ビワヒガイ Sarcocheilichthys variegatus microoculus
コイ科ヒガイ亜科ヒガイ属

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ビワヒガイ

【生息場所】 琵琶湖及びその流入河川の主に下流部、瀬田川などにも生息している。砂底や砂礫底を好む。
【外観・生活】 琵琶湖固有亜種で全長は20cm程度。体は黄褐色で体側には黒色縦帯があり、黒色雲状斑が点在している。黒色縦帯は成長と共に不明瞭になるようだ。 繁殖期は春から夏にかけて。雄は婚姻色を帯び、眼の虹彩は赤く、頬は薄紫色、背は青空っぽい色になる。 亜種関係にあるカワヒガイに似るが、尾柄高が頭長の49%未満と低く、より吻が尖り、尾びれ後縁の切れ込みがより深いなどの違いがある。 体色の雲状斑もより粗く、繁殖期である春の雄の婚姻色もやや淡い。 常に水底近くを泳ぎ、水生昆虫の幼虫、小型の巻き貝、プランクトン動物、藻類などを食べている。
【捕る】 琵琶湖周辺にいる個体は釣りが楽だ。流入河川や琵琶湖沿岸部でアカムシをエサに簡単な仕掛けで釣れる。ホンモロコ釣りの外道としてかかることも多い。 琵琶湖に繋がる浅い用水路ではタモ網で捕ることもできる。
【その他情報】 本種の頭長には変異があり、琵琶湖の漁師さんは短頭型をトウマル、長頭型をツラナガ、その中間をヒガイと呼んでいるそうだ。 ヒガイの占める割合が最も多く、トウマルは瀬田川に、ツラナガは湖北の岩礁域に多いそうだが、 その変異は連続していて遺伝的・生態的な分化は見られないという。 また、琵琶湖とつながる淀川にはカワヒガイとビワヒガイの両亜種が生息しており、交雑も生じているそうだ。 明治天皇がお好きであったことから、古くから移植され、現在は全国各地に分布する。
【コメント】 琵琶湖固有のヒガイ、ビワヒガイである。琵琶湖周辺では決して珍しい魚ではなく、街の中を流れる小さな用水路なんかでも見かける。 よく似た亜種のカワヒガイ同様に、複雑な色彩の婚姻色が美しく、春を彩る魚のひとつだ。 春のホンモロコ釣りでは銀色や薄褐色などの地味な魚が続くが、そんな折にカラフルな雄が1匹でも釣れると一気にその場が華やかになる。 雄の婚姻色はより淡く柔らかい感じで、ド派手さが抑えられている感じ。 カワヒガイより大きく、尾柄がより細く、尾びれの切れ込みがより大きいなどの特徴は、琵琶湖という広大なエリアでの遊泳に適した形なのだろう。 大型個体はさらに背がぐっと盛り上がってカワヒガイと体形に違いが出てくる。 両者は似ているようで違うんだけど、琵琶湖の下流にあたる淀川にはカワヒガイとビワヒガイの中間的な特徴をもつ個体が生息している。 コウライモロコとスゴモロコの関係もそうだけど、上流に琵琶湖をもつ淀川水系はちとややこしい。

婚姻色を帯びた全長8cmの雄。 よく似たカワヒガイのようなどぎつい感じはない。

桜の咲く頃に琵琶湖付近で捕った雄。 全長10cm程度。吻が長く尖り、頭が大きく尾柄高は低く、カワヒガイとは異なる。 頬が桃色に染まり婚姻色が出ているが、まだまだこれからというところかな。

同時期に捕った全長9cm程度の雌。 短い産卵管が伸びていた。ひれのオレンジ色がチャームポイントだ。

春、のどかに釣り糸を垂れて捕った雄。 アカムシを餌にすると、ホンモロコ、スゴモロコ、フナ、ニゴイ、ハス、ビワヨシノボリ、スジエビなどが釣れた。 釣ったすぐは、薄い婚姻色が出ていたが、ケースに入れておいたらずいぶん薄れてしまった。

春のホンモロコ釣りで釣れた雌。 全長は8cm程度だった。お腹がぷっくりしていて産卵管も伸びている。卵をもっているようだ。

早春に捕った全長8cm程度の雄。 流れが早い川であったが、岸が少しえぐれ、流れが淀んでいる淵で捕れた。 はじめは体側の黒色縦帯を中心にもっと黒っぽかったが、バケツに入れている間に退色してしまった。

春の終わりに捕った個体。 全長は9cmだったが、かなり濃い黄褐色の体が印象的だった(写真では薄くなっている)。 体色やひれの黄色を見ると雌だけど、産卵管は確認できなかったし、目は赤いし、雄かぁ?

梅雨入り期に捕まえた全長約11cmの雄。 ほほの薄赤紫色がよく目立つ。体は薄っすらとブルーだ。

初夏に釣った全長約10cmの雄。 背がグッと盛り上がる体格の良い個体であったが、婚姻色はかなり薄れていた。黒色雲状斑もほとんど見られない。

やや斜め後ろから見るとこんな感じ。 すらっと伸びる体が美しいなあ。

初夏の琵琶湖流入河川で アカムシを餌に釣った雄。本種が釣れる数は多くないけど、雄ばかりなのはなぜだろう??? 吻の周囲には硬く尖った追星が出ていて、バケツから取り出すときに口もとが触れると痛い。

琵琶湖流入河川で釣った全長7cmの若魚。 うっすらと婚姻色が出ているが、雌のようにひれがオレンジ色ではない。

全長6cmの若魚。 琵琶湖で捕った個体であるが尾柄高/頭長=約0.45は本種の範囲。可愛らしい。

梅雨の合間に捕まえた個体。 全長10.5cmぐらい。体側中央に暗色の縦帯が見られる。もう繁殖期は過ぎましたかね?

全長約10cmの雌。 灰褐色の体色をしているが、背びれの黒色斑や鮮やかな黄色が美しいね。

秋に捕まえた雌。 全長13cmほどで久しぶりに大きな個体を手にした。

上と同時に捕まえた全長8cmほどの個体。 体側中央の暗色縦帯がはっきりしている。背びれの黒色帯がはっきりしていて、ひれの明るい黄色が美しい。眼がやや赤っぽいから雄かなぁ?

全長15cmほどの雌。 背がぐっと盛り上がって体格のよい個体だった。雌は成熟しても背びれの黒色斑は消えない。

秋の雌。 琵琶湖に流れ込むコンクリート水路で捕まえた。背びれの黒色帯がくっきり。

秋に捕まえた全長約6cmの個体。 琵琶湖近くで水草が豊富な流れの中にいた。体側を走る暗色の横帯がよく目立った。

秋の琵琶湖流入河川で捕まえた。 体全体が金色っぽい。眼が薄っすらと赤いので雄だと思う。全長約6cm。

上と同所でタモ網に入った個体。 全長約8cm。光の加減で体がやや青っぽく見えたし、産卵管が見られないので雄?でも眼に赤は見られないし雌?

冬のはじめに捕まえた個体。 全長約6cm。眼が赤いので雄だと思う。同所で10匹ほど捕まえたが、はっきりと眼が赤いのはこの個体だけだった。他は全部、雌?

夏に捕まえた幼魚。 全長4.5cmぐらい。体側に入る一本の太い黒色縦帯が目立つ。背びれにも黒色斑があり、ひれは部分的に薄く黄色い。 吻は丸くてかわいい。

琵琶湖に広がる平野にある コンクリ水路で捕まえた幼魚たち。水が落とされ部分で、なんとか水が流れ込むところに集まっていた。 群れて泳ぐ姿が大変かわいい。

琵琶湖に流れ込む小河川で捕まえた。 冬だからちょっとやせているのかな。

冬に捕った全長6cmの若魚。 湖西の用水路で、カネヒラやカワムツなどと一緒に群れていた。

ピンとひれを広げてくれたところ。 頭部が赤紫色というか桃色で、ちょっと顔を赤くして照れているみたい。

雌の体側。 黒色雲状斑と表現される模様をもつ。鱗を見ると、そのひとつひとつに小さな点の集合で構成される模様がある。


上の個体を真上から。 背面は黄褐色で小さな黒色斑が散在する。水面から斜めに見ると体側の黒色縦帯が目立つので、本種とわかる。

初夏に捕った雄を真上から。 薄紫がかった色で背面に特に模様は見られない。

大型個体の頭部を拡大。 口ひげはとても短くてあるのかどうかよくわからないぐらい。えらぶたの後ろに三日月状斑がある。

若い雌を正面から。 キョトンとした目で「何?」。

繁殖期の雄。 正面から見ると縦に長いというか、細長いというか、亜種とされるカワヒガイとは違う印象を受ける。 吻の周辺には白くブツブツした追星が出ている。これ、先端が尖った小さな円錐状で触ると痛んだよね~。

夏の初めに捕まえた雌。 体色は濃い緑褐色。口は小さく下方についていて周囲が白い。眼は真横についている。左右上向きに広げた胸びれが良い。 背の鱗は金属光沢でキラキラだ。

雌を正面から。 胸びれを広げて側扁した体を支える。口は小さくやや下を向いている。頭部は濃緑褐色と白のツートンカラーだ。

last modified:2023/7/20
created:2013/4/6

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