カムルチー Channa argus ~大きな口でカエルも丸飲み~
タイワンドジョウ科タイワンドジョウ属

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カムルチー

【生態】 いわゆる雷魚と呼ばれる仲間のひとつ。 緩やかな流れの河川、ワンド、湖沼に生息しており、私が子供のころに過ごした奈良盆地では古墳を囲む池に数多く生息していた。 ゲームフィッシュのひとつとされ、昔の釣りの本にはカエルのポカン釣りなるものが記載されていたが、今はルアーが使われるだろう。 体は円筒状で全長は60cmぐらい。まれに1mを超えるまでに成長する。 成魚はヒシやハスなどが茂る草のジャングルに隠れており、近くを通るカエルや小魚を襲って食べる。 歯は極めて鋭く、素手で釣り針を外すことができないほど。ナマズやオオクチバスの歯がおろし金のようなものであることと対照的だ。 えら呼吸が十分に発達していないため、10分に1回程度の割合で水面から口を出し、パコッと空気を吸いにやってくる。 モンドリや刺し網などで本種がかかると空気呼吸ができず、引き上げたときは死んでいることも多いそうだ。 繁殖期は春から夏で、水草を集めて産卵巣をつくり浮性卵を産卵する。親魚は巣の卵や稚魚を守る習性がある。 稚魚は頭でっかちのずんぐりとした体形で、群れになって玉になり、浮いたり沈んだりしている。 1年で15cm、2年で35cmくらいになり成長がとても早い。美味で原産地では重要な食用魚。 寄生虫がいるので生食はしないようにと親に強く言われていたことを覚えているので、親父の世代ではおそらく食べてたんかな。 トップ写真は河川の水草の中に潜んでいた全長12cm程度の若い個体。カモフラージュできる体色や模様で、顔はまるで蛇みたい。
【移入の経緯と現状】 1923年に朝鮮半島より食用として移入拡大した。魚食性であり、他の水生生物に対する食害があることから駆除の対象と位置づけられるが、 オオクチバスやブルーギルのように在来生物相に深刻な影響を及ぼさないとも言われている。 それは、カムルチーが日本と同じコイ科の多いアジア原産であることから、既存コイ科魚類とうまく共存できるためと考えられるそうだ。 現在、生息数は全体的には減ってきている。その要因は環境の悪化やオオクチバスなどの新参者との競合に敗れたためとか、 あるいは結局、本来の生息環境とは異なる日本には定着できないためとも言われている。

淀川の支流で捕れた成魚。 全長は60cm程度で濃褐色。岸辺の枯れ草が覆い被さったところで休んでいるところ見つけたので、頭の先にタモ網をそっと構え足で追い込んだ。

成魚の頭部アップ。 本種は大きな口でヘビの様な頭をしていてスネークヘッドと呼ばれる。 雷魚の名前の由来は「噛まれたら雷が鳴るまで放さない魚」というだけあって、面はどう猛そうだ。

水田地帯を流れる水路で捕まえた若い個体。 コンクリートのコーナーでタモ網に入った。全長が30cmほどあったので、タモがずっしり。体側にあるニシキヘビのような模様が印象的だった。

春に捕った全長15cm程度の個体。 背びれや尻びれの基底が長い。胸びれをよく動かす。 写真のような若い個体は、体側に2列の暗色斑が並ぶが、成長すると全体的に黒っぽい体色になる。

夏に河川のタマリで捕れた個体。 前年生まれたと思われるサイズだ。かなり緑色が強かった。

若い個体を上から見た様子。 体側同様に左右2列の斑紋が並ぶ。

トップ写真と同じ個体。 秋の河川の草が覆う淀みでタモ網に入った。

秋に捕れた別個体。 褐色の体色に濃褐色の模様がはっきりとしている。大きくなるについて模様はだんだんわからなくなっていく。

秋のワンドで捕まえた 全長23cmほどの個体。岸際の障害物の陰でタモ網に入った。 体はヌルヌルでクネクネよく動いた。うろこの感じとか体の模様とかニシキヘビを想像させる。

冬の水路、 水がたまった淀みでタモ網に入った。本種は思いがけず捕れることも多い。体側の斑紋は2列だ。

上の個体を真上から。緑褐色の背面に暗色の斑紋が並ぶ。迷走柄だ。

頭部は長く縦扁し、 眼は前方についていて、口は大きく裂ける。英名「スネークヘッド」の名の通りだ。

吻は尖り、受け口をしている。 ヌルヌルしていて、光を浴びるとテカテカ。

上の個体を正面から。 いたずらっ子の顔だ。

全長18cmほどの個体を真正面から。 眼は斜め上を向き、口も上向きだ。ほほは明るい色で、吻から眼を通り後方に向けて暗色縦帯がある。胸びれは円い。

口の奥に鋭い歯が見える。 鋭い歯は同じ肉食魚のナマズやオオクチバスなどと異なった特徴。眼はギロッとしていて、獰猛そうな顔つきだ。

頭部は細長い。 下あご先端を頂点とした二等辺三角形のようだ。

水中にいる個体。 岸よりのボサの中からゆっくりと泳ぎ出てきた後、私の姿に気付き、泥煙を上げて泳いでいった。

全長20cmほどの個体。 体は円筒形で縦扁していないので、地面に置くと腹を下にする。横向きに寝かせることができない。改めて体の模様は蛇だな。

last modified:2024/2/11
created:2012/1/7

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