スズキ Lateolabrax japonicus
スズキ科スズキ属

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スズキ

【生息場所】 主に塩濃度が低い沿岸部や内湾に生息する。海の魚というイメージが強いが、夏季には河川にも積極的に入り込み淡水域に現れることもある。 特に幼魚や未成魚は汽水域で多く見られる。
【外観・生活】 全長は1mにもなる大型魚。体は細長く側扁しており、体は銀白色で背側が黒っぽい緑褐色をしている。吻が尖り口が大きくて下あごが出ている。 幼魚や若魚には体側や背びれに鱗と同程度の大きさの黒い小斑点があるが、 成長とともに不明瞭になり、ハネと呼ばれるサイズになるとほぼ見られなくなるようだ。 季節や成長に伴って生息場所を変える習性がある。冬に外海の深みで越冬した個体は春に内湾に移動し、一部は夏になると汽水域や淡水域に入る。 そして秋には再び湾内外の深場に移動し始める。本種はこのような季節的移動を終生繰り返す。 産卵は晩秋から冬に行われ、浮遊生活の後、3月頃に河口域の干潟などに稚魚が現れる。 アミ類やヨコエビ類を食べながら成長し、年末には15~20cm近くになる。 夏などは汽水の浅場で小魚を追いかける姿を見ることがあるが、あまり動かないのが通常で、獲物が目の前に現れると瞬発的に動いて食らう。 完全な肉食性で魚や甲殻類などを食べる。
【捕る】 春や夏には幼魚をタモ網で捕ることができる。 大型の個体は釣りが適しており、本種はルアー釣りの対象魚「シーバス」として有名。朝方や夕方によく餌を追うそうだ。 針にかかるとそれを外そうと水面上で激しく暴れる「えら洗い」はアングラーを特に魅了すると聞く。
【その他情報】 本種を中心とするスズキ目には多様な魚が含まれており、硬骨魚類としてひとつの完成型を示している。 えさの捕食や外敵からの逃避に必要な運動能力と、それに必要な体のつくりを備えているとされる。 えさが多くて住みやすく、産卵や子育ての場所としても便利な沿岸の浅い海をほとんど独り占めして繁栄してきた。 現在、世界で確認されている魚類は約3万2千種だが、そのうちのおよそ42%がスズキ目というから驚きだ。 スズキ目は魚類最大のグループを形成し、なんと脊椎動物全部の中でもNo.1の種数を誇る。
本種は成長に応じて呼び名が変わる出世魚のひとつ。関西ではセイゴ(全長30cmまで)、ハネ(30cm以上)、スズキ(60cm以上)と呼ばれる。 スズキという名は、ススキ(進)、スズキ(清清魚)、すすけた色やすすいだ様な身の白さなど様々な由来があるそうだ。 水産重要魚種のひとつで大阪湾でも多くの水揚げ量がある。上品で淡白な白身をしていて旬は夏だ。洗いや刺身、塩焼きが美味い。
1990年頃より養殖のために国内に持ち込まれたタイリクスズキが、輸送中あるいは台風などによって壊れた生け簀から逃げ出し、 周辺地域に定着して問題になっている。環境省は要注意外来生物に指定している。 体形はスズキに酷似するが、体高がやや高く、吻が短く、スズキでは成長に伴って消える黒色の斑が残るなどの違いがある。 スズキよりも淡水に依存する傾向が強く、河川に積極的に入り込むようだ。交雑の可能性は少ないと考えられているようだが、 餌や生息地をめぐってスズキとの間に競争が生じる可能性が高く、スズキの減少や海域の生態系への影響が懸念されている。
【コメント】 ボラと並んで汽水を代表する魚のひとつ。 下あごが出た大きな口をもち、体はスマートで銀白色、ひれにトゲを発達させ、瞬発力抜群で食物連鎖の頂点に君臨する、とてもかっこいい魚。 漁獲量日本一は東京湾、ついで大阪湾や三河湾などで、人口が密集している地域に多い「都会魚」と言えよう。 本種の名がつくスズキ目は魚類の約4割を占める最大グループで、その種数は脊椎動物全部の中でNo.1。 硬骨魚類としてひとつの完成型って聞くと、なるほどやね。 釣り番組のターゲットとしてもよく登場する。かっこ良し、釣って良し、食べて良しとなれば、人気が出るのもよくわかる。 河口域で大物が釣られる姿を見る度に「あ~今度絶対釣りしよっ」と思うのだが、やったことのないシーバス釣り、 何からどうしたら良いのか、実際にはなかなか手と足が動かない。 こんな私は汽水でもタモ網1本なので、今のところ捕ったことがあるのは、10cmに満たない小型の個体だけ。 かっよくてでかい成魚も捕ってみたいけど、そのまま小さくしたような個体でも捕れると正直うれしい気持ちになる。 いい感じに、かわいさとやんちゃな感じがミックスされてんだよね~。

夏に捕ったセイゴ。全長は9cm程度。 上流から流されてきたと思われる流木に身を寄せていたようで、うまくタモ網に入ってくれた。

春に捕った全長3.5cm程度の稚魚。 汽水域の浅場にいくつものボラの稚魚の群れ、泥底には小さなマハゼと思われる稚魚がたくさん見られた。 潮が大きく引いた干潟ではシジミ採りの人たちがいっぱい。

第一背びれはなかなか広げてくれないが、 背びれは2枚ある。体側の黒色小斑点は、側線上方にある。

春に捕まえた幼魚。 淀川大堰を越えた淡水域でタモ網に入った。石組の間に身を寄せていたようだ。

GWに捕まえた幼魚。 やや体色が濃くてやや金属チックに光る。岸壁にタモ網を付け壁沿いに足で追い込んだ。

全長4cmほどの幼魚。 上と同所でタモ網に入った。体は緑褐色で眼が大きくて受け口。小さくても成魚と同じ姿だね。

早春に干潟近くで捕った さらに小さい2.5cmくらいの稚魚。浅場を歩くと何匹もの稚魚がススーッと逃げていく姿が見られた。タモ網を上からかぶせて捕る。

砂底に低く海草が生えたところで、 その表面をなぞるようにするとタモにたくさん入った。 立ち枯れたヨシの根元などでも捕れる。こんなところで稚魚は大きくなるんだね。体は透明感が強く、すぐに弱ってしまう。 全長は2.5cmぐらい。

セイゴを真上から。 汽水域の垂直壁の近くをのぞくと、こんな小型個体がうろうろしている様子が見られた。さすがに掬うやり方では捕れない。

夏に見かけたスマートな個体。

上の個体を捕まえた。ずいぶん痩せている。

セイゴの頭部。

下あごが突き出ていて口は上向きだ。 斜め上を見ながらいつもこんな風に獲物を探しているのだろう。

全長約10cm程度の個体だが獰猛な顔つき。 ギロリとした眼に横に開いた大きな口をもつ。

last modified:2023/3/26
created:2015/5/2

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