フナ類(ニゴロブナ)  Carassius buergeri grandoculis
コイ科コイ亜科フナ属

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ニゴロブナ

【種の説明】 日本のフナの仲間には、ギンブナ、キンブナ、オオキンブナ、ナガブナ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナと呼ばれるグループがあるが、 近年の遺伝子解析で、前五集団には直接の対応関係はなく、結果、日本のフナは「フナ」と「ゲンゴロウブナ」の二種しかないことが明らかにされた。 「フナ」は同所的に生息し自然交雑も知られるが、ここでは、これまでニゴロブナと呼ばれ特徴づけられてきたグループを、フナ類(ニゴロブナ)として扱う。
【生息場所】 琵琶湖固有亜種で、琵琶湖の沖合に生息する。産卵期になると、湖岸や内湖のヨシ帯、水路など群れで押し寄せてくる。
【外観・生活】 大きい個体は全長40cmくらいになる。体高が低く体幅が厚いので、体の断面はやや丸っぽい感じがする。 頭部が大きく尾柄高が低い。体は黄褐色ないし灰褐色だ。口が大きくて斜め上を向いているため、横から見るとあごが角張っているように見える個体が多い。 琵琶湖沿岸部の低層付近で生活をしているが、繁殖期の4~7月になると降雨後の増水時に群れで接岸し、湖岸浅所や内湖で水草や浮遊物などに産卵する。 ナマズのように産卵のために用水路を遡り、水田に入ってくる個体も多い。寒くなると数十mの深みに移動するそうだ。 主に底生藻類、動物プランクトン、付着藻類、ユスリカなどの小動物を食す。メスばかりのギンブナとは異なり、雄と雌は同比率いるそうだ。
【捕る】 春から夏にかけて湖岸の浅所や用水路などでタモ網、釣りで捕ることができる。 産卵期には水田やかなり細い水路にも遡上してくることがあるので、手づかみでも捕れる場合がある。 ただし、滋賀県内で資源回復に係る漁獲規制があり、全長22cm以下の個体の採補が禁止されているので注意が必要だ。 手づかみ、タモ網、竿釣りによる場合はその限りではないとされているが、頭の片隅においておく必要があろう(→ こちら)。
【その他情報】 本種は「なれずし」の原形と言われる「ふなずし」の原料として使われ、特に産卵期の卵をもつ個体は重宝される。 漬けると容易に骨まで軟らかくなるためゲンゴロウブナやギンブナより好まれるそうだ。 同じ琵琶湖固有でありながら、ゲームフィッシュとして全国に広まったゲンゴロウブナ(いわゆるヘラブナ)とは異なり、 本種は現在も琵琶湖内を主な生息地としている。琵琶湖内にはいくつかの系群があるそうだ。 近年、内湖の埋め立てや湖岸の改変、圃場整備などにより産卵場が減少し、 加えて稚魚に対するブルーギルやオオクチバスなどの外来魚の食害により漁獲量が一時激減した。 しかし最近では、稚魚放流や県の事業などにより増加傾向にある。 ちなみに本種の名前の由来はゲンゴロウブナ(源五郎ブナ)に似ているから「似五郎ブナ」、煮て手頃な魚「煮頃ブナ」などの説がある。
【コメント】 本種(グループ)もまた難しい魚「フナ」の仲間である。琵琶湖では、ギンブナ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナの3つが生息しているが、 似ているギンブナと比較すると、横から見て体は細長く、顔つきも違う。 微妙な個体もいるため全ての個体の区別は難しいが、外観上違いが見られる典型的な個体群がいることはわかる。 かつて琵琶湖周辺では、田植えが終わった時期に雨が降ると、本種やナマズが群れで遡上し、それを捕っておかずにして食べていたそうだ。 今は滋賀県が主導して、かつてのように水田内に魚たちがやってくる環境づくりが一部で実施されているが、 多くは琵琶湖、用水路、水田の間につくられた大きな段差などが障害となって、魚たちが十分に遡上できないでいる。 湖魚との触れ合いが大きく減少しつつある現在、琵琶湖周辺に住む方でも、 本種(グループ)のオリジナリティがわかる方はどんどん少なくなっているのではないだろうか。寂しい思いだ。

初夏に捕った全長約38cmの個体。 琵琶湖すぐ近くの水田につながる水路で捕った。体の感じはギンブナとはずいぶん違う。頭が大きくて体高が低く、尾柄高も低い。 地元では"ニゴロ"と呼ばれるタイプのフナだ。

同所で捕った全長20cm超の個体。 鮒寿司には最適なサイズかも。口が上を向きあごが角張る。これも繁殖のために水田に繋がる水路に入り込んだものと思われる。

これも同所で捕まえた個体。 狭い水路であるが、ナマズに混じって、40cmほどの個体が数個体、20cm前後の個体がたくさん捕れた。

この個体を捕った水路では、 全長2cm程度の稚魚も見られた。

初夏の琵琶湖近くの用水路で捕った。 産卵場を求めて遡上してきたようだ。ナマズやギンブナなどと共に多くの個体を捕ることができた。

琵琶湖に流入する水路河口で捕まえた。 えらぶたに追星が現れていたので、雄だろう。

初夏に捕った個体。全長は17cm程度。 スマートな体をしている。アカムシをエサに釣り糸を垂らしていると、スゴモロコやニゴイが多い中で、一匹だけ釣ることができた。

体は細くて頭が大きい。 外観上典型的な個体のひとつだ。ふなずしに手頃なサイズ? 狭いところに入れてごめんなさい・・・。

梅雨のはじめに捕まえた個体。 きれいな魚体をしている。水田につながる水路で捕まえたが、いるところにはたくさんいる。 タモですくったとたん、バシャバシャ~!って暴れるから泥水がはねて顔も頭もドロドロ・・・。

全長21cm程度の個体。 尾柄もまた細くて長い。

晩春にギンブナに混じって釣れた個体。

上と同個体。 水中と取り出した感じでは少し印象が違う。実物を見た印象が大事で、断片的なワンシーンのみの写真からだと同定が難しいことも多い。

水田を縫うように流れる 夏の用水路で捕った全長12cm程度の個体。いわゆるギンブナも同時に捕れたがやはり体形が違うように思った。 フナやコイの稚魚もたくさんタモ網に入った。

おそらく本種(グループ)だと思われる。 6月上旬、琵琶湖に近い水田内で泥底をすくうとこのような幼魚がたくさん捕れた。全長1.5~2cm程度で背は金色がかなり強かった。 水田はまさに「ゆりかご」だ。声をかけて下さった水田所有者のご厚意で捕らせて頂いた(感謝)。

真上から。

頭部拡大。 あごの辺りから急に斜め上に向くことが特徴とされ、横から見るとあごが角ばっているように見える。吻は短く、目も大きく見える。

春の終わりに捕まえた個体。 繁殖期なので目の下、えらぶた、胸びれ前縁に追星が見られ、雄だと思われる。

同所に住むギンブナやゲンゴロウブナとは 正面からの顔つきも違う。口も大きい。

正面から。優しい丸っこい感じを受ける。 下あごの感じが本種らしい?よく見るとえらぶたの辺りに細かい追星が見られる。

※これらの全ての個体は観察・撮影後、直ちに元いた場所に逃がしました。

last modified:2017/6/21
created:2014/4/6

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