コクチバス Micropterus dolomieu dolomieu ~遅れてやってきた獰猛な肉食魚~
サンフィッシュ科オオクチバス属

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コクチバス

【生態】 オオクチバスと並んでブラックバスとも呼ばれる。急速に分布が拡大し個体数が増加している。大きい個体では50cm程度になる。 オオクチバスに似ているが、体色はより黄色っぽく、体側には暗色斑があり暗色横帯が現れる。 幼魚では特にこの暗色横帯がより明瞭であるが、大きくなると淡くなるようだ。鰓蓋後端には白色斑があり、成長とともに目立つようになる。 コクチバスの名が示す通り、オオクチバスに比べて口が小さく、上あごの後端が眼の中央下を超えない。 オオクチバスより低水温を好み、河川の中流から下流、湖沼に生息し、かなり流れの速い水域でも生息できる。 繁殖期は春から初夏で、雄が浅瀬の砂礫底に巣をつくり、ひとつの巣では最大2,000尾の稚魚が保育されるそうだ。 雄が卵や稚魚を保護する習性があり、繁殖力は非常に強い。獰猛な肉食魚で、魚類、水生昆虫、ザリガニなどを捕食する。
【移入の経緯と現状】 北アメリカ東部原産で、1990年代はじめに福島県や長野県などで生息が確認された。 急速に分布を拡大しており、現在は北海道から九州まで各地での繁殖が確認されている。 本種の拡散は、アユやヘラブナの様な全国各地に放流されている魚種に混じった放流によるものではなく、 コクチバスそのものの移植を目的とした放流によるものと指摘されている。 それはオオクチバスと共に、ルアー釣りブームやバス釣り産業が背景にあるからだ。 本種は低水温を好み流れの速い河川でも生息するので、オオクチバスやブルーギルが侵入できない水域にも侵入できるという点で、 在来生態系への新たな脅威だ。流水域に定着すれば本種が与える影響は極めて大きい。 本種は外来生物法による特定外来生物に指定されており、飼育・運搬・保管・販売・野外に放つなどの行為が禁止されている。 都道府県の内水面漁業調整規則でも移植が禁止されており、琵琶湖などでは条例によって捕捕した個体のリリース(再放流)も禁止されている。 日本生態学会が定めた日本の侵略的外来種ワースト100に指定されているほか、生態系被害防止外来種リスト・緊急対策外来種にも指定されている。 天ぷらやムニエルで食べると美味いそうだ。捕ったら食べよう!

初夏に釣った個体。 モロコ釣りの仕掛けでアカムシに食らいついてきた。全長は5.5cmを超えるくらい。 よく似たオオクチバスと比べると体は黄色っぽく、体には暗色横帯がみられる。

夏、 淀川から取水する用水路で捕まえた個体。全長10cmくらい。 近年、上流の木津川などで定着してると聞いていて、分布拡大を心配していたが、ついに来たか・・・。残念だ。

夏の個体。 全長は8cmほど。本種の特徴である鰓蓋後端に白色斑が見られる。体の模様はヘビにそっくりだ。

秋の水路で捕まえた 全長40cmほどの個体。 淀川水系では木津川で確認されて以降、ほんの数年で、大阪のこの水路でも毎年確認されるようになってしまった・・・。

浅いコンクリート底の水路で発見。 私の姿を見て逃げ回ったが、転石の下にスッと隠れたところを、タモ網に追い込んだ。

上の個体の背面は こんな風に黒っぽい。稚魚の間は真っ黒なので、大きくなると薄れていくのかな。

口は上を向く。 コクチバスの名の通り、オオクチバスより口が小さい。上あごの後端が眼の中央下を超えない。 頭部には吻端から放射状に広がる帯があり、鰓蓋後端に白色斑がある。白色斑は成長とともに目立つようになる。

獰猛な肉食魚らしい、 悪そうな顔つきだ。口には細かな歯が並んでいる。

口は確かに オオクチバスより小さいな。名の通り。あまり見たくない魚だ。

※採捕した個体はその場で撮影し、その後適切に処分しました。

last modified:2023/11/3
created:2020/6/27

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