ギベリオブナ(キンギョ) Carassius gibelio ~中国の血を引く夏の風物詩~
コイ科コイ亜科フナ属

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キンギョ

【生態】 いわゆる金魚は、東海大学などによる近年のDNA分析の結果、中国由来のギベリオブナを直接の先祖とすることがわかった。 ギベリオブナはギンブナの近縁種で、一般に体色は銀色であるが、突然変異で赤い個体が生まれることがある。 金魚はこれを改良、つくりだした品種という訳だ。 親が赤色でも、卵から孵化した稚魚はすべて褐色(フナの体色)をしているが、1,2ヶ月もすれば次第に赤い体色に変わっていく。 生態はギンブナに近く、プランクトンや水草などを食べる雑食性で、汚水にも強い。
【移入の経緯と現状】 キンギョは五百年ほど前に泉州堺に持ち込まれ、やがて大和郡山に入ったそうだ。その品種はまだ和金で、当時は貴重な愛玩魚という扱いだった。 やがてキンギョの養殖がはじまり、新しい突然変異の品種の探求と、品種の掛け合わせも行われるようになり、品質的に優秀なキンギョがつくられてきた。 同時に量産化もされたため、元禄時代には1匹が5、6両もしていたものが、 江戸時代後期にはキンギョ売りが夏の風物詩になるほどの庶民的なものになったそうだ。 キンギョは長い間、水槽や狭い池で飼われていく内に、フナの野性味を失い、体形も肥満し、動作も鈍くなり、ゆっくり泳ぐようになるものが現れ、 背びれがなくなったり、頭部にこぶができたり、目が飛び出したり、尻びれが3つ尾や4つ尾になったりしたものなど、 大変美しい品種が作り出されている。 現在、観賞魚店では飼育用あるいは肉食魚の餌用として年中販売されており、また夏祭りには金魚すくいなどでも大量に販売されている。 動物実験に使われることもある。 養殖池の周辺では逃げ出した個体も多く見られるし、飼いきれなくなった金魚を近隣の用水路などに放流、遺棄したと思われる個体もかなり多い。 赤い体色は水面から見てもよく目立つため、天敵の鳥などに見つかりやすく、背びれが欠けるなどの怪我をしている個体もたまに捕れる。 冬になると見かける機会は随分と減るし、また大きく成長した個体も見ないので、生き延びることは難しいのだろう。 放たれた後過度に天敵に襲われ続ける個体がかわいそう、餌の獲得競争や捕食などの影響を受ける水辺の生き物たちもかわいそう、 遺伝子汚染リスクを抱える在来のフナ類もかわいそうだ。無責任な飼育、放流はアカン、ほんまにアカンで。

奈良の水路で捕まえた全長8.5cm程度の個体。 すぐ近くの養殖池から逃げ出した個体と思われる。この水路では毎年、初夏になると金魚が見られる。

上と同じ水路で捕まえた個体。 最初のうちは岸にいる人の姿に驚いて水路内をあちこちに逃げ回るが、そのうち、コンクリートの壁際に身を寄せる。 そこを前後から2本のタモ網でゆっくり挟み撃ちして捕まえる。意外と簡単に何匹も捕ることができる。

夏に捕まえた全長約8cmの個体。 夏祭りの季節だが、金魚すくいのサイズにしては少し大きい。この個体はちょっとコイっぽかった。

田んぼの横を流れる水路の水草を 足で追い込むとタモ網に入った。全長10cm程度。水から引き上げたタモにこんな真っ赤な個体を見たら、言葉を失う・・・。 赤い体色は自然の中で大変よく目立ち、外敵の目に映りやすい。背びれの怪我はサギなどに襲われた痕だろうか。

水路で秋に捕まえた個体。 朱色の個体は水面からもよく目立つ。私の姿気付き、ボサの中にスーッと隠れる様子が見て取れた。 即座にタモを構えて足で追い込んで・・・捕るのは簡単。

本種は変異が多いようだ。 この個体は特に頭部の感じが独特で見慣れた”金魚”と違う。

上から見るとこんなに鮮やかだ。 さすがによく目立つ。どこかの養殖池から逃げてきたのか、それとも金魚すくいの金魚を善意の放流したか・・・。

体幅があって、正面から見てもその面は「フナ」。 鮮やかな朱色がきれいだ。自然の中では不似合いだけど。

トップ写真の個体を正面から。 えらぶたと胸びれの前縁に追星(白い小さな突起)が見られる。

用水路で捕ったキンギョたち。 奈良盆地は雨が少なく、ため池が多い。金魚養殖も盛んで、近くの用水路では池から逃げ出したキンギョをよく見かける。 オレンジ色の明るい色をしているので水面からもよく目立つ。

キンギョの養殖池。 私が子供の頃は護岸もされておらず、農業用ため池として使われていた。池干しの際には大きなコイやフナが捕れ、よく遊んだものだ。 赤く見えるのがキンギョの群れだ。

last modified:2019/10/12
created:2012/1/7

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