タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus ~遺伝子汚染の代表種~
コイ科タナゴ亜科バラタナゴ属

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タイリクバラタナゴ

【生態】 全長は8cm程度と小型で、生息域も個体数も多い。止水域を好み、流れの緩やかな河川の本流、支流、わんどに生息し、用水路やため池にもいる。 本種は他のタナゴならとても生息できないと思われるくらい水質が悪いところでも確認でき、水質に対する強さを有しているようだ。 他のタナゴ類同様、二枚貝のえらの中に産卵するが、本種は春から早秋と産卵期間が長く産卵数が多いこと、産卵母貝の選択性が広いことなどから、 在来のタナゴ類にも大きな影響を与えている。 日本固有亜種のニッポンバラタナゴと比べると本種はより大きく強そうで、雄の婚姻色もより「はっきり」「ギラギラ」している雰囲気だ。 子供の頃、田んぼ脇の水路で捕れた時の「平べったい体にド派手な婚姻色」が強烈に印象的で、しばらく眺めていたことをよく覚えている。
【移入の経緯と現状】 原産は中国や台湾であり、1940年代前半にハクレンやソウギョの種苗に混じって日本に入り込んだそうだ。 霞ヶ浦周辺で繁殖するが、後に淡水真珠貝の研究過程で貝の中に入ったままの卵が琵琶湖へと持ち出され繁殖し、全国に広がったようだ。 見た目が美しいため観賞魚としても広く飼育されており、その遺棄や、繁殖のために利用した貝に残った卵による分布拡大もあるという。 在来タナゴが減少した地区への放流なんかもあったそうだ。
大きな問題なのが、日本の固有亜種であるニッポンバラタナゴとの交雑である。 ニッポンバラタナゴは濃尾平野から九州までの広い範囲に生息していたが、本種との交雑により純系が激減、 今では大阪や奈良などのごくごく一部のため池に限らるようになってしまった。 交雑した場合はタイリクバラタナゴの色が濃く出て、交雑がどんどん進み、いずれタイリクバラタナゴになってしまうそうだ。
バラの名に恥じない美しさがあり飼育も容易なことから、現在も全国の観賞魚店でも多く販売されている。 関東では「オカメ」と呼ばれ、特に厳冬期のタナゴ釣りの対象とされ人気がある。困ったことにまるで在来種のような扱いだ。 あるNPOの魚捕りイベントで、カネヒラやタビラなどの在来タナゴに混じって本種が捕れたため、「駆除しましょう」と助言すると、 主催者に「いや、これは!」と否定されたことがある。 もう長く日本に定着しているからとか、綺麗で子供にも人気があるとかは、理由にはならないだろう。 それでは、オオクチバスやブルーギルを擁護することと同じで全くナンセンスだ。 数多くの外来種のうち、なぜか本種だけは小さくて美しいせいか、他の外来魚(国外外来種)とは違う扱いを受けているように感じる。 ニッポンバラタナゴの日本の血を少しでも受け継いでいるから市民権を得る(得ている)とも言う人もいたが、 性質が異なる以上在来種に与える影響は大きく、それは違う。
現在、日本の侵略的外来種ワースト100、生態系被害防止外来種リスト・重点対策外来種に指定され、 滋賀県・ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例の指定外来種になっている。

春の水路で捕まえた雄。とても鮮やかな体色をしていた。 美しい上に飼育しやすいとなれば、そりゃ欲しい人も出て、観賞魚店でも売られるはずだ。

春のわんどで捕まえた雄。ギラギラ・ド派手な婚姻色だ。 タモ網から上げたときのあまりの派手さに、しばらく手が止まった。

春の雌。 明るいところに入れていたので色が抜けてしまっているが、雄のような派手な婚姻色はない。 腹の下に産卵管が見えるが、これは周期的に伸び縮みする。産卵の準備が整っているときはその長さが尾びれを超えるほど。

梅雨時期に捕まえた個体。 雄にはきれいな婚姻色が見られ、雌は産卵管を伸ばしていた。

上と同じ個体。 鮮やかなブルーがきれいだ。本種はこの美しさもあって、市場に出回っている。

盛夏に捕れた個体。 雄には婚姻色がバリバリに残っており、同時に捕れた雌は産卵管が伸びていた。 本種の産卵期間は春から晩夏と長期間で、他のタナゴ類と比較して繁殖力が強いことがわかる。。

上の個体とはやや色彩が異なる個体。 良く肥えている。雄は大型になると背が盛り上がってくる。

真夏に捕った個体。 体の割に背びれや尻びれがとても大きいことがわかる。

捕れた瞬間はものすごい朱色をしていた。 ずいぶん退色してしまったが、お盆過ぎでもきれいな婚姻色を帯びた雄を見ることができる。

シルバーが強く出た個体。 太陽の光を浴びて体がギンギンに光っていた。

初秋の用水路で捕れた個体。 産卵管の伸びた雌はいなかったが、雄は鮮やかな婚姻色を帯びている個体がいた。

秋の狭い用水路を サーッとすくうと大量のメダカに混じって捕れた。

水が止められた 秋の農業用水路で。横を歩く人影に驚き、大小様々な本種が浅い用水路をバシャバシャと右に左に逃げ回っていた。

早春に捕った全長8.5cmほど雄。 体色が薄れてしまっているが、大きくなると背がグッと大きく盛り上がるようになる。

冬に捕れた全長5.5cm程度の個体。 冬は婚姻色が最も薄れる時期で、体色は銀色が強い。同所にはこれよりも小さな個体がたくさん捕れた。

冬にタモ網に入った若い個体。 案外流れのある川なんやけど、流れのゆる~い淀みがあって、そこで命をつないでいるんやろなあ。

手前が雌で奥が雄。 雌の産卵管は濃灰色であるが、この個体のそれはオレンジ色だ。雌には背びれに黒斑が残る。

真冬の用水路でひとすくい。 一度にこんなに捕れるところもある。外来魚ばかりがこんなに大量に捕れると複雑な心境。

こちらは秋の小水路で。 今春生まれの新子たちが、三面コンクリート水路に大量に見られる。毎年毎年どこからやってくるのだろうか・・・。

真冬に捕れた新子。 おそらく雄。雄は成長と共に背びれの暗色斑が消える。

全長が3cmに満たない個体。 幼魚の背びれには黒斑があり、こんなにはっきりしている。見分けにくい他魚との区別点だ。

初夏の淀川ワンドで捕れた幼魚。 今や淀川のワンドでは在来のタナゴ類はもちろん本種ですらほとんど見られなくなった。

3月中旬に水路で捕れた稚魚。 全長は1.5cm程度であったが、1ヶ月以上前に二枚貝から浮上するとは考えにくく秋に生まれ越冬した個体と思われる。 メダカに混じって数匹が捕れた。

産卵のタイミングをうかがうペア。 タナゴ類には共通であるが、雌は長い産卵管を二枚貝の出水口に挿入し、鰓に卵を産み付ける。その正確さと一瞬の早業にはビックリ。 本種は産卵母貝の選択性が広く、期間が長いことなどから、在来のタナゴ類にも大きな影響を与えている。 「大陸」という競争環境の激しいところで生き抜いてきた種だけあって、強い。

last modified:2017/5/6
created:2012/1/7

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