フナ類(オオキンブナ) Carassius
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コイ科コイ亜科フナ属
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【はじめに】
日本のフナの仲間には、ギンブナ、キンブナ、オオキンブナ、ナガブナ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナと呼ばれるグループがあるが、
近年の遺伝子解析で、前5集団には直接の対応関係はなく、結果、日本のフナは「フナ」と「ゲンゴロウブナ」の2種しかないことが明らかにされた。
「フナ」は同所的に生息し自然交雑も知られるが、ここでは、これまでオオキンブナと呼ばれ特徴づけられてきたグループを、
フナ類(オオキンブナ)として扱う。
【生息場所】
大きな河川の下流域に多いとされるが、中流域や支流にも生息している。
【形態・生活】
全長30cmを越える大型のフナ。キンブナと名が付くように背面は褐色が強く、鈍い金色に見えることがある。腹びれや尻びれが黄色みを帯びる個体もいるようだ。
ギンブナによく似ているが、体高がやや低くてスマートな感じで、背鰭分枝軟条数もやや少ない。
しかし変異が多く他種との交雑も生じるため、正確な同定は難しいと思う。
雑食性で底生動物を好んで食べる。ギンブナと異なり雄、雌は同比率いるそうだ。
【捕る】
ギンブナ同様に、釣りやタモ網で捕る。
【その他情報】
体高が低いからだろうか、マルブナとも呼ぶ地方もあるそうだ。山渓・日本の淡水魚の記載によると、
本種の体高比(体長/体高)は約2.7でギンブナが約2.5、本種の背鰭分枝軟条数は15(14~16)本でギンブナが17(15~18)本とされ、
ギンブナよりもややスマートで、やや背びれの条数が少ないと傾向的には言えるようだ。
ただし、痩せたギンブナや卵で腹がふくれたオオキンブナなどもいるため、体高比は個体差によるある程度の範囲を含むおよその数だし、
背鰭分枝軟条数の数値には重なりがあるので、これらはあくまで傾向を示す数値に過ぎないと理解すべきだろう。
【コメント】
難しい魚「フナ」である。特質や形態などが傾向的に異なる多くのグループを含む総称であるが、ゲンゴロウブナを除いてその他のグループは、
定量的で明確な違いを示す同定ポイントもなくて酷似している上、種間での交雑もあることから、多くの研究者を悩ませ続けている。
ここで紹介している個体はおそらく本グループに含まれる個体だと思うのだが、どうだろうか・・・。
ちなみにトップ写真の個体は、春の産卵期に淀川支流で捕った個体。タモ網の幅が38.5cmなので、この個体の全長も同程度ある。
多くはないが、えらぶたと胸びれには追い星と思われる白いブツブツが出ていた。
岸が少しえぐれたボサを蹴ったときに、タモ網にゴツンと大きな衝撃があり、何か大きなものが入ったことはすぐにわかった。
産卵に来ているナマズかコイかと思ったが、その正体はこれだった。
春の日を浴びて金色に輝く小鮒。
お腹がぷっくりしていてやや体高がある(体高比=約2.6)が、この個体は背びれ基底が短い。
ちなみに背鰭分枝軟条数は15本だった。岸に立つ私の姿に驚いたフナの群が、用水路を逃げていく。
群れと離れて岸の草陰にスッと隠れた個体が見えたので、そこをタモ網ですくってみた。
農業用水路で捕った全長約8cmの個体。
褐色のスマートな体をしている。実測すると体高比は約3.0、背鰭分枝軟条数は15本だった。
銅色に強く
光の加減でメタリックに輝く。体高比は約3.1でギンブナに比べると体高がやや低い。なお、背鰭分枝軟条数は15本。
別個体。
この個体は全体的に褐色が強いが、頭部などに金色っぽく光る部分が点在していた。ちなみに背鰭分枝軟条数は15本だ。
この個体を捕った用水路は、
毎年秋になると大量のフナでいっぱいになる。少し水深のあるところの水草の下でこんな個体がたくさん捕れた。
ちなみに体高比は約3.1、背鰭分枝軟条数は15本だった。
秋に捕った個体。
体高が低くスラッとしている感じを受け、体高比は約2.9だけど・・・ギンブナかも。ちなみに背鰭分枝軟条数は16本。
あえてオオキンブナとして載せるが、フナ類は難解。
秋の終わりに捕った個体。
全長は7cmを超える程度だった。こんなに背びれって大きかったっけ?
冬の中流河川の水草の中でタモ網に入った。
ギンブナと比べると少しスマートで雰囲気が違っていた。目安に背鰭分枝軟条数を数えると15本。
小鮒を真上から。
上から見た体色は一様に褐色だ。
トップ写真の個体を真上から。
所々に金色に輝く鱗をもっている。
小鮒を正面から。
丸くてコロコロしている感じがする。
トップ写真の個体を正面から。
ちょっとグロイ・・・。
created:2014/3/24