クサフグ Takifugu
alboplumbeus
フグ科トラフグ属
【生息場所】
沿岸部などに生息するが、低塩分に強く、初夏から初秋にかけてよく河川に遡上する。
【外観・生活】
全長は15cm程度。背面は暗緑色で白点が散在し、腹面は白く、胸びれ基部の後ろと背びれ基部に大きな黒色斑がある。
体の背腹両面に小さな棘があって、触るとザラザラする。
胃の腹側に膨張嚢という器官をもち、危険を感じると水や空気を飲み込んで腹部をぷ~っと膨らませることができる。フグではお馴染みの習性だ。
それは素早く泳ぐことができないので、自分をより大きく見せかけて捕食者を威嚇したり、飲み込まれないようにしたりするための手段だ。
砂底域では砂に潜る習性があるそうで、これも敵から身をかわす術なのだろう。産卵は初夏の大潮前後に、淡水が染み出る波打ち際で集団で派手に行われる。
一部は岸にも上がり、雄は興奮して雌の体側に噛み付き、その刺激で産卵・放精するそうだ。
肉食性で、カニ・ゴカイ・カイなどの底生動物や小魚・魚卵などを食べる。くちばし状の歯を持っており、餌取りとして釣り人からは嫌われる。
【捕る】
河口部で泳ぐ集団を見つけ、上手くやればタモ網でも捕ることができるが、意外と泳ぎは素早くて簡単ではない。
釣りでも捕まえることができる。見釣りで簡単に釣れそうだ。
【その他情報】
卵巣、肝臓、腸は猛毒、皮膚は強毒、肉と精巣も弱毒で、あまり食用にはされない。
毒の正体はテトロドトキシンという神経毒。ある種の細菌の産生物で、経口由来することが明らかになっている。
【コメント】
毒のある魚は派手な色合いや姿で「私、毒をもってます」って見た目であることも多い。それは有毒であることをアピールして捕食から逃れるためだ。
本種も同じで、体の模様は毒々しい。オレンジ色の目、体の上部に散在する白点模様、尾びれ後方の黄色やオレンジ色も妙に派手だ。
本種は河川の河口付近で見かけることが多いが、だいたい群れになって遊泳している。
その泳ぐ姿を見ると、素早いわけでもないし、群れだから1匹ぐらいは捕れるだろうと思って、ついつい追いかけたくなる。
ザブザブと近づいて、逃げ道にタモ網を構えたり、上から被せて捕ろうとしたりするが、まずうまくいかない。水の中の振る舞いは断然向こうの方が上手だ。
いいところまで追い詰めても、ヒョイとかわされる。遊び相手になってくれてるというより、遊ばれてるね。
でもたまに捕れることがある。私のタモ網さばきが上手いのか、捕れた個体が少々どんくさいのか・・・。
ま、どっちでもええけど、お陰さまでこのサイトで紹介できますわ。
初夏に捕まえた。
毒をもっていることを知っているからそう見えるのかもしれないが、「私、毒もっています」的な体色だ。
ぷっくり丸い体形をしていて、胸びれ基部後方と背びれ基部に黒色斑がある。
秋、潮が引いた汽水でタモ網に入った。
体側中央で背側の暗緑色と腹側の白色に分かれる。暗緑部には白点が散在する。
秋の汽水域、
浅場でちょこちょこ泳ぐ群れがいた。タモ網を振り回してなんとか捕まえた。全長は3.5cmぐらい。
眼の中央は緑色で周囲はオレンジ色。尾びれもオレンジ色だ。
1cmほどの稚魚。
夏の汽水域で捕まえた。
秋の汽水はこんな幼魚が群れる。
ぷーっと膨らんだらこんな感じ。
白い腹部が半球状になる。かわいい~。
背部は暗色で白点が散在、
腹部は真っ白。捕まえると大きく膨らんで、とってもかわいいんだけど、この個体は写真を撮ろうとすると縮んでしまった。
上から見るとさらに毒々しい。
背面に散在する白点、眼のオレンジ色など、「毒もってそう」と直感で思うのはなぜだろう。
左右の胸びれを扇のように広げ、
口を空けて大きく円い眼でこちらを向く。かわいいね。
眼は青緑色で虹彩はオレンジ色。やや毒々しい印象を受ける。
頭の上部は背と同じ暗緑色。
その部分に白点が散在する。側面にある眼はやや前方を向いて張り出し、口はやや突き出る。
愛らしい顔をしている。
丸っこい体で胸びれ、尻びれ、背びれをバタバタさせて不器用そうに泳ぐ。そんな姿を見るとなお可愛い。
created : 2015/5/3