ウツセミカジカ Cottus reinii
カジカ科カジカ属

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ウツセミカジカ

【生息場所】 河川の中流域や下流域で流れのある礫底や砂礫底に生息する。琵琶湖では、流入河川下流部や湖岸の砂礫底に多い。 秋冬には琵琶湖の水深60~80mのかなり深いところにいるらしいが、その年生まれの幼魚など、すべての個体が琵琶湖に移動するわけではないようだ。
【外観・生活】 日本の固有種で全長は10cm程度になる。容姿はカジカ(カジカ大卵型)やカジカ中卵型に酷似するが、 胸びれの軟条数が多いこと(本種は15~17本)、尾柄高が低いこと、卵が小さいことなどで区別される。 体色は薄褐色から暗褐色まで変異に富んでおり、背から体側にかけて暗色の斑紋が4つほどある。鱗はもたない。 3月から5月が繁殖期で、湖岸と流入河川下流の礫底の浮石の下に雄が縄張りをつくり、雌を誘い入れて産卵する。婚姻形態は一夫多妻なんだそうだ。 雄は孵化まで自分の卵を保護する。 孵化した5mm程度の仔魚たちは川を流れ下り、約1ヶ月間琵琶湖で浮遊生活をした後、全長10mm程度に成長して底生生活に移るそうだ。 成魚は夜行性で、主に水生昆虫や甲殻類などの底生小動物を食べる。
【捕る】 川岸の草や石などに体を寄せているので、タモ網を構えて捕る。
【飼う】 飼育はカジカ(カジカ大卵型)同様に難しい部類だろう。飼育にはクーラーが必須かもしれない。
【その他情報】 カジカ類は、河川上流域に生息する陸封性のカジカ(カジカ大卵型)と、中・下流域に生息し両側回遊性のカジカ中卵型および本種の3つに分けられている。 卵は最も小さい。湖の環境悪化および外来種の増加により、個体数は急速に減少している。
【コメント】 見た目が酷似するカジカ3兄弟の末弟。尾柄がキュッと締まっているので、頭と胸がより大きいように見える。 本州および四国の太平洋側に生息するが、琵琶湖の北湖流入河川にも広く分布している。 カジカ類と言えば長兄のカジカ(カジカ大卵型)が最初に頭に浮かび、水が冷たく 大きな石がゴロゴロしている流れの強い上流域をイメージするが、 本種はヌマチチブやウキゴリなども同所に見られるような、夏場には温い水が流れ、流れが緩やかな中・下流部で見られ、生息環境はずいぶん異なる印象だ。 はじめて捕まえたのは、初夏の強い日が刺す琵琶湖岸、湧水が流れ込む細流の合流地点でだった。 小さな個体だったけど、数多く見てきたトウヨシノボリと比べて、体がよりカクカクしていて、はっきりした暗色斑模様があったので、 即座にカジカの仲間が捕れたと思い、テンションが上がった。今となっては琵琶湖周辺で必ず入る馴染みの魚であるが、 はじめて手にしたときの場所の様子や水の冷たさなどの感覚、その時の気分の高揚などはよく覚えているものだ。

3月中旬に捕まえた個体。 大きな頭に大きな胸びれをもつ。がっしりした体で背が盛り上がり、猫背のように見える。カジカ類は愛嬌ある姿をしていて好きだ。

石が混じる礫底で捕まえた。 川は雪解け水でやや増水していて流れも強かった。

4月に捕った全長6cmの個体。 琵琶湖流入河川にいる・いないは時期により結構はっきりしている。

4月に捕った5cm程度の個体。 トウヨシノボリと一緒に大量に捕れた。

4cm程度の若魚。 4月には琵琶湖流入河川で普通に見られるようになる。

全長8cmほどの個体。 琵琶湖に流れ込む小さな水路で捕った。琵琶湖から続く三面コンクリート部分に生き物は見られないが、草が生える土手、砂底になるとわんさかといた。

春に捕まえた個体。 体を浮かせてこっちを向いている。かわいい~。

琵琶湖に流れ込む 小さな水路のボサでタモ網に入った。 頭部は大きく、体の割に尾柄はかなり細い。尾びれを広げるとボン・キュ・ボン。

春の終わりに捕まえた 全長約6.5cmの個体。 あと数mで琵琶湖というところの、流れのある岸草の茂みでタモ網に入った。周囲ではアユがクネクネと群れて泳いでいた。

5月末に捕った個体。

胸びれを広げると こんなに大きい。 濃い体色は河川環境によるのだろうか。

赤みが強い個体。 全長7.5cm程度。琵琶湖流入河川河口部の砂泥底で捕まえた。

6月の湖西の流入河川下流部で。 流れの速い岸草の下に隠れていた。

6月に捕った全長7cmの個体。

梅雨の中休みに捕った個体。 川の水は少なく水温がかなり高かった。カジカ類は冷水に住む印象をもっていたので意外。ある程度なら高水温に耐えられるということだろう。 全長はおよそ7.5cmだった。

琵琶湖岸に近い 水田地帯を流れる水路で捕まえた。全長8cmほど。ひれを広げてくれたのでその瞬間をパチリ。

やっぱ本種は頭がでかい。 一方、尾柄はなぜここまで細い?っていうくらいキュッとすぼまっている。 琵琶湖に流れ込む小川の河口部で水草を蹴り込むとウキゴリやアユなどとともにタモ網に入った。

初夏に捕まえた個体。 全長9cm程度。水中を泳ぐときはこんな感じかな。尻びれ全開。

初夏の琵琶湖流入河川で コアユに混じってタモ網に入った。 全長7cmくらい。

初夏に捕まえた個体。 背びれが3つあるように見えるのは、第2背びれが割れているからだよ。

夏の琵琶湖流入河川で捕まえた。 流れが強いところで草の陰や石の下を足で探ると下流側に構えたタモ網に流れ入る。 本種は琵琶湖流入河川でもよく捕れるが、カジカの仲間なのでやはり流れの速いところが好きなのかな。全長は約9cmだった。

琵琶湖に流れ込む水路で 秋に捕まえた個体。ユラユラ揺れる水草の脇を追い込むとタモ網に入った。観察ケースに入れると、体をクネクネさせながらケースの端まで後退する。 何かに寄りかからないと落ち着かない。全長10cm程度。

川岸の石組を 足で追い込むとタモ網に入った。全長約9cmの個体。

初冬の小河川でタモ網に入った。 全長は7cm程度。観察ケースに入れると落ち着かない様子だが、こんな風に尾びれをくねっと持ち上げる姿をすることがある。

冬(2月)の 琵琶湖流入河川で捕まえた雌。 瀬の石の間でタモ網に入った。全長10cmほど。お腹が丸く膨らんでいたので卵を持っているんだと思う。

冬に捕まえた。 全長4.5cmほどの小さい個体。どこか笑っているような表情でかわいい~。

早春に捕った個体。 尾柄は大変細く、頭部が大きい。胸びれを広げたところをパチリ。

早春の雌。 卵でお腹がぷっくり。

腹びれには模様がなく、 吸盤状になっていない。

こんなアングルで見ると 砲弾のように見える。

初夏の琵琶湖で捕れた 15mm程度の小さな小さな個体。冷たい湧き水が流れ込む細流との合流地点で捕れた。琵琶湖固有の中で私がはじめて捕った個体だ。

琵琶湖河口域で捕れた稚魚。 透き通った川底を見てみるとピョンピョン動く本種がウジャウジャいる。

冬に琵琶湖流入河川河口部で 全長2~3cmくらいの個体がたくさん捕れた。成魚は全く捕れなかった。越冬のため既に琵琶湖に下った後なのだろう。

春の河川で捕った成魚。 捕れたときはカジカ(大卵型)かも?と思ったが、胸びれの条数を数えて本種と確認。16本でした。

カジカ(大卵型)は 観察ケースにぴったりと体を寄せようとするが、本種はその傾向はやや弱いように思う。

早春に捕った個体。 この個体、妙に胸部が大きくてマッチョだ。

冬(2月)の雌。 お腹がすごい!卵でパンパンなんやろうな。

全長10cm程度の個体。 カジカの仲間は観察水槽に入れると、尾びれをキュッと縮ませてクネッと上に上げるポーズをよくする。 ここまで大きな個体はあまり捕った経験がないが、尻びれがとても大きくて印象的だった。

ウツセミカジカの頭部。 少しわかりにくいが、この個体の胸びれ条数は17本。酷似するカジカ大卵型よりも多い。

夏に捕まえた個体の頭部。 この個体はややスマートなのかな、精悍な横顔に見える。

正面からみるとこんな感じ。 左右に広がる大きな胸びれをもつ。胸びれは正面から見た方が数えやすいね。

ブサかわいい。

琵琶湖流入河川下流部で。 周囲に溶け込む体色・模様だ。これはちょっとだけやらせ写真。

last modified:2023/7/20
created:2012/1/7

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