ムラソイ Sebastes
pachycephalus
メバル科メバル属
【生息場所】
沿岸の比較的浅い磯場にすみ、大きな岩陰などの隙間に身を隠している。
まれに汽水域にも入る。
【外観・生活】
全長30cmほどになる。カサゴに似ていてゴツゴツした姿をしている。口が大きくて下あごは上あごより出ていない。
体色や斑紋は変異に富むが、体側には二つの暗色横帯があり、体は全体的に黒っぽい。胸びれの基部や腹部には暗色斑がある。
普段は岩陰などに潜んでいて、近くを小魚や甲殻類が通るとガブリと食らう。繁殖期は春。卵胎生で仔魚を生むそうだ。
【捕る】
目の前のエサにすぐに食いつくそうなので、一般には釣りがよい。
【その他情報】
よく似たカサゴとは尾びれの後縁の形が違う。カサゴは直線的で本種は丸い。ムラソイの仲間は
体色や背びれ根元の鱗の状態から、ムラソイ、ホシナシムラソイ、オウゴンムラソイ、アカブチムラソイの4亜種に分けられていたが、
2013年4月に前2亜種はムラソイ種に、後2亜種はオウゴンムラソイ種の2つに整理された。お造りや煮付けなどで食べたら美味いという。
【コメント】
本種は海水魚として扱われ、淡水魚や汽水魚を掲載した図鑑には記載されていない魚であるが、
汽水域、それもほぼ淡水のところで捕ることができたので、本サイトでも紹介する。大阪湾に流れ込む初秋の河川、河口付近でのことだ。
大きく潮が引いてサラサラと川の水(淡水)が流れていたところの脇に、転石の陰にできた浅いごく小さな水溜りがあって、
そこにトップ写真の個体が取り残されていた。
おそらく海水が満ちていたときに偶発的に進入し、その後潮が引いてそのまま取り残された個体だと思うが、川の水が流れ込んでいたその水溜りの水はほぼ淡水
だった。
汽水域はそもそも汽水魚や回遊魚と呼ばれる魚たちの生活の場であり、それに加えて純淡水魚や海水魚も入ってくるので魚種が多いところだ。
本種を手にしたとき、そのことが身をもって少しわかった。
トップ写真と同じ個体。全長10cmくらい。
上記コメントで書いた浅い小さな水たまりに取り残されていた。捕ったというより、「拾った」という表現が合う。
春に捕まえた数cmの幼魚。
石がゴロゴロしている汽水域で網に入った。何匹か確認できるので、幼魚の間は汽水にも入り込むようだ。
小さな間は体側にある2本の横帯がより明瞭だ。
これも春に捕まえた幼魚。
まるで置物みたいでかわいい。水槽では腹を水底に着つけて、常に障害物の隙間やそばに体を寄せている。
「拾った」トップ写真の個体を真上から。
正面から。
日本の純淡水魚にはない厳つい雰囲気だ。眼の前にはトゲトゲ(眼前棘)がある。
created:2014/11/10