マゴチ Platycephalus
sp. 2
コチ科コチ属
【生息場所】
成魚は沿岸の浅いところから河口付近に生息し、幼魚は開けた汽水域の砂泥底にも進入する。
【外観・生活】
全長は50cmほどだが、大きいと1mにもなる。上から押しつぶしたように著しく縦扁した頭と細長い体が特徴だ。
頭部は幅広く背面からみると三角形をしている。左右に広がった大きな口をしていて、下あごがやや突き出ている。
体は褐色で数本の濃褐色の横帯があり、尾びれには白黒の特徴的な筋模様がある。体色は底色に合わせてある程度変えることができるようだ。
砂泥底に体を埋めたり、腹面を水底につけたりしてあまり動かず、水底に擬態して獲物を待ち構えている。近くに来た獲物を下から大口でガブリと吸い込む。
驚くと川底を滑るようにサーッと逃げていく。小魚や小動物、甲殻類などを食べる貪欲な肉食魚だ。
【捕る】
汽水域に進入した幼魚はタモ網で捕ることができる。一般には釣りの対象魚とされる。
【その他情報】
日本のコチには2つのタイプが知られていたが、それぞれ別種であることが確認された。
本種ではない方の「ヨシノゴチ」は、沖合いの深場を好み、より明るい褐色の体に大きい目をもつなどの違いがある。
現在もコチ属全体の比較研究は進められており、本種はまだ学名が確定していない「名無しの権兵衛さん」だ。
夏が旬の高級食材とされる。白身、淡白でさしみや天ぷら、煮付けなど様々な調理法で食べられる。確かに美味い。英語でコチはFlathead。
いや、そのまんまやん!
【コメント】
真上からつぶされたような平べったさが特徴の魚。
幼魚段階の個体しか手にしていないが、頭部なんて上から鉄板プレスされたみたいにまっすぐに平らで薄く、それはもう「行き過ぎやで」と思うほど。
縦に平べったい魚が横に寝たような体形のカレイやヒラメと違って、上から潰された感じが本種の個性だね。
それから本種は眼にも注目。横から見るとハートのような、太いUの字のような形をしている。
かわいく見えることもあるし、逆に細く鋭い目つきで、頭部がワニのように見えるときもある。たまにスネ夫みたいなときもある。
鰓蓋のあたりや背びれはトゲトゲ注意だ。
タモ網から取り出すときや、手でつまんでいて体を動かされたときなどに何度か血を流したことがある。素手で持つときは注意するように。
春になると昼間に大きく潮が引くようになるので、暖かくなってくるとウキウキワクワクな気分になる。
浅場に取り残された水溜りで本種みたいな個性ある魚とまた出会えるから。
体が透明で浮き袋が透けて見えるやつとか、ウルトラマン見たないな顔しているやつとか、1円玉みたいな円いやつとか、
腹が青いやつとか黄色いやつとか、体がペチャンコのやつとか。毎年毎年懲りずに足を運んでしまう。やめられへん。
春の汽水域で捕まえた個体。全長9cmくらい。
見よ、この薄っぺらさ!はじめて手にしたときは衝撃だった。
小さな背びれをもつ。
捕まえたときはひれをピンと広げ、尾びれの白黒模様が鮮やかに映った。
春の終わりに捕まえた全長20cm程度の個体。
干潟の水溜りに取り残されていた。潮が引いた浅い川岸を歩くと、スッと泳ぎ去る本種も見られた。
タモ網から素手で取り出そうとしたとき、
不用意に触ってしまい、指を切ってしまった。頭部やひれには棘があるので注意が必要だ。
上と同じ個体。
太いU字というかハート形の眼が面白い。これは虹彩皮膜という膜が眼を覆っているため。砂底で眼が目立たないようにするためだ。
秋のはじめに捕まえた。
普段は背びれも尾びれもたたんでいて、ぺちゃんこだが、動き出すときにひれを広げる。
白と黒の模様がある尾びれが眼をひく。全長は5cmほどだった。
秋に捕まえた個体。
潮が引いた干潟の澪筋を引きずるとタモ網に入った砂泥から三角形の頭が見えた。本当に薄っぺら~い体をしている。
上の写真と同じ個体を真上から。
頭部は三角形で大きく、体は尾に向けて細くなり、背には濃褐色の帯が数本見られる。
体の左右から胸びれ、腹びれが張り出している。
秋に捕まえた全長約8cmの個体。
砂泥底にタモ網をあててザブザブ歩きながら引きずると入る。本種の尾びれには白黒の特徴的な模様がある。
上の個体を真上から。
背面は褐色で、砂底に紛れているとわからない。
いつも底に接している腹面は白い。
秋に捕まえた個体。
全長9cmを超えるぐらい。
秋に捕まえた稚魚。
全長2cmに満たない小さな体だ。大きな頭をしている。
上の固体を真上から。
胸びれを大きく広げてヒラヒラと漂うように泳ぐ。黒っぽくてゴミみたいだ。
本種の同定には、
上から見たこの形が最もわかりやすいかも。
小型の個体。どこかワニみたい。
頭部には小さな棘が多い。
下手に触ると痛い思いをする。こう見るとなかなかカッコいい。
突き出た口、細長い眼が怖い・・・。
なんと平面的な頭だろうか。
左右に張り出した2対4本の鋭い棘が見える。
正面から見るとどこかお惚け顔に見える。
両目が離れ、黒目や口の形がユニークだからかな。
別個体。
何かを問いかけるような表情がかわいい。
口には鋭い歯が並ぶ。
小魚などを食べる肉食魚だ。
created:2016/3/31