ニホンウナギ Anguilla japonica
ウナギ科ウナギ属

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ニホンウナギ

【生息場所】 河川の中流から河口域に生息している。池や湖沼にいることも。
【外観・生活】 全長は80cm程度。体色は背面が灰褐色から青灰褐色、腹面が白色で、クニャクニャする細長い体をしている。 背びれ、尾びれ、尻びれはつながっていて、胸びれは団扇のように丸い。口は大変大きくて目の下まで裂けているところはさすが肉食魚といったところ。 夜行性で昼間は砂泥の中や水中に沈んだ障害物、岩の陰や石の隙間に身を潜め、夜間に河川の開けたところで活発に餌を追う。 雨の日には陸上をはって移動していることもあるし、大きなミミズほどの本種が堰の脇の壁をニョロニョロとはい上がっていることもあり、 その行動は実にパワフルで、まさに「ウナギのぼり」。肉食性で水生昆虫、エビやカニなどの甲殻類、小魚を食す。 本種は繁殖に関して旅をすることで知られている。 5~12年間を淡水域で過ごした成魚は、夏から秋に繁殖のため降海し、マリアナ海嶺のスルガ海山付近で産卵するそうだ。 それは6~7月の新月の日に行われるとされ、幼体はレプトセファルスという透明で薄い木の葉のような形で海流に乗り漂う。 早春の頃、沿岸に近づくと5cm程度の半透明なシラスウナギに変態して川を遡上し、我々の目に付くところとなる。
【捕る】 昼間は小型の個体が多いが、河川の下流域で捨て石の下を探ったり、岸近くにある倒木や廃タイヤなどのゴミをどけたりすると見つけることができる。 大きな個体であれば、ミミズなどのエサを入れたウケと呼ばれる道具を夜間に沈めておいて早朝に引き上げたり、釣りや置き針で捕ったりもできる。 本種は多くの都道府県で採補での全長制限があり、例えば大阪では全長20cm以下は採捕禁止だ。 制限以下の個体を捕った場合は、優しくその場に戻してあげよう。
【飼う】 飼育は容易であるが、本種の生態を考えて石組み、竹筒、塩ビパイプなどで体を隠せる隙間をつくってやる必要がある。 エサは生きたエビや小魚が良いが、赤虫、冷凍イカや魚の切り身でも食べるようになる。 大きなエサを口にくわえ、ぐるぐる高速回転しながら食いちぎる様はすごい。 何日もエサをあげないでいても平気。多分数ヶ月は大丈夫だと思う。この魚のパワーとスタミナを感じるところだ。 本種は何と言っても脱走に注意が必要。居心地が悪いとほんのわずかな隙間であっても脱走してしまい、後日干からびた死骸を発見することになる。 それからサイズが異なる本種同士の混泳にも注意が必要だ。腹を減らしていると共食いし、体が半分以上口から出ている様子を何度も見ることになる。 いずれ食われるか、死骸を見る。
【その他情報】 我々日本人には大変馴染みのある種だ。落語や浮世絵にも度々登場し、「うなぎのぼり」や「うなぎの寝床」などの慣用句にもなっている。 本種はこれまでウナギと呼ばれていたが2010年に改称が提案され、2013年2月発刊の日本産魚類検索全種の同定第三版にはニホンウナギと記載された。 美味で昔から食用にされており、夏バテ防止のため7月末の土用に蒲焼きを食べる習慣がある。 他の川魚料理は衰退が著しいのにウナギだけは消費欲が衰えず、国内生産だけでは全く足りない状況だ。 一般に口に入るのは早春に遡上してきた無色透明のシラスウナギと呼ばれる幼魚を捕らえ、湖や池で大きくして出荷されている養殖物が多いのだが、 近年、このシラスウナギが世界中で激減しているそうで問題になっている。 河川環境の悪化や乱獲などが原因とする見方もあり、本種は2013年2月に環境省レッドリストで絶滅危惧1B類に、 2014年6月には国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでも絶滅危惧1B類に指定された。 シラスウナギは香港など海外からの輸入が多くなっており、今後ワシントン条約で国際取引が規制されれば、食卓から更に遠のく可能性が言われている。 また水産省は自主規制として資源保護のために養殖量に上限量を設け、養殖に必要な稚魚の乱獲に歯止めをかける検討をしている。 その一方で、本種の生態についてはかなり詳しく解明されつつあり、未だ多くの課題は残るものの完全養殖の道も少し光が見えてきたようだ。 海から遠い琵琶湖にも昔から本種が生息しており、海から淀川を経て琵琶湖にまで遡上していたそうだ。 ところが南郷洗堰が1905年に完成すると遡上量が減少し、さらに天ヶ瀬ダムの完成で遡上することができなくなったので、 現在の琵琶湖では放流維持されている。
【コメント】 謎の多い魚、ニホンウナギである。ウナギと言えば一般の方には、天然なのか養殖なのか、国内産なのか中国産なのかが気になるところかと思うが、 和名をウナギからニホンウナギとすることで、これまでザクッと扱われてウナギについて在来種かそうでないかをより強く意識できるようになった。 自宅には数年前から飼育している個体がいて、現在かなりのサイズに成長している。 購入してきた冷凍アカムシや魚捕りに行ったついでに捕ってきたエビ類などをエサとして与えているが、全く人に慣れる気配がない。 私に愛嬌をふりまく素振りも見せない。その点はコイ、フナやタイリクバラタナゴなんかとえらい違いだ。 水槽のウナギに対して、狭い世界に閉じこめて悪いなと思いながらも、水換えやエサやりなどお世話しているんだから、 ちょっとぐらいこっちを向いてくれても・・・とも思う訳で、何となく寂しい気もする。 観察していても何を考えているのか、よくわからない不思議な魚でもある。 そんなこんなを考えると、本種は捕って飼育するより、やっぱり食べた方が断然良いのではないかとの結論にいたるのだ。抜群に美味いしね。

汽水域で捕った個体。 全長は20cmを少し越える程度。鱗がなくて表面はヌルヌルしていて、つかもうとしてもスルッと手の間を抜けてしまう。 観察ケースに入れるのも一苦労だ。

別個体。胸びれ以外のひれはぐるっとつながっている。

早春の個体。 全長5.5cm程度で体は半透明、いわゆるシラスウナギという段階かな。観察させてもらった後は、丁寧にすぐに逃がしましたよ。

頭部は上から見るとえらの辺りが膨らみ、 三角形をしているように見える。その後ろには円いひれが2つ。

肉食魚らしく口は目の下まで大きく裂けている。 下あごが出ていわゆるシャクレだ。口に入るものなら貪欲に食べる。引きちぎるときは獲物を口にくわえ、ものすごい勢いでドリル回転する。

川岸の石組みの中に隠れていた個体。 体は滑らかで背面は灰褐色で腹面は白いツートンカラーだ。団扇のように丸い胸びれがかわいい。

昼間は石垣の穴などに潜んでいて、 夕方暗くなる頃から活動する。とかく隠れることが大好きだ。

ヘビのようだ。

背びれ、尾びれ、尻びれはつながっている。

真正面はこんな顔。 川では障害物の隙間や細い穴などに流れに向かって身を隠し、餌が来るのを待っている。可愛い顔しているが、近寄ってき魚やエビをパクリとやる。

last modified:2016/3/18
created:2012/1/7

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