ズナガニゴイ Hemibarbus longirostris
コイ科カマツカ亜科ニゴイ属

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ズナガニゴイ

【生息場所】 河川の中流域の砂礫底や砂底に生息している。
【形態・生活】 全長は20cm程度。褐色をベースに光の加減でキラキラ銀色に輝く体色をしている。 全体的な雰囲気はニゴイに似るが吻が長い。体側には金色の縦筋があり、8本前後の黒点列が並び、背びれと尾びれには細かい黒点が広がっている。 雌の尻びれが長く伸張することが特徴で、初夏の産卵時に砂をかき混ぜながら卵をばらまくのに役立っている。 雌ではなく雄の尻びれが伸長するオイカワやカワムツなどと対照的なのが面白い。 普段は流れが緩やかな場所の低層に小さな群れをつくって泳いでいる。 水面に浮かんできたり、驚くと砂に潜ったりするらしいが私は見たことがない。水生昆虫などの動物食に偏った雑食性だ。
【捕る】 釣りあるいはタモ網で捕る。見えている個体をタモ網に追い込んで捕ることは簡単ではないが、経験上、本種は意外と簡単な部類かも。 群れて泳いでいる割には一度にあまりたくさん捕れたことはない。
【飼う】 性格は大人しく混泳も可能。丈夫で飼育は極めて容易だ。 長期間飼育していると、だんだん吻が短くなってきて、もともとの顔のスマートな感じが損なわれてくる。 私の飼育の仕方が悪いのかも知れないが、飼育下での成長スピードは遅いように思う。
【その他情報】 ニゴイの仲間であるが、本種はニゴイよりもより原始的な種。 ニゴイに比べ、体に対する頭の長さが長いことから「ズナガ」の名があるが、まぁ、名は体を表している。 中国地方から近畿地方に広く分布するが、どこにでも生息している訳ではなく、生息河川は離散的に限られているそうで、 淡水魚の研究家からするとなかなか興味深い種なんだそうだ。
【コメント】 比較的水がきれいなところで5~10匹程度の群れでゆったり泳いでいる姿を見かける。 これといって特に美しい姿をしている訳ではないが、マニア心がくすぐられるというか、とても魅了される魚のひとつだ。 子供の頃から淡水魚の図鑑をよく眺めていたが、その頃から気になる魚のひとつだった。 大人になって行動範囲が拡がると、淀川水系のいろんなところに出かけるようになり、気になっていた魚に「そのうち出会う」ことも増えていった。 しかし本種については「そのうち出会う」ことを待つのではなく、狙ってわざわざ捕りに出かけた。それも冬だったので、よほど出会いたかったということだ。 狙いはズバリ的中で、その時はたった1匹だけだったがタモ網で捕ることができた。 薄褐色の体に体側を走る細い金色の縦帯がとても印象的で、とても嬉しかったことを覚えている。 本種は吻が長いことや黒い斑点が全身に散らばるなど独特の雰囲気をもっているが、原始的な種と言われると、それらの特徴からそう見えるから不思議だ。 とかくこの魚、よくわからないんだけど捕れると嬉しいんだよね。なんでか自分でもよくわからないけど・・・。

春のはじめに捕まえた個体。 河川中流域で岸草を足で追い込んだらタモ網に入った。全長は12cmに満たないぐらい。 尖った吻からすーっと伸びやかなスタイルで、体側を走る黒色点列がある。個性ある見た目だ。

春に捕まえた全長約10cmの個体。 砂地にいたせいか体色はシルバーが強め。名の通りニゴイに似ているが、より原始的と言われると確かにそう見えるから不思議。

春の終わりに捕まえた 全長14.5cmほどの雌。岸近くの浅く水草があるところでタモ網に入った。銀色に光る体が美しい~。お腹が膨れていたので、卵をもっているようだった。

サラサラと流れる川で捕まえた。 水草の脇に構えたタモ網に入った。改めてなかなかカッコいい魚だね。ニゴイとカマツカを混ぜたようだ。

上と同じ個体。 少し角度を変えると、体側の金色縦帯が見える。自宅水槽ではそれがよく目立つ。

夏に捕まえた全長9cmの個体。 思いがけず出会ったので、捕まえた時に一瞬本種だとわからなかった。 改めて観察すると、今までに出会った個体と比べて目が小さかったり、吻がやや上を向いていたりなど、顔つきが違う。

上の個体と同所で捕まえた。 明るい砂底の上を群れで遊泳していた。ここの個体は褐色がかった体色をしているようだ。

夏に捕まえた個体。全長11cmほど。中 流域の深くなった淀みで群れで泳いでいた。頭部に追星が出ていたので雄だね。改めて美しい魚だっ!

上と同じ個体。太陽光を反して銀色にキ ラキラするときがある。

夏に捕まえた全長約13cmの個体。 細長い楕円を描くような、緩やかな曲線からなるシルエットが美しい。 上から被せるようにして砂底をすくったら、ニシシマドジョウと共にタモ網に入った。 タモ網で捕れるのはこれくらいのサイズが最大かなー。

上と同じ個体。 シルバーの体色で、ひれをピンと伸ばした姿はとてもかっこいい!

全長9cm程度の個体。 体側の斑紋や金色の縦条が薄っすらと見える。群れで泳いでいるところを見るけど、一度にあまりたくさん捕れることは少ないかな。

秋に捕った全長6cmほどの若い個体。 ドジョウを捕る要領で砂の表層をサーッとすくったらタモ網に入った。もしかしたら、砂底にもぐってた?

秋の個体。 全長は約10.5cm程度だった。光の加減で体はやや緑っぽくも見える。川底に広がる水草に身を寄せていたようだ。

秋に捕まえた個体。 水が淀んでいる比較的大きな淵の岸近くで、この個体が見えたのでタモ網に追い込んで捕まえた。 普通、見えた個体は簡単にタモ網に入らないことが多いが、案外簡単だったので驚き。

繁茂した水草の脇に隠れていた。 とがった吻、スーッと伸びやかな体形は何度見てもかっこいい。 シルバー色のボディに8列ほどの黒点列もいい感じ。全長11cm程度だった。

上と同じ場所で捕まえた。 上の個体より一回り大きいぐらいのサイズ。タモ網を構え、足で追い込んだ。 吻のとがり具合、体側にある黒点列で、たまに同所で捕れるニゴイ or コウライニゴイではなく、本種だとすぐにわかる。

上と同じ場所で捕まえた個体。 どうやら同じようなサイズの個体が複数匹固まっていたようで、場所をずらすと一匹ずつタモ網に入った。 全長は15cmくらい、尻びれが長いので雌だ。

体を弓なりに曲げてポーズ。 体側には黒点が列状に並び、背びれや尾びれも黒点がある。吻は尖っていて、原始的なイルカを連想してしまった。 なんかこの個体、眼がかわいかったんだよね。

冬の川の水底でじーっとしていたので、 見ながらタモ網に追い込んだら簡単に捕れた。本種は見捕りがやりやすいかも。全長は10cm程度だった。

雪が軽く積もった川で捕まえた。 冷たかったけど、この魚と出会えるなら寒さを忘れてるわ。いつ見てもかっこいい魚だね。 尖った吻からすーっと伸びるスタイルがいい。体側には黒点列が並び、背びれと尾びれには黒点が散らばる。

淵にある水草の中に隠れていた。 イトモロコやムギツクのおちびさんも同所でたくさん捕れた。体を弓なりに曲げてポーズするのは本種の特徴だな。 いつも意識しているわけではないけど、この魚が捕れたら、あぁ、今回も来て良かったと思う。この魚、何がある。

冬の終わりに捕った個体。 増水した川の岸近くの草が生えて浅いところに潜んでいた。 全長は10cm程度。

本種はいつもポツポツ捕れる程度。 川岸のえぐられたとろこでカワムツたちと一緒に捕ることができた。全長7cmくらいの個体。

冬の終わりに捕まえた個体。 全長約7cm。太陽光を浴びて鱗が薄い青紫色に光る。生えた草に挟まれ、流れがやや早くなったところの下流側にタモ網を構え、足で追い込んだ。

秋の河川中流域で捕まえた個体。 全長5cmを超えるぐらい。観察ケースに入れると落ち着かない。体をやや斜め下に向けて、ずーっと体を揺らしていた。

冬の初めに捕まえた。 全長5cmの幼魚。岸草の中に隠れていた。 この個体、幼魚の割には体側の黒点や斑模様が濃くて、同所で捕れる成魚に近く、表情もやや厳つい印象。

冬に捕まえた全長5cmの幼魚。 ちょっとした淀みにある岸際の草の陰でタモ網に入った。眼が大きくて幼さがあるが、キリッとしていてかっこええ。

冬に捕った全長5cmに満たない個体。 これくらいのサイズはとても可愛い。

冬の終わりに捕まえた未成魚。 全長4cmぐらい。流れがやや緩やかになった砂底の草の陰でポツリポツリとタモ網に入った。体が光を反射している。 尾びれにはハートマーク。

秋に捕った全長3.5cmの個体。

夏の個体の上下ツーショット。 同じ大きさの個体が10匹ぐらいの群れで泳いでいた。かわいい。

本種の雌雄は尻びれでわかる。 写真は尻びれが長く伸長しているので「雌」だ。産卵時に川底の砂をかき混ぜながら卵をばらまくのに役立つ。

繁殖期の雌の尻びれ部分を拡大。 この個体は卵をもっているようでお腹がふっくらしていた。尾びれが伸張し、生殖突起が発達している。

全長15cm程度の個体を真上から。

黒点が背面全体に散らばる。 印象はカマツカとモロコを足して2で割ったような感じかな。

小型個体を真上から。 明るい砂地では体色も明るくなる。背には黒色の斑点が散在する。

冬の終わり、 同時に捕れた全長4cmほどの幼魚。右(上側)が本種で左(下側)はイトモロコ。よく似てる。同時に捕れるから紛らわしい。

上で両者の違いを認識した上で、 この写真を見て・・・、どれが本種でどれがイトモロコかわかるかな? やっぱりよく似てる。

水中にいる小さな個体。 成魚は小さな群れで泳いでいる。体色や黒点による迷彩模様は毎度お馴染みだ。

同所で捕まえたカマツカと ツーショット。本種は地域によってウキカマツカと呼ばれるそうだが、こうやって比べてみると、確かに目やひれの付き方、体色などが似ている。 ウキカマツカというネーミング、結構しっくりくるかも。

ズナガ(頭長)の名の通り、 長い吻をもち、鼻先が尖がった形状の頭部に、黒点列が並ぶ独特の体がつながる。 ニゴイよりも原始的と言われるが、そんな特徴ある頭部の形状も体の模様もそう見えるから不思議やな。

頭部を拡大。 光の加減でシルバーメタリックに輝き、黒くて大きな眼が目立つ。口先に向かってスーッと尖がる形状だ。

8月に捕まえた雄。 頭部に追星が出ていた。 細い口ひげが見て取れる。

幼魚を正面から。

ユニークな形の頭部が強調される。 口には一対のひげがある。腹面は一様に白く、点列もない。

追星の出た雄を正面から。 笑っているようなやさしい顔をしている。かわいい~。

別個体を真正面から。 ムーミンやな。

15cm程度の個体を 並べて入れてみた。かわいいなあ。狭い場所に入れてごめんね。

カマツカと正面から。 なるほど、確かに形はよく似ている。両種とも淡水魚ファンの心をくすぐる魚だ。

last modified:2023/2/26
created:2012/1/7

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