スゴモロコ Squalidus chankaensis biwae
コイ科カマツカ亜科スゴモロコ属

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スゴモロコ

【生息場所】 琵琶湖や内湖に生息している。繁殖期には琵琶湖流入河川にも群れで遡上してくる。
【外観・生活】 琵琶湖固有亜種とされ、全長は12cm程度になる。 体はスマートで、眼が大きく一対の口ひげがある。体色はやや透明感のある薄褐色で金属光沢があって美しい。 体側には光の加減で薄緑青色に見える縦筋があり、背側の縁に沿って緑金色または金色の細線がある。 その上に10個程度の暗色点が並び、成長すると不明瞭になる傾向にある。 その暗色点の有無は、同時に捕れることも多いデメモロコとの区別点のひとつだ。 普段は琵琶湖沿岸域に群れているが、春から初夏にかけての繁殖期には流れが緩やかな琵琶湖流入河川に大きな群れで進入してくる。 冬は琵琶湖の深みに移動するそうだ。 なお、酷似するコウライモロコとの区別点は、口ひげがより短く(上顎長の2/3程度)、体高が低く(体高は体長の19%以下)、 背面が直線的、眼が大きく吻がとがるところとされるが、微妙な個体も多い。 雑食性で水生昆虫、ヨコエビ、小型巻貝、浮遊動物などを食べている。
【捕る】 釣り、タモ網で捕ることができる。群れているため、釣れ出すとたくさん釣れる。
【その他情報】 琵琶湖周辺地域では、ホンモロコの代用として飴炊きや佃煮などに加工して食べられている。 亜種に濃尾平野から中国地方に広く分布するコウライモロコがある。 本亜種はコウライモロコ型の祖先が琵琶湖の止水環境に適応進化したものと考えられている。 琵琶湖に仕掛けられたエリに良く入るため、本亜種もコアユに混じって全国の河川などで放流され定着している (関東で捕まえた個体はこちら)。 本種をはじめとするコウライモロコ、デメモロコ、イトモロコといったスゴモロコ属は、 同じモロコと名前が付くホンモロコやタモロコを含むタモロコ属とは類縁が遠く、むしろニゴイ属に近い。
【コメント】 本種の特徴は何と言ってもスラッとした流線型の体形だろう。薄褐色ではあるが透明感があって光の加減で金属光沢を見せる体色もよい。 オイカワやタナゴ類はその鮮やかな体色が美しいが、 トップ写真の様にスラッとした体にひれをピンと伸ばした姿は、魚として単純にかっこよく大変美しいと感じる。 何と言うか、本種の地味さが心をくすぐるんだよね~。春のホンモロコ釣りの外道としてかかることも多いが、釣れてニヤッとするのは私ぐらいかもしれない。 さて、淀川で捕れるコウライモロコと比べると、傾向としてスマートな個体が多いのは確かだ。 ただ、外観でコウライモロコとの区別が難しい個体が捕れる時期もあるし、淀川には中間型がいるし・・・、 となると、捕れた個体が何者なのか素人的にはどう判別したら困ってしまう。 白か黒かがはっきりしない、いわゆる「グレー」をどう扱うかだが、本サイトでは捕った場所(琵琶湖またはその流入河川や用水路)を根拠とすることにした。 それが素人の限界。ところで、本種は琵琶湖に生息し、琵琶湖流入河川や用水路に遡上してくるのは繁殖期を中心とした時期であるが、 それ以外の寒い時期でも農業水路などで捕れることがある。一部の集団はそのような場所に定着しているじゃないだろうか。

晩秋に捕ったトップと同個体。 透明感がありスラリとした姿が魅力的だ。ちなみに体高比(体高/体長)は17.7%で19%以下であるからスゴモロコの範囲とされる。

春に琵琶湖流入河川下流部で捕った個体。 体側の暗色点は目立たない個体もいる。本種は大きな黒目が特徴だ。

4月上旬に釣れた全長8cmの個体。 ホンモロコは遡上が本番を迎えた感じだったが、本種はまだこれからといったところ。ホンモロコ以外にハス、ビワヒガイ、ニゴイ、フナが釣れた。

全長7.5cm程度の個体。 尾にかけて流れるようにすーっと細くなる。

全長約10cmの個体。 琵琶湖を遊泳する種の体色は銀白色のものが多いが、本種もそうだ。太陽の光を浴びてキラキラと輝く。

ホンモロコの外道として釣れた個体。 全長7~9cmほどの個体がぽつぽつ混じる。白いバケツに入れておいたら体の模様がなくなってしまった。 慣れていないと、デメモロコと区別が難しいかもしれない。

春に釣れた個体。 体側に走る緑青色の縦帯がよく目立つ。春はスラッとした個体が多く捕れるのは確かだ。

5月上旬に釣った 全長約7.5cmの個体。田んぼに水が入り水が濁っていたが、餌のアカムシを食ってきた。大きな眼と体側にある暗色点列を見て本種と確認。

5月下旬に捕った 全長約8.5cmの個体。比較的がっしりした体をしているね。

梅雨時期に釣れた個体。 ブクブクのデメモロコが釣れてくる合間に釣れてきた。スーッと伸びたスタイルが素敵だ。スマートなこの感じは雄かな。

初夏の個体。 夏が近づいてくるとコロコロ太った個体が捕れるようになる。琵琶湖流入河川河口部のボサで捕った。 この個体は全長9cm、体高比は約23%、口ひげは上顎長と同じくらい、コウライモロコと言われても疑わない。

同じく初夏の個体。 全長は8.5cm程度。卵をもっているのかも知れないが、この個体も体高比は約20%を超える。 体高があるし、体側の暗色斑もはっきりしないので、捕ったときはデメモロコかと思った。

上と同じ個体。 見るアングルによってはシルバーに輝く。捕れたときは鱗がきれいなスカイブルーだった。

初夏、琵琶湖に流入する河川で捕まえた。 全長は7cmぐらい。本種らしく吻が尖りスマートな体形をしている。青空が反射して体側が青く光る。

比較的強い流れのある ところでハスやゼゼラなどと一緒に捕れた。 手にした感じではそんなことなかったけど、痩せているのかな、こうやって写真にするとずいぶんスマートに見える。

梅雨の中休みに釣った個体。 透明感のある体色に、メタリックシルバーに輝く。体側に青緑の縦帯が見られる。この体色、いい!

梅雨の中休みの個体をもうひとつ。 決して大きな個体ではなかったが、卵をもっていてお腹がパンパン。菱形の体形はデメモロコみたい。

夏の琵琶湖流入河川河口域で。 群れで泳いでいた。

全長6cm程度の個体。 腹部の後ろが光の加減で薄い桜色に光る。

夏に捕まえた個体。 全長9cmぐらい。琵琶湖近くの開けた河川で捕まえた。クネクネ泳ぐアユ、ビュンビュン泳ぐハスもたくさん見られた。

夏に琵琶湖とつながる河川で捕った個体。 群れで泳いでいて比較的スリムな個体も多かったが、本個体の体高比は21%程度でスゴモロコの範囲からは外れる。

体側の金色縦線がよく目立つ。 スーッとした紡錘形のスタイルがかっこいい!

上の個体と同所で捕まえた個体。 どこか優しい雰囲気がある。川で群れていて近づくと逃げるが、水草の中に隠れた個体なら捕ることができる。

秋に釣った全長約12cmの個体。 大きくがっしりした体で、スゴモロコのスマートなイメージが「???」。口ひげも長く、見た目は秋に捕れるコウライモロコやね。

同じく秋の個体。 全長11cmほどの大きい個体だが、黒目が大きくてかわいい。渋いシルバーの体色もいいね。 同時にデメモロコも釣れたが、このモロコ・コンビ好きやわ~。

桜咲く頃、 全長5.5cmほどの若い個体もポツポツ釣れた。目が大きくて幼さを感じる。

春に捕まえた個体。 途切れた背中線が見られ、鱗が黒く縁取られ、網目模様がよくわかる。

初夏に捕ったよく肥えた個体。 赤っぽいのはなんでかな・・・?

秋の河川で捕った個体。 細長い。

メタリックに輝く体。 複雑な構造色から構成されているが、体側中央に薄緑青色の縦帯が見られる。

目は大きく、黒目は金色に縁取られる。 よく似たデメモロコと頭部を比べるとかなり違う。

若いスラッとした雄を正面から。 眼が大きくて両サイドに張り出してい る。

大型の個体。 かなり口ひげが目立つが、琵琶湖で捕った個体です。

高温でから揚げにしてみた。 味は案外”いける”。骨が少し気になるかな。

last modified:2023/6/3
created:2012/1/7

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