ツマグロスジハゼ Acentrogobius sp. 2
ハゼ科キララハゼ属

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ツマグロスジハゼ

【生息場所】 河口域にある干潟や内湾のアマモ場のなどの泥底や砂泥底などに生息する。スジハゼの仲間では較的塩分の低いところにも姿を現す。
【外観・生活】 全長5cm程度の小さなハゼ。吻は寸詰まりで、下あごがわずかに突出した口をしている。 体色は薄褐色で、小型個体には透明感がある。体側には黒色斑が散在し、中央にはそれらが並び2本の縦条が走る。頭と体側には青く光る小斑があって美しい。 尾びれ基部の黒色斑の下には斜め上方に向かう黒色線があり、尾びれ下部には黒色で縁取られる部分がある。 腹びれの先端、つまり端(つま)が黒い個体が多いことが和名の由来となっている。 テッポウエビ類と共生関係を示すが、単独で生活する個体も多いそうだ。 繁殖期は春から夏で、テッポウエビの巣穴や貝殻の下などに産卵し、親魚の多くは産卵後死亡するという。 孵化した後は浮遊生活を経て、夏から秋に着底、生後約1年で成熟するようだ。ゴカイ類などを食べる動物食性。
【捕る】 砂泥底をタモ網で引きずる。
【その他情報】 スジハゼ類は色彩や生息環境が異なる3種類が含まれていることが以前から指摘されていて、それらはスジハゼA、スジハゼB、スジハゼCと区別されていた。 2013年2月26日に発刊された日本産魚類検索全種の同定第三版にてそれぞれに標準和名が与えられた。 本種はスジハゼAと呼ばれていた種に該当し、スジハゼBは現在のスジハゼ種、スジハゼCはモヨウハゼ種だ。
【コメント】 えらぶたや体側にきれいな青いキラキラ斑点をもつハゼ。これが何とも言えない色で薄紫のような、水色のような、瑠璃色のような青だ。 体には名前の通りスジをもつけど、成魚を手にするとこのキラキラした青色に眼が奪われる。 構造色なので太陽の光を浴るとメタリックに光り、地味な体色に浮かび上がって見える。 汽水域にはこれまで何度も足を運んだが、本種はかなり後の方で捕まえたハゼだ。 もともと南方に多いことや、スジハゼ類は総じて塩濃度が比較的高いところを好むためだと思う。 しかし全国的に見れば普通種なので、場所や時期さえミートすれば簡単に出会うことができる。 はじめて捕まえた個体は、小さいながらも青く輝く斑点がやはり印象的だった。ただ、そのとき本種がツマグロスジハゼという和名であることを知っていれば、 もっとスジ(体側の筋模様)に注意したし、名前の由来になっているツマグロ(腹びれの先端)ももっとよく見た。 名前を知らない種を捕ったとき、家に帰って調べるよりも、できればその場で確認した方が良いな。 手は濡れているし体は汚れているけど、観察する目、視点が違ってくる。

早春の干潟で捕まえた個体。 やや深みがある砂泥底でタモ網に入った。体を青く光る小斑がとても美しい。全長は5cmに満たない。

同所で捕れたやや小さな個体。 青く光る小斑が少ない分、体側の縦条がよくわかる。 尾びれ基部の黒色斑の下に斜め上方に向かう黒色線があり、尾びれ下部に黒で縁取られる部分がある。

トップ写真と同じ個体。 全長約5cm。体を斜めにしてひれを広げたところ。青色小斑が美しいー! ツマグロの名の通り、腹びれの先端、つまり端(つま)が黒いね。

早春の個体。 礫が混ざる砂泥底をタモ網を引きずったら入った。写真ではわかりにくいが、小さくても体に青色班点が確認できる。

早春に捕まえた個体。 全長は3cmを超えるくらい。体側には黒色斑が並んでいるが、和名のもとになったと思われる筋模様は・・・明瞭ではないな。 尾びれ下部が黒色なのが本種の特徴だ。

別個体。 筋模様が一応何とか見られる。全長3.5cmくらいでまだ成長途中。

潮が引いた春の汽水の泥底で捕まえた。タモ網の中で見 つけたこの個体、青色の斑点がきれいだったなあ。

腹びれは吸盤状だ。 ツマグロ(端黒)には見えないが、その他の特徴から本種で良いと思う。

初秋の干潟で捕まえた 全長約3.5cmの個体。スジハゼの名のように口から尾にかけて体側に縦条がある。 地味な魚ばかりが捕れる中でタモ網ですくった泥の中から姿を現したときの青色に輝く斑点がとても印象的。

秋の初めの個体。体側の青 く光る斑点がきれいだ。腹びれには”ツマグロ”が見られる。 ひれを広げてくれると嬉しいんだけど。

秋の泥底で捕まえた。 第1背びれ後方に黄色の斑がある。

秋に捕まえた 全長3cmほどの幼魚。水から上げたときの、体側の青く光る斑点がきれいなんだよね。 名前のスジには目が行かず、斑点にばかり目が行くもん。

秋の干潟でタモ網に入った。 泥底ごとすくって、水の中で揺らすと泥が流れて、一緒に入ったハゼたちが姿を現す。ツマグロの名のごとく、腹びれの後端が黒い。

秋に干潟で捕まえた個体。 全長3cm程度。砂泥底にタモ網をはわせると薄茶色の泥に混じって、青い斑点をキラリと輝かせてくれた。腹びれのツマ(端)がクロ(黒)い。

さらに小さい個体。 はじめは青色斑点が見られたが薄くなってしまった。タマリの石の脇をけりこむとタモ網に入った。

秋に捕まえた個体。 体側の青白く光る斑点がきれいだね。腹びれ端が黒い。

秋に捕まえた個体。 全長約4cm。軟らかい泥底でが何匹も確認できたが、この個体のキラキラはぴかいちだった。黒っぽい体にこの斑点はきれいだね。

体をひねったところ。 体側には青色に輝く斑点がある。ツマグロの名の由来となった、腹びれのツマ(端)がクロ(黒)ことがわかる。

尾びれの下方に 黒い部分があることも特徴。

真上から。 一般的なハゼのシルエットだ。

春に捕まえた成魚。 泥底にいたせいか、背は泥っぽい色をしている。

腹びれの端が黒いことが 真上からもわかる。

頭部拡大。 吻はとても短く口は上を向いていて下あごが出ている。胸びれ基部には小さな小さな黒点がある。ゴミではないよ。

トップと同じ個体。 金属的に青く光る。モルフォ蝶と同じ青の波長を反射する構造色だ。

小型個体を正面から。 ほほを走る2本の褐色線、大きな眼が印象的だ。

成魚を正面から。 丸い頭部にある口は意外と小さいのだ。

肩部の青色斑が鮮やか。 えらは金色に光る。スジハゼの名の通り、顔から体にかけて縦条が走る。またツマグロの名の通り、腹びれの端は黒い。 胸びれ基部に小さいな黒点がある。

唇が黒くてガラが悪い顔。

小型個体を手にすると こんな感じ。透明感がある。

last modified:2023/11/3
created:2016/11/8

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