カニの仲間

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川の上中流域で見られるカニの種類は多くなく、上流域ではサワガニを、中流域でモクズガニが見られる程度です。 しかし、汽水が混じる下流域になると生息しているカニの種類はかなり増加し、クロベンケイガニやケフサイソガニなどの汽水域にすむカニたちをはじめ、 河口に形成される良好な干潟には、ハクセンシオマネキやコメツキガニなどの可愛いカニたちが、せっせと餌を口に運んだり求愛ダンスをしたりしています。 見ていて飽きることがありません。
威嚇するカニサワガニ
モクズガニ
ハマガニ
アシハラガニ
アカテガニ
クロベンケイガニ
ケフサイソガニ
タカノケフサイソガニ
ハクセンシオマネキ
コメツキガニ
チゴガニ
ヤマトオサガニ
マメコブシガニ
ガザミ類

サワガニ

サワガニ 甲幅は2~3cm程度の小型のかわいいカニ。川の上中流域の谷川や清流、それにつながる水の綺麗な川や水路にすむ淡水性の日本固有種だ。 一生を淡水で過ごし、モクズガニのように産卵のために海に下ることがない。透き通った川の中を這っている場合もあるが、たいていは石の隙間に隠れている。 落水している所で水しぶきがかかる石の上やその隙間にいることも多く、暗色の石をバックにハサミのオレンジ色がよく映える。 垂直に近い崖を登っていることもあり、なかなかのクライマーだ。 一般的には写真のような体色のものが多いが、青灰色、茶褐色、薄黄色などバリエーションがあるようだ。 産卵期は夏で、その季節には卵や稚ガニを腹に抱いた雌を見ることができる。雑食性で小魚、植物、落ち葉など何でも食べているようだ。 多のカニと同様に腹を見て雌雄の区別ができるが、雄は片方のハサミが大きくなる。 素揚げにするとパリパリしておいしいが、肝臓ジストマなどの中間宿主になっているので、よく火が通っていることを確認してから食べた方が良い。

モクズガニ

モクズガニ 河川の中下流域で見かける。川を遡上、降下する性質をもつ。 繁殖期は10月から翌年6月までと長く、この時期には雄雌ともに河川下流域に下ってきて交尾をする。 孵化したゾエア幼生は汽水域から海で育ち、メガロパ幼生に変態した後、河川に遡上してくる。 本種の最大の特徴は、両方のハサミに密生したフサフサの房毛が生えることで、これが「藻くず」の名の由来となっている。 この房毛は水中ではボンボリ状に広がってハサミが大きく見える。 甲幅は10cm程度になり、頭胸甲はやや後方に拡がった六角形をしている。肉食性の強い雑食性で、昼間は水底の岩の隙間や水草の中に隠れている。 私の田舎では河川が可動堰で堰き止められたとき、可動堰とコンクリート川底の隙間によくいた。 美味で塩茹でして食べると大変おいしく、親父の好物でよく一緒に食べたものだ。 ただし本種は、吸虫類の中間宿主で、食用に際しては加熱を十分に行う必要があるので注意が必要。 子供の頃は本種が丸桶に入れられて街の魚屋さんでよく売られていたが、最近はそのような魚屋さんも見かけなくなった。 写真は湾に流入する河川下流部で捕まえた甲長7、8cmほどあった大きな雄。近づくとハサミを大きく振り上げて威嚇してきた。

ハマガニ

ハマガニ ヨシなどの植生が多い干潟の周囲や河口近くに生息する、甲幅は5cmくらい、ハサミを広げると20cmにもなる大型のカニ。 水中にはあまり入らず、ヨシの根元などに大きな穴を掘って体を潜めている。 甲は丸みを帯びた四角形で厳つく重厚感があり、額には縦の溝がある。ハサミはとても大きく平面はつるつるしていて、アケビ色が大変美しい。 縁取りがオレンジ色ってのもええ感じだ。体が大きく外敵に襲われにくいせいか、動きは比較的にぶくて簡単に手づかみできる。 しかし、ハマガニお得意の威嚇のポーズでこちらを向かれると、なかなか手を出せないだろう。 こんな厳つさなので、夜に獲物を襲ってガツガツやっているんだろなと思いきや、実はベジタリアンで、ヨシなどの植物の葉を食べている。 写真は、あまり見かけることがない晴れた日中に、干潟の脇にある小石の上を歩いていた個体。 最初はアシハラガニのでかいやつだと思ったが、アケビ色のハサミを見て本種と気づいた。 写真を撮ろうとして回り込むと、ハサミを大きく広げて全力で威嚇してくる。迫力満点な姿に「おおっ!」。

アシハラガニ

アシハラガニ 河口付近のヨシ原がある干潟周辺に生活している。 昼はヨシの根元付近に掘った巣穴に隠れていることも多いが、潮が引いた砂泥上などでエサを食べている姿や歩き回っている姿を見ることができる。 純淡水域までは生息せず、生息には海水が必要のようだ。甲幅は約4cmで体全体は特徴的な青灰色。 甲はやや横に長い四角形をしていて、両側に2つの大きな切れ込みがあり、淡い黄色で縁取られる。眼の下には小さなブツブツが並ぶ。 ハサミは大きく表面は滑らかでクリーム色だ。雑食性で主にデトリタスを食べており、干潟では掃除屋さんとして活躍している。 繁殖期は6~8月で、遅くとも2年で性成熟し、寿命は数年だという。 写真は昼間の干潟をウロウロしていた個体。ハサミが大きく眼の下のブツブツも粒が大きいので雄だ。 私が近づくと多くの個体は自分の巣穴や水中にそそくさと姿を隠したが、この個体は撮影モデルになってくれた。 しかし警戒はしていたようで、カメラを睨みながらゆっくりと脚を出し、逃げる間合いをはかっているようだった。

アカテガニ

アカテガニ 河口近くの中州のヨシ原や海岸沿いの林の近くなど、湿り気の多い場所に生息している。陸上生活に適応進化しており、比較的乾燥にも強い。 水中や水辺から遠く離れられない他のカニとの競争を避ける戦略を採ったカニだ。 甲は厚みのある四角形をしていて、表面は平滑、前側縁に切れ込みはない。甲幅は3cmくらいで、雄の方が大きい。 色は赤一色や薄褐色、緑褐色など変異に富んでいて、よく見ると甲の中央に「にこちゃんマーク」がある。 アカテガニの名が示す通り、手(ハサミ脚)が赤いことが特徴。雄のそれは大きく、光沢があり、先端は白くてよく目立つ。 ただし、小さな個体は色が薄くて全体的に山吹色をしている。 昼は他のカニが掘った巣穴や岩の隙間などの物陰に潜んでおり、夜間に活動する。動物質から植物質まで何でも食べる雑食性だ。 夏の大潮の夜の満潮時に、海岸や河川に集団で現れ、幼生を放出する。 雌が体の半分くらいまで水に浸かって、体を小刻みに震わせながら幼生を放出する様はテレビで見られた方も多いのではないだろうか。 ちなみに写真の個体は、夏の夕方、神戸の河川沿いの遊歩道で出会った雄。 普段は見かけないが、そのときは陸側に向かってゾロゾロと歩いていて、歩く人たちの注目を集めていた。

クロベンケイガニ

クロベンケイガニ 河川の汽水域、河口のヨシ原が発達した場所でよく見かける。ヨシ原の根本、草むら、土手、石組みの隙間などで普通に見られる。 水辺の土手などに巣穴を掘って生活しているため、コンクリート護岸のところでは見かけない。 水辺の近くで生活するが、成体は産卵期を除きほとんど水には入らないようだ。甲幅は35mm程度で体色は濃いオリーブ色、甲羅はゴツゴツしている。 このゴツゴツ感から厳つい弁慶の名がついたらしい。ハサミは紫がかった色で白色のブツブツがあり、脚には固く長い毛が生えている。 雑食性で草やミミズ、昆虫などを食べている。 夜行性で夕方になると巣穴から出てきて陸域でエサをあさり始めるが、曇りの日や雨の日であれば陸を歩いていることがある。

ケフサイソガニ

ケフサイソガニ 河川の汽水域、河口部に生息しており、転石の下やコンクリートブロックの間などにいる。 引き潮で現れた水際をじっと見ていると、丸い小石が重なったようなところでチョロチョロ動く本種がたくさん見られる。 ごく普通種ではあるが、淡水の影響があるところでしか見られないようだ。 甲幅3cm程度。甲羅は逆台形をしていて、背面は濃褐色から薄灰色で不規則な黒点があり、腹面は白く、パッと見た目はありふれている。 ただし特徴的なのは、雄成体はハサミの咬み合わせ部分に毛玉をもつこと。その毛玉は下で紹介する「タカノケフサイソガニ」より小さい。 また、頭胸部から腹部にかけてホクロのような黒点が散在し、特に腹部にこの黒点がある場合は本種であると区別できる。

タカノケフサイソガニ

タカノケフサイソガニ 上で説明した「ケフサイソガニ」と同所に見られる。生息地や外観に関するだいたいの特徴は、ケフサイソガニと同様だ。 本種は、これまでケフサイソガニと呼ばれていたが、ケフサイソガニにはケフサイソガニと本種の2種あることが97年に指摘され、 本種は05年に新種記載された。 違いは毛玉のサイズで、より大きい毛玉をもつ方が本種ということだ。また腹部にはケフサイソガニにあるような黒点をもたない。 長い間知られ、ありふれていた種が実は新種だったという事例は他にも見られるが、逆に種の定義というのは難しいのだなと思わされる。

ハクセンシオマネキ

ハクセンシオマネキ 砂質の干潟に群れで生息するスナガニの仲間。満潮線付近のやや硬いところに深さ20~30cm程度の巣穴を掘ってその周囲を縄張りにする。 甲幅は2cm程度と小型であるが、雄の片方のハサミが極端に大きいことが特徴。そのハサミは表面が平滑で白く、よく目立つ。 繁殖期の夏になると雄は巣穴の前でこの大きなハサミを懸命に振り回して、雌に求愛する。 その姿が白い扇を振って潮を招いているように見えるので「白扇潮招き」の名がある。雌はたいてい大きなハサミをもつ雄を選ぶようだ。 近づくと素早く巣穴に逃げ込むが、しばらくじっとしていると何事もなかったかのように再び外に出て活動し始める。 近年では河口域の干拓や護岸の造成などで好適な生息域が減少しているそうだが、 写真の個体が確認できた大阪湾の干潟では、その脇に座って周囲を見渡すと、たくさんのカニたちが活動していることに驚いた。 いつまでも残しておきたい環境である。

コメツキガニ

コメツキガニ 干潟の砂底、砂泥底に集団で生息する甲幅約1cm程度の丸っこい小さなカニ。干潟で最も一般的に見られるカニのひとつだ。 潮が引いた後の砂地にたくさんの小さな穴があり、その周囲にさらに小さな砂団子がたくさんあれば、本種がいる証だ。 甲は背面が膨らんで丸く砂地模様をしていて、周囲にうまく溶け込んでいる。 腹面やハサミの先端は赤紫色を帯びていて、砂をすくいとるためにハサミは細く先端が二又のフォークのようになっている。 本種は砂の中に含まれている有機物をえさとしており、 潮が引くと砂の中から出てきて、干潟表面の砂をハサミで掬い取って口に運び、こし取った後の砂を団子状においていく。 大変臆病で何か動くものがあるとサッと巣穴に引き込むが、気配を消して1分ほど待つと辺りをうかがいながら出てきて、 せっせせっせと砂団子をつくる様子が見られる。

チゴガニ

チゴガニ 本種もまた干潟で最も一般的に見られる甲幅が1cm程度の小型のカニ。 泥底に生息し、ハクセンシオマネキよりも水際に近い場所、コメツキガニよりも泥分の多い底質を好むようだ。 体のわりに眼が長く、甲は丸っぽい横長でやや六角形に近い形をしている。 体は全体的に灰褐色をしているが、胸部は水色をしていて、一様に濃灰色っぽい干潟に彩を与えている。 ハサミは左右対称で白い。干潟表面の泥をハサミでつまんで口に運び、泥の中の藻類をこし取って食べる。 食べ残しの泥は干潟におくが、泥はやわらかいのでコメツキガニのように団子状にはならない。 雄たちは白いハサミを振り上げて振り下ろす動作をして雌にアピールする。 えさを食べる合間にダンスをしているのか、ダンスをしている合間にえさを食べているのかわからないが、 周囲の雄たちとだいたい同じようなタイミングでダンスをするので面白い。

ヤマトオサガニ

ヤマトオサガニ 干潟の泥底に生息する甲幅4cm程度の比較的大きいカニ。甲は横長の長方形をしている。眼が長くて水中では潜望鏡のように使っている。 雄のハサミは特に大きくて色も白いので大変よく目立つ立派なものだが、捕まえても挟まれることがない。 ハサミの先が下向きなのは泥を口に運ぶ際に便利なのだろう。 本種の雄もまたダンスをするが、そのダンスはハサミを眼の前にそろえて背伸びをするような感じで、チゴガニなどと比べるとややスローに行われる。 ずぶずぶと沈むような柔らかい泥質で潮が引いてもあちこちに水が残るような場所に集団で生活していて、近づくと巣穴の奥に逃げ込んでなかなか出てこない。 写真の個体はしびれを切らして泥砂ごとすくって捕まえた。

マメコブシガニ

マメコブシガニ 干潟に生息していて、潮が引いても水が残っているようなところに多く見られる。砂によくもぐるが動きは早くないので捕まえるもの簡単。 干潟に生息するカニたちの多くは逃げ込むための巣穴をもつが、本種はもたない。 甲幅は15mmほどで甲は丸く、底の浅いおわんをひっくり返したような感じ。眼はかなり小さくて、正面から見ると可愛い。 繁殖期には雄が雌を後ろから抱きかかえるような形でペアになっている姿をよく見るが、これは雄がチャンスあれば交尾を狙っている状態だ。 見た目も大変ユニークなカニであるが、面白いのは前に向かって歩くこと。脚の付け根の構造が前後に動きやすくできているそうだ。 カニは横歩きをするものだと思い込むのは間違いだよと教えてくれる。

ガザミ類

ガザミ類 ガザミと言われてもピンと来ないが、ワタリガニと聞くと知っている人も多いだろう。甲幅が15cm程度になる大型のカニだ。たいへん美味で食用にされる。 甲は中央部が棘状に左右に突き出した横長の菱形。第4歩脚は脚の先が薄く平たい形に変形した「遊泳脚」となっていて水中をすばやく泳ぐことができる。 河川で成体を見ることはまずないが、河口付近の浅場や汽水域で干潮時に取り残された水溜りなどでは、 夏から初秋にかけて左写真のような数cmの稚ガニをたくさん見ることができる。 上から見ると砂泥底に体を埋めてじっとしていることが多いようだが、驚いて逃げたり、中には両ハサミをあげて威嚇したりしてくる勇ましい個体もいる。 稚ガニの体色は褐色で保護色になっているようだ。

last modified:2017/5/13
created:2012/1/13

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