アカザ(クレード1) Liobagrus
reinii species
complex Clade 1
アカザ科アカザ属
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【生息場所】
水のきれいな河川の上流域、中流域に生息している。瀬の浮石のあるところに生息する。夜行性で、昼間は岩や石の陰に隠れていることが多い。
【外観・生活】
日本固有種で全長は10cm程度。4対8本の太い口ひげがある。
アカザという名前が示すとおり体は赤褐色から暗赤色。頭は平たく縦扁し、上から見ると2つのこぶが盛り上がったように見える。
背びれは前方についていて、その後方に大きなあぶらびれをもつ。
あぶらびれは尾びれにつながり、尾びれの後端はゆるい弧を描く。背びれと胸びれに毒腺をもつ硬くて鋭いトゲがある。
刺されるとかなり痛いそうで、つかむときには注意が必要だ。産卵期は春の終わりから初夏で、雄は頭から背にかけて筋肉が盛り上がり、体が黒っぽくなる。
雌は石の下にゼリー質で覆われた卵を産み付け、雄はそれを保護する。流れのある石の間を伝わるようにニョロニョロと泳ぎ、主に水生昆虫を食べている。
【捕る】
主に夜間に活動し、昼間は岩や石の下、隙間などに隠れている。下流側にタモ網を構えて、石の隙間に足を入れて追い込んだり、石をひっくり返したりする。
一カ所で数匹がまとまって捕れることも多い。
【その他情報】
本種は「水のきれいさ」の生物指標として扱われる。
人為的な河川改修などの影響で、個体数は少なくなってきているらしく、環境省あるいは各都道府県で絶滅危惧種に指定されている。
遺伝的には大きく分化した2系統(クレード1、クレード2)があることがわかっている。
近畿には両系統が分布するようだが、本サイトの個体はいずれもクレード1と思われる。
ちなみに、北部九州で捕まえたクレード2はこ
ちら。
クレード1と比べて、体に白色点がない、尾びれの感じやひれの大きさなどの点で異なる。
アカザの名は、①若葉が赤い植物であるアカザに由来する、②背が赤褐色なので「赤背」の転訛かと言われる。
【コメント】
何とも奇妙な容姿、顔つきである。ナマズも上中流域の流れがあるところではこんな姿に進化するんだね。
8本の口ひげをもち川の中をニョロニョロと動く姿は、まるでドジョウとナマズを足して2で割ったようだ。すくい上げたタモ網の中でクネクネ動く様もなかなか可愛い。面白いのは、繁殖期の雄は筋肉が盛り上がって色黒マッチョマンになるということ。
そんな雄は雌にもてて、雌の奪い合いにも勝つのだろうが、人間界でも夏になると筋肉ムキムキで色黒い男性が出現する。同じだね。
本種は食用に向かずこれまであまり注目されてこなかったが、現在は生物指標として扱われおり、河川工事などにモノ言える貴重な種でもある。
本種が生息できる良好な環境が維持されていくことを願う。
早春に捕まえた個体。
赤茶色の独特の体形をしている。流れが早く石がゴロゴロしていているところで、いろんなサイズの個体が確認できた。自然度の高い環境に万歳。
春のはじめに捕まえた個体。
少しやせている印象を受ける。流れが速い瀬の石をどけるとタモ網にポツポツ入った。シマヨシノボリも同所でたくさん捕れた。
中流域の瀬でタモ網に入った。
全長10cmぐらい。コロッとした体形でお腹が大きい。がっつり獲物を食べた後なのかな。それとも卵もってる?
桜咲く数日前に捕まえた全長約10cmの個体。
石を蹴りこむとモクズガニやヨシノボリ類と一緒にタモ網に入った。 扁平した体をしていて、体色は赤褐色で薄い白色点が散在している。
全長約8cmのやや赤黒い個体。
中流域の石組の陰に隠れていた。
春に捕った個体。
流れのあるところの浮石の隙間を足で丁寧にゴソゴソすると捕れる。網の中でクネクネする姿が愛らしかった。
春に捕まえた若い個体。
白波が立つ瀬で、カボチャ大の石をゴロゴロどけて捕まえた。透明度の高い水が流れる川だったせいか、きれいな体色をしている。
雨後のやや増水した河川で捕まえた若い個体。
春に捕まえた「ややマッチョ」な個体。
ポッコリ2つに盛り上がった頭部が印象的だった。初夏の産卵期に向けてもっとマッチョに?
産卵期に向けてムキムキに。
頭部や背部の筋肉が盛り上がり、体色は黒っぽくなってくる。
春に捕まえたマッチョ君。
胸が厚く、まるでボディビルダーのようだ。頭部も2つのこぶがはっきり出ている。全長は8.5cmほどだった。
春の終わりに捕まえた個体。
全長7.5cm程度。早い流れの瀬で石をゴロリゴロリとひっくり返して捕まえた。尾に向けてスーッと広がる体形が美しい。
流れが強く当たるヨシの根元でタモ網に入った。
全長約6cmのきれいな体をした若い個体。
体長約5.5cmの若い個体。
梅雨のはじめに捕まえた個体。
大きな石をよっこいしょとどけると、その下流側に構えたタモ網に入ってくれた。個体差だろうが、この個体はひれの透明部分がやや広い。
夏に捕まえた個体。
体側に白色斑点が散在している。雨でやや増水した川は流れが強く、下流側にタモ網を構え、石をどけるやり方で捕まえやすい。
盛夏に捕った個体。
本種は水通しの良いところを好む。広い範囲で捕ることができるが、生息できる河川環境が少なくなっているのは残念なことだ。
夏に捕まえた個体。
本種が生息するような場所は真夏であっても冷たい水が気持ちいい。ずいぶん明るいオレンジ色をした個体がタモ網に入って驚いた。全長は8.5cmくらい。
案外珍しいかも。
秋の河川上流域で。
流れが早い瀬のゴロゴロする石の隙間にいた。この個体は捕れたときから明るい桜色だ。
秋の青空の下、雨で増水した瀬で捕まえた。
本種あるあるなんだけど、観察ケースに入れると、くたーっと体を傾けるので、撮影するタイミングに気をつかう。
全長は8cmぐらい。今年生まれと思われる小さな個体も捕まえた。
秋に捕った若い個体。
前日の雨のせいか、今日は出会うことができなかったなあと思っていたら、いつもとは違うポイントで捕った個体を息子がもってきてくれた。
全長8cm程度の個体。
白波を立てて流れる瀬の石の下に隙間があったので足で追い込むとタモ網に入った。いるだろうなと思ったところで捕ることができると嬉しいもんだ。
秋の終わりに捕まえた全長8.5cm程度の個体。
赤茶色の体側に脱色斑が散在する。クレード1の特徴のひとつだ。
秋の個体。口ひげがタコの脚のようにニョロニョロ。
この感じは少しグロイか?
秋の河川で。
全長10cmを越えた老齢個体。やせていて体形も崩れ始めている。
紅葉の季節に捕まえた個体。
水がさらさら流れる転石のあるところでも、石の両脇に水草が生えているようなところにはいない。
妙に黒っぽい個体が捕れた。
手に取ったとき特に腹部が黒いことに驚いた。これは・・・なんだ?
冬に捕まえた全長9cm程度の個体。
流れのある浮石の下に隠れていた。
夏に捕った全長3cmくらいの幼魚。
岩場の多い河川岸際の草の中に身を隠していた。小っちゃい個体は特にかわいい。
夏の終わりに捕まえた全長3cmの個体。
水がゴロゴロ流れるところの石をどけると、構えたタモ網に入ってくれた。
秋のはじめに捕まえた幼魚。
全長は5cmに満たないくらいだった。
大きな石がゴロゴロするとてもきれいな川の瀬にカジカやアジメドジョウと一緒に捕れた。
本種がたくさん生息できる
良好な河川環境が維持されることを望む。
上からの写真。上から見ると形はナマズの仲間だ。
胸びれにはトゲがあるのでうかつに握りしめないよう注意が必要だ。
繁殖期にある春の雄を上から。
体はやや黒ずみ、頭部が大きくなっている。
頭部を拡大するとこんな感じ。
ちなみに繁殖期ではない冬に捕まえた個体で、雄か雌かはわからない。
春のはじめに捕まえたお腹が大きい個体。
ぷくぷくしている感じで面白い。
初夏の産卵期の雄の頭部は筋肉が盛り上がる。
妙にマッチョだけど、腫れ上がったようにも見える・・・。どうした、ハチにでも刺されたのか?みたいな。
別個体。
GWに捕まえた個体だが、すでに頭部が盛り上がっている。こんなアングルで見ると、お尻みたい。
8本のひげをピンとはって
正面を向く姿は何とも愛らしい。どこか無邪気な印象を受ける。
上からつぶしたように扁平な頭だ。
本種ってこんなに口ひげが長かったっけ?
怒っている?
上と同じ個体を別アングルから。
ぷくっと見える口から伸びる口ひげが印象的だ。胸びれ前縁にある硬い骨が透けて見える。
背びれにも硬い骨をもつので本種はぎゅっと握るように扱ってはいけない。
狭い観察ケースの中で体を反転させたところ。
夜行性で昼間は石の陰などに隠れている本種は、観察ケース内の明るい場所が苦手だ。落ち着きなくうろうろする。
陸に上げて改めて気付いた。口ひげは白い。
created:2012/1/7