ワカサギ Hypomesus nipponensis
キュウリウオ科ワカサギ属

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ワカサギ

【生息場所】 湖沼やそれに注ぐ河川下流部、海の内湾に生息する。本来汽水に生息するが淡水域にも適応している。
【形態・生活】 全長は15cmを超える。体は細長く、背は濃いオリーブ色で腹は銀色。側面は全体的にメタリックにキラキラしているが、 体側には青銀色に輝く縦帯がある。小さな脂びれをもつ。キュウリウオ科というだけあって、手にもつと青臭いキュウリのようなにおいがある。 水温や塩分などに広い適応性があり、群れをなしてスピーディに泳ぎ回っている。 産卵期は2~3月が中心で、湖沼や川の岸ないし底にある草や枯れ枝、石などに卵を産み付ける。 昼間に河口に集まり、日没後に流入河川に多数が遡上し産卵、そして夜明けには一度湖に戻り、再び日没後に遡上して産卵する行動を繰り返す。 産卵期の湖岸や淵などでは塊状に群れて水面をわき立てることも多いそうで、どんな様子か一度見てみたいものだ。 満一年で成熟、産卵し、多くの個体が死ぬ。動物性プランクトンを食べる雑食性だ。
【捕る】 晩秋から初春にかけてのワカサギ釣りは有名。 冬には冬眠状態になって釣りにくくなるフナやコイなどとは異なり、本種は真冬でも群れて泳ぎ、餌であるプランクトンなどを活発にとるからだ。 産卵のために浅い川に遡上してきた個体をタモ網で捕ることもできる。 流心付近で群れになってゆっくり泳いでいるので、ゆっくり近づいて岸の浅瀬に徐々に追い込み、タモ網を下からそーっと入れてすくう。 または障害物の陰に逃げ込んだ個体を足で追い込んで構えたタモ網で捕る。 琵琶湖では繁殖期の夜になると湖岸の波打ち際にやってくるので、タモ網で簡単にすくいとることができる。
【その他情報】 漢字で「公魚」と書くのは、江戸時代に霞ヶ浦沿岸の者が本種を時の将軍家に献上し、大いに気に入られたことによる。 一方、ワカサギという名称は、ワカ=若い(清新)とサギ=細魚(小魚)が合成したものなど、諸説ある。 本種は広い適応性を有し、食用有用種として全国的に増殖され卵で放流されている。スーパーでもよく売られており、 天ぷらやフリッターで食べると確かに美味だ。 経済価値が高いため、ブラックバスの放流で必ず問題になるのが本種の食害だ。 古くから琵琶湖にも移入が繰り返されたことがある。 ほとんど繁殖しておらず数も少ないと聞いていたが、最近は琵琶湖でも増えてきたようで、多数漁獲されている。 今ちょっとしたブームなのは、ワカサギすくい。繁殖期の夜になるとにわか漁師がやって来て、湖岸に寄る群れをタモ網などですくいとる。 淀川でもまれに採補されるが、これは琵琶湖に移植された個体群に由来するものだと思う。
【コメント】 本種との出会いは、子供の頃に叔父に連れて行ってもらった山上ため池でのワカサギ釣りだった。 しかし、その後は特に本種が生息・放流されている場所との関わりもなく、私からすれば比較的遠い存在の魚のひとつだった。 少し足を延ばしてワカサギ釣り場に行けば、おそらく容易に捕れる(釣れる)と思っていたが、 人の手で湖沼にドンと放流された個体群を相手にすることが嫌だったので、出会うことはまずないだろうと思っていた。 ところが、ある年の早春の夕刻、琵琶湖流入河川の河口近くでたまたま1匹だけタモ網に入ったことがあった。 スマートで銀白色にキラキラと輝く体が美しく、すぐに死んでしまったこともあって繊細な印象を受けた。 その後、何度か琵琶湖岸や流入河川河口部で捕まえたり、すくったりするようになって遠い存在ではなくなったが、 それでも15cmを超えるサイズがバンバン捕れると変な違和感を覚える。 ワカサギって思ってる以上にデカイ!最初は新手の外来種が捕れたと思ったもん。

1月半ば、 産卵のために湖岸にやってきた個体を捕まえた。流れるような細長いスタイルをしている。 口は上を向く。水の中では背側は褐色で腹側は銀白色。あぶらびれがある。

ぷりっとしたお腹がいいね。 日が沈むと湖岸に向かう。調子がいいとたくさん獲れ過ぎる。持ち帰るのは食べられる量に抑えましょう。獲り過ぎ注意!

早春の琵琶湖流入河川で。 河口近くに群れていた個体のひとつ。全長は15cmを超えるくらい。水から取り出すと背は濃いオリーブ色なのに、観察ケースからは褐色に見える。

川では主に表層部を流れに逆らいながら ゆっくりと泳いでいた。散らしてもまた集まって群れになる。観察ケースに入れると下を向く。

群れとの距離を下流側から少しずつ 詰めていき、川岸近くの浅場に追いやる。そして逃げ道を上手に読みながらゆっくりとタモ網を伸ばして下からすくい上げた。 こんな調子で10匹ほど続けて捕ったが、こんなにどんくさくて大丈夫?

スラッとした美しい魚体だ。透明感がある。 全長は12cm程度。美味しそうに見えてくる・・・。

体側はキラキラしている。 こんなところは海や湖の魚って感じだな。

2月中旬、琵琶湖岸で捕まえた雌。 全長14cmほど。お腹は卵でパンパン。琵琶湖では国内外来種。どんどん捕ってどんどん食べたら良い。

夜に湖岸で掬いとって、 雄と雌を何匹か一晩生かしておいておくと、ケースの底は卵がびっしりで、水が白濁していた。 この季節は、卵を産みたくてしょうがないんだな。この個体にも尾びれや体に卵がついている。

体側中央にキラリと光る縦帯がある。 卵は生み終わった後なのかな、お腹が凹んだ雌。

全長11cmほどの小型個体。 この手の小型の個体は雄かな。

全長8cmほどの小型個体。 光の角度によってはより広範囲に銀色に輝く。これも雄かな。

2月中旬に捕まえた雌。 数百匹捕った中でこれくらいが最大やったので、本種の最大全長はおよそ15cmぐらい。

こちらは同時に捕れた雄。 雌と比べると尻びれが大きくて長方形をしている。胸びれ、腹びれ、その他のひれも相対的に大きい。 お腹はぺしゃんこ。全長は12cm程度で、雌と比べると二回りほど小さい。

最も小さかった個体。 全長5cmを少し超えるぐらい。尻びれが大きいので雄。体がややいびつでおそらく成長不良と思われる。

桜咲く頃に、琵琶湖流入河川で捕った個体。 最初はアユかと思った。

全長11.5cm程度の個体。 青銀白色に輝き細長い。

捕ってすぐに死んでしまった個体。 死ぬとこんな風に口をあける。この状態で発見すれば、「うわ、シシャモだ」となること間違いなし。スーパーで売られているシシャモにほんとそっくり。

水面からみると褐色が強い。 体を少しにょろにょろさせながら流れに逆らって泳いでいた。

背の前方は緑褐色。 うろこがキラキラしていた。

ワカサギの背中ってラメラメ! この表現がぴったりだな。写真ではうまく写ってなくて、少しだけだけど、太陽の光を浴びた背中はすっごいラメラメやった。 新たな気付きでした。

アルミ箔を張ったようなキラキラした頭部。 モロコ類などと比べると、ほほは大きく眼は小さめ。口は上向きにちょこっとついている。

面白い顔。 口はこんな風に上を向いていて、大きく開く。

集合写真。 ちなみに一番上にいるのは雄。大きい胸びれをしている。

シシャモみたいになった個体を正面から。 大きな口で水を吸い込み、奥に見える鰓耙(さいは)でプランクトンをこし取る。

小さな脂びれがわかるだろうか。 尻びれがこすれたようになっているのは産卵のせい?

お腹に卵をもっているだろう雌。 体側中央から腹側がシルバーに輝く。まぶしー!手はキュウリのようなにおいがついた。

少し傾けると、 体側中央がきれいな青色に見える。

体側中央の縦帯と膨らんだ腹部との間は、 薄黄色に輝く角度がある。美しい魚だな。本種はいろんな色をもっているんだね~。


捕った一部をケースに入れてみた。 透明感のあるあめ色をしている。

一晩おいても元気。 美味そうって思ってしまう・・・。

食べる前の数匹を皿に並べてみた。 大きい個体は15cmを超えるていて少し骨が気になった。下から三番目の個体には卵があった。 家族で大変美味しく頂きました。ご馳走さまでした。

素揚げしてみた。 やっぱり美味かったです。

軽く塩を振って焼いてみた。 意外とこれが一番美味いっ!日本酒にあうわー。レモンをかけたら味はシシャモ。同じキュウリウオ科だけのことはあるな。

天ぷらにしてみた。 1匹仲間はずれがいます。同時に捕れたので同じく天ぷらにしてみました。天ぷらも美味かったー。

last modified:2023/2/15
created:2014/4/5

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