河川などの水場に多い。水田の周囲に多いが、湿ったところでやや丘陵地に多く分布しているように思う。
体長は3~5cm程度で雌の方が大きい。背中にはイボ状の突起がたくさんあり、いわゆる「イボガエル」と呼ばれる種だ。
学名にもヒダやシワが多いという意味が含められているという。
大人しいカエルで、近寄っても逃げないことも多く捕まえるのは比較的簡単だ。鳴き声は低い声で「ギュ~、ギュ~」と聞こえる。
他のカエルと違うのは、皮膚がヌルヌルしておらずカサカサで、触った感じはザラッとしているところだ。独特の感触がある。
また、掴むと皮膚から粘液を出して、それが何とも言えないすっぱい臭いがすることも特徴的。この臭いで蛇などからの補食を免れているという。
大きさも形もヌマガエルとよく似ているが、本種は腹面が汚れた灰色であることで区別できる。
ムカシツチガエル
2022年に新種発表されたツチガエルの仲間。これまでツチガエルとされていたが、
東北太平洋側から関東にかけて生息しているものは遺伝的に大きく異なることなどが判明し、ムカシツチガエルと命名された。
本種は、大陸産の祖先系統から古い時代に分岐し、ツチガエル誕生以前から我が国に生息する、日本古来の土着系統であることがわかっている。
本種とツチガエルは見た目がほとんど変わらないが、オタマジャクシのときに、腹側に見える模様が、本種ではよりはっきり見える特徴がある。
シュレーゲルアオガエル
平地や低い山地の水田の近くに多い。灌木や大きな草の上で暮らし、小昆虫を補食する。
よく見かけるニホンアマガエルに似るが、鼻のあたりから目にかけての黒筋がないので、これさえ押さえておけば区別は可能だ。
体長は3~5cmくらいで雌の方がずいぶん大きい。体は黄緑色や緑色をしているが、環境などにより暗褐色にもなる。目の虹彩は金色だ。
四肢の指には発達した吸盤があってペタペタとしているが、水かきはあまり発達していない。繁殖期は4~6月で産卵は田んぼの畦で行われる。
雄は「クリリ、クリリ」とか「キリリ、キリリ」と鳴き、その鳴き声は大変美しく個人的にはとても好きだ。
開けた場所で鳴かずに畦の土中や草の陰などで鳴くことが多いため、鳴き声は聞こえてもなかなか姿を見付けることができない。
実際、あちこちで本種の大合唱が行われている田んぼで、ついさっきまでそこで鳴いているのに草を分けて探しても姿が見えず、
不思議な思いを何度もしたことがある。
産卵も土中などで行われることが多く白い泡状の卵塊を産み付ける。幼生は雨天時などの増水で卵塊より流れ出して成長し、6月~8月に変態する。
ヒキガエル
雑木林の中やその周辺の草原など、常に水辺近くにいるわけではなく、陸上生活に適したカエル。
雨が降っている薄暗い林道などでのそのそと歩いている姿を見かける。おそらく繁殖期以外、水辺にはほとんど近づかないのではないだろうか。
体長は15cm程度と体は太く頑丈で、四肢は短くがっしりしている。
頭が大きく幅も広い。鳴き声は「コゥ、コゥ、コゥ」といった感じで、姿とは裏腹に案外かわいい。大小のイボイボがあり、掴んだりすると白色の毒液を出す。
これがいわゆる「ガマの油」であり、その成分はステロイドである。少量なら薬になるらしい。
跳ぶ力はあまりないようで、もっぱら歩くことが移動手段のようだ。昆虫などを食べる夜行性で、昼間は石の下や木の陰などに隠れている。
本種が生活するためには、雑木林のような森林と田んぼのような水辺の両者が必要になる。
典型的な里山の環境であるが、近年そのような環境が減ってきたり分断されたりして、数を減らしているという。
近畿にはニホンヒキガエルとアズマヒキガエルの2亜種とナガレヒキガエルがいて、いずれもよく似ている。
前2亜種を区別するポイントは耳腺と鼓膜の大きさ。
ニホンヒキガエルは耳腺と鼓膜が共に小さく、鼓膜が耳から離れている一方、アズマヒキガエルは耳腺と鼓膜が共に大きく、鼓膜が耳から近い。
残るナガレヒキガエルは四肢が長く、鼓膜が最も小さくて目立たない。
カジカガエル
水の綺麗な清流や付近の森林で見かけることができる。
初夏の繁殖期になると、雄は雌を呼ぶために渓流の瀬の岩に縄張りをつくり、その上で「フィーフィー」と鳴く。
この鳴き声が、雄鹿に似ていることから河鹿蛙の名がついた。美しい鳴き声が古くから愛され、和歌の材料になったこともある。
この鳴き声とは対照的に体は岩石に似た灰褐色の目立たない色をしている。
周囲の環境に合わせて体色を変化させることができるが、アオガエル科なのに緑色になることはないらしい。全長は4~6cm程度で雌の方が大きくなる。
体は扁平で岩の間に隠れることができ、急な流れに流されないように水中の岩に貼り付くこともできるそうだ。スゴイ。
卵は浮き石の下や岩の隙間に産み付けられ、オタマジャクシは流れの緩やかな場所や川沿いの水溜まりで藻類を食べて成長する。
河川工事により岸がコンクリートで固められ流れが直線的になるとオタマジャクシが留まることができず、本種が姿を消すことになる。
天然記念物に指定して保護をしている地域もある。
ニホンアカガエル
体が赤褐色だからアカガエル。顔は細くてとがり、体長は3~7cmくらいだ。平地から丘陵地にかけての草むらや雑木林などの地上で生活する。
産卵は早春の1月に始まり、水が溜まった田んぼや湿地、湿原などで行われる。繁殖活動を終えると春まで再び冬眠する。カエルの二度寝といったところか。
わざわざ冬眠を中断してまで早春に繁殖する理由は、
カエルの天敵となるヘビや、オタマジャクシの天敵である水生昆虫などが冬眠中であることが大きなメリットになるからだろう。
他の生き物が冬眠している時期に生まれ、天敵や競争相手となる生き物が動き出す頃には、小さいながらもカエルになって林に帰っていくという訳だ。
鳴き声は、「キョキョキョッ」といった感じ。後ろ足が長くジャンプ力に優れ、追われるとジャンプを繰り返して草むらに逃げていく。
よく似たカエルにヤマアカガエルがあるが、本種は背の側線が真っ直ぐであること、ノドの下が白やオレンジ色の単色で暗色斑がないことで区別できる。
タゴガエル
日本固有で、山間部の木が茂ったところを流れる小さな渓流近くにすむ。体長は3~6cm程度で、カエルの仲間では珍しく雌雄間に差はないそうだ。
外観はニホンアカガエルに似ているが、背の側線が目の後ろでゆるくVの字になっていることが異なり、
更によく似たヤマアカガエルとは、顎の下が不明瞭な細かい濃灰色模様をしていることや、
水かきの発達が悪く指と指の間が深く切れ込むことなどから区別される。その他頭部が幅広くてより薄っぺらい感じがする。
春に湧き水がある沢の礫底に産卵し、幼生はエサを食べずに卵黄の栄養のみで変態するところまで成長できるそうだ。
鳴き声は「グッグッグッ」と独特の声で鳴くが、穴の中や岩の隙間などで鳴くために見付けるのは難しいとされる。
しかし沢沿いの山道を歩いていると足元から跳び出してくることも結構あるので、そのような場所では見かける機会は少なくないと思う。
写真の個体は小山へハイキングに行ったときに出会った個体で、沢の近くで何匹かを確認できた。
写真を撮った後、小石や落ち葉の上を跳んだり歩いたりしながら、ちょっとした隙間に逃げ込んでいった。
ウシガエル (国外外来種)
「モー、モー」と聞こえないわけではないが、聞き様によってはウシの鳴き声のようにも聞こえる。「ブォー、ブォー」と鳴き、低く大きくよく響く。
平地性の種で、水深のある池や沼に多く草の茂った水辺にいる。1m以上も跳ぶことができて、泳ぎも潜水も達者なため、捕まえることが難しい。
1918年にアメリカ・ニューオリンズから食用として持ち込まれた。戦後は輸出向けに養殖されたが、養殖場の閉鎖による放逐などで全国に広がった。
いわゆる食用ガエルとして有名で、私の地元では「ショックン」と呼んでいた。
肉は鳥のササミのようと比喩されるが、今では下手物料理屋くらいでしか出されない。
雌1匹で最大万単位の卵を産み、爆発的に増殖する。大きくなると全長は15cm程度になり、オタマジャクシも特大ですぐに区別がつく。
生体はザリガニを好むが共食いもするし、他種のカエル、魚、鳥の雛など口に入るモノなら何でも貪欲に食べる。
このように大型かつ貪欲で環境の変化にも強いため、外来生物法により特定外来生物に指定されている。世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。
カエルの幼生:オタマジャクシ
ご存じカエルの幼生。春から夏にかけて多く見られる。丸い体に長い尾をもちエラ呼吸する。
プクプクした体を前に尾を左右に振りながらゆらゆら泳ぐ姿は可愛らしく愛嬌たっぷりだ。
池や用水路などの流れの緩やかなところに多いが、渓流にすむカジカガエルなどのオタマジャクシは、口で岩にくっつき流されないようにしているそうだ。
ニホンアカガエルのオタマジャクシなどは幼いうちは小さくて黒っぽく、ナマズの幼魚にそっくり。
成長すると後ろ足の次に前足が出てきて、尾は吸収され小さくなり、子ガエルとして陸上生活を始める。オタマジャクシは魚と両生類の間って感じだ。
オオサンショウウオ
特別天然記念物に指定されている日本固有のサンショウウオ。
世界最大の有尾両生類で、3千万年前からほとんど姿を変えていないため、「生きた化石」として世界的に有名。
河川の上中流域に生息していて、全長は1mを超えるが、一般には50cm~70cm程度。
ずんぐりた体形で、頭は縦扁していて大きく、手足は短くて、全長の1/3ほどの平たい尾をもつ。眼は探さないとわからないくらい小さい。
体色は茶褐色で不規則な黒い斑紋があり、生息地の川底に紛れる模様をしている。両生類であるが陸に上がることはまれ。
昼間は川岸の横穴や岩の陰などに隠れており、夜になると出てきて、小魚、エビ、サワガニ、カエルなどを食べる。
捕食は左右に大きく裂けた口を瞬間的に広げ、周囲の水ごと獲物を飲み込むダイナミックなもの。どんくさそうな外観とは対照的だ。
繁殖期は8月~9月で、川岸の横穴や大きな岩の陰で数珠状の卵塊を産み、雄は孵化するまで保護する。5年程度で成体になる。
京都府では人為的に持ち込まれた外来種チュウゴクサンショウウオが野生化しており、本種との交雑が問題になっている。
遺伝子汚染はかなり進行しているようで事態は深刻だ。
ヤマトサンショウウオ
サンショウウオというと、上に挙げた超有名なオオサンショウウオがまず思い浮かぶが、
本種はそれよりぐんと小さくて全長6~13cm前後の日本固有のサンショウウオ。
体色は変異に富むが薄褐色から濃褐色で、一般的には尾の上下が黄色く縁取られている。
丘陵地の水辺周辺に生息するが、普段は森林や雑木林などの倒木や落ち葉、瓦礫の下などに潜んでいて、夜間にミミズなどの土壌動物を食べている。
従って水辺に集まってくる繁殖期以外に野生個体を目にすることは非常に少なく、
私も夏のカブクワ採取の折、雨で帰りを急いでいた夜間の山道の脇で一度見たことがあるのみだ。
繁殖期は早春で、湧き水がある水辺に集まりコイル状の卵嚢を産む。幼生は水底で水生昆虫やミミズなどを食べて成長し、7~8月に変態上陸するようだ。
ちなみに、左上写真の個体はある民間企業が敷地内で採取した卵嚢から育てあげた変態上陸後の個体。
敷地内には裏山からの湧き水による貧栄養湿地が広がり、そこはハッチョウトンボや食虫植物などの希少種が多数生息していて、
生物多様性保全の場とされている。水が溜まるところには毎年本種の卵嚢がみられるそうで、一部を人工飼育することにしたそうだ。
初年度のチャレンジで卵からここまで順調に育て上げたのはお見事!
本種はこれまでカスミサンショウウオと呼ばれていたが、2019年に形態的、遺伝的に異なる9種に分ける説が提唱され、
写真の個体を含む近畿地方東部から東海地方に分布するものはヤマトサンショウウオとされた。
番外:シマヘビ
番外としてカエルの天敵のひとつヘビを紹介。本種は全長1m前後で河川敷にも多い。薄褐色の体に4本の黒筋が走る。
食性は幅広くネズミや小鳥などを食べるが、特にカエル類を好む。
無毒であるが神経質で動きは速く比較的攻撃的。木には登らず地表を這い回っているので、踏みつけないように注意する。
番外:アオダイショウ
番外としてヘビをもうひとつ紹介。大きい個体では全長が2mにもなる日本本土では最大のヘビ。毒はもたない。
山地から平野など幅広い環境にいるが、民家の庭先など人の近くでも多く見られる。
オリーブ色の体に4本の暗色縦条をもつが、幼蛇は梯子状の斑紋がある。これは毒蛇ニホンマムシへの擬態だと考えられているそうだ。
主にネズミなどの哺乳類や鳥類を食べ、得意な木登りで鳥の巣を襲うこともある。
左写真の個体は河川敷の窪みから体を出したかなり大きかった個体。草薮に突き当たったので引き返そうとして体を反転させると地面に横たわっていた。
都市部でも緑の多い河川敷では見かける機会が多い。
created:2012/1/13