ゴマフエダイ Lutjanus
argentimaculatus
フエダイ科フエダイ属
【生息場所】
沿岸域から汽水域に生息し、高水温では幼魚は淡水域に侵入することもある。
【外観・生活】
成魚は全長60cmを超える。体は楕円形で側扁していて、口がやや前方に突き出したタイのような体形だ。
幼魚は体側に7~8本の太い暗色横帯が並んでいて、その間は白色。簡単に言うと横縞模様をもつ黒っぽい体をしている。
眼の下には水色の線があり、背びれ前部にはオレンジ色の帯、腹びれと尻びれ前部にもオレンジ色の班がある。
これらは成長に伴って不明瞭になり、全身が褐色や赤褐色になる。
幼魚は汽水域に侵入し、小さな群れをつくって、全長20cmほどになるまで生活する。
水中にある枝や岩などの障害物の陰によく隠れる性質をもち、稚魚や甲殻類、底生動物などを食べている。
【捕る】
幼魚は河口干潟などにあるやや深みのあるところをタモ網を引きずって捕る。
【その他情報】
”フエダイ”の名は前方に突き出た口が笛を吹いているようであることから、また”ゴマ”の名は鱗の中心に暗色の斑点があることが由来。
定置網や刺網などで漁獲され、塩焼きや刺身、煮つけなどで食べられる。
ただし、大型個体はシガテラ毒をもつことがあり、食べる際には注意が必要とされる。
南方の魚で、日本列島では黒潮の影響がある太平洋沿岸域に生息するが、近年の温暖化に伴い分布域が北上している。
【コメント】
河川で見られるのは横縞模様をもつ黒っぽい幼魚。夏の終わりから秋にかけてタモ網に入る。
同じようなシルエットの魚に、シマイサキやコトヒキで、コショウダイ、クロサギの仲間なんかがあるが、横縞模様の見た目からそれらと間違うことはない。
でもただ単に縞模様の黒っぽい魚というわけでもない。ひれにはオレンジ色の帯、眼の下には水色のラインがある。
ピンポイントで色を飾って南国の雰囲気を醸し出している。
草や石の陰などでタモ網に入ることが多いのも特徴で、開けたところを泳ぎまくっているコトヒキなんかとは対照的だ。
秋の汽水は、訪れる場所も、タモ網1本という捕り方も変わらないのに、毎年何か新しい出会いをくれる。
今年(2023年)も黒潮の大蛇行が続いているが、黒潮の蛇行がない年ってどんなんやろ。
南方系の新しい幼魚がいっぱい運ばれてきて、新しい出会いが連発し、その瞬間はただ単純にテンションが上がやろうなぁ。
秋のはじめ、
潮が大きく引いた河口のたまりでタモ網に入った全長3cmほどの幼魚。
多くのシマイサキ幼魚と一緒にタモ網に入った。黒っぽい体に縞々模様。尖がった口はいたずらしそうな口だ。
上と同時に捕まえた個体。
わずかに小さい程度。第1背びれ、腹びれ、尻びれのオレンジ色が眼をひく。
第2背びれや尾びれなどの体後半のひれは透明だ。魚のシルエットを隠しているんだね。
一回り小さい幼魚。
汽水域に侵入してきたぐらいかな。
秋の汽水域、障害物の陰でタモ網に入った
全長約3cmの個体。体側にある暗色横帯が狭くてその間にできる白が目立つ。同じサイズでも目立つ個体と目立たない個体がいる。
全長3cmに満たない個体。汽水の中洲に
できた草の陰で複数匹がタモ網に入った。この個体も暗色横帯が細くて白が目立つ。ひれには橙色の部分、眼の下に水色のラインがある。
潮が引いて水面が下がっていく
川の水面近くで小さく動くものを発見。柄の長いタモ網を使って下からすくって捕まえた。
全身は黒く、横帯は薄くわかるぐらい。まだひれにオレンジ色を帯びていない。
ケースに入れると中層あたりを泳ぐ。
腹びれの先端は白い糸?トゲ?のようなのが突き出している。何の役にたってるのだろう?
秋の終わりに捕まえた個体。
全長は7cmを超えるぐらい。少し成長して体色は明るくなり、横帯も目立つようになった。
眼の下の水色ラインが良く目立つ。南方系って感じるね。
上から見ると縞々模様。
秋の汽水は、シマイサキやコトヒキ、ゴマフエダイなど、体に縞模様をもつ幼魚が多いが、それぞれ違いがある。
上で紹介した全長7cmぐらいの個体。
頭部にあった明色の帯が見られなくなっている。
やや下膨れの楕円形の顔をしている。
カメラを構えるとフラフラ~と向こうへ行ってしまうので、ややピンボケだ。
額の部分に薄色の帯があって、ハチマキを巻いてるみたい。
created : 2021/9/28