飼育の準備(日本淡水魚向け水槽セッティング)

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シマドジョウがこんにちは せっかく捕ってきた魚ですから大切に飼育したいものです。 魚を新しく飼育する場合は、水槽を予め準備しておく方が望ましいでしょう。 しかし、魚を捕ってから飼育したくなって家に持ち帰り、慌てて飼育用水槽をセッティングするような場合もあろうかと思います。 そんなときは、魚たちをバケツやポリタンクなどにしばらくストックしておき、その間に水槽内の水を安定化させ、その後投入した方がより安全です。 しかし、これもあまり厳密なやり方はなく、私だったら水を入れてすぐの水槽にポチャっと入れてしまうかも知れません。
水槽のセッティングに関しては多くの書籍やサイトで解説がされているので詳細は省きますが、 ここでは日本淡水魚向けとしていくつかのポイントを記します。 日本淡水魚向けの飼育設備は熱帯魚向けのそれと同じで良いですが、過度に神経質になる必要はありません。

水槽のサイズ → 大きい方が望ましい

水槽のサイズは、投入する魚の種類、サイズ、個体数、水換えなどの世話などによるため、一概に言えないですが、大きい方が望ましいと思います。 水量は多い方が水質の悪化もゆっくりと進行し、水温変化も少なく、いわゆる水が安定するからです。 水槽が大きいと、投入できる魚のサイズや個体数、種類を増やすことができ、 逆に個体数を限れば魚がゆったりと泳ぐこともできるので、より自然な水辺の様子を模した雰囲気をつくることもできます。 もちろん、30cm水槽やそれ以下の小さい水槽で飼育することも可能です。盆栽の世界のように、小さな水の世界をつくっても楽しいかも知れません。 ただし水が不安定になりやすいので注意が必要です。

底の砂 → 濃褐色の川砂や田砂が好適

投入する魚にもよりますが、総じて底砂はあった方が良いと思います。魚が落ち着き、生物濾過のバクテリアの住みかとして機能するからで す。 砂質は採捕地の水底を参考にしてみましょう。 明るい色だと魚の色が薄れてしまうので、不自然にならない程度の濃い色が良いと思います。 お店には黒っぽい大磯砂がよく売られていますが、日本淡水魚生息地ではそのような礫や砂が一面にあるところを見かけません。 濃褐色などの落ち着いた色合いの川砂や田砂が自然な雰囲気で好適だと思います。

石や倒木、水草など → 目的に合わせてレイアウト

石や倒木、水草などを上手くレイアウトすると、採捕地の自然な水辺環境をつくり出すことができます。 多くの魚が石の隙間や枝の間などに隠れる習性があるので、大小の石や流木、水草などで隠れ場所をつくると魚たちも落ち着きます。 だたし、障害物が多すぎると隙間に突っ込んで出られなくなったり、衝突して擦り傷や骨折をしたり、それが原因で発病したりする場合もあります。 レイアウトは飼育しながらでも比較的容易に変更できるので、投入した魚の習性や水槽での様子を見ながらその都度改良をしていけば良いと思います。

飼育水 → 薄い塩水だと調子が良い

飼育水は水道水をベースにし、いわゆるカルキ抜きを入れて使用します。 日本淡水魚愛護会 によると、それに粗塩を加えて薄い塩水で飼育すればずいぶんと病気の発症が少なくなるとあります。 塩による殺菌効果と、浸透圧調整の負担が軽減するためと考えらるそうです。 これまで20種類を越える淡水魚を飼育してきましたが、実際、飼育水を薄い塩水に変えてから白点病などは全く発症しなくなり大変調子が良くなりました。 ただし、二枚貝はやや口の開きが悪くなり、水草は溶けやすいようにも感じます。 濃度は濃すぎず薄すぎず、ザクッとですが10L程度の大きめのバケツ一杯に粗塩大さじすり切り2杯程度で良いと思います。

濾過システム → 濾過力が大きなものを

水槽の飼育水は常時入れ替えることができないので、濾過機能はとても重要です。 物理濾過と生物濾過が十分に機能するしっかりとしたものを選ぶに越したことはありません。 濾過システムには、様々な種類がありますが、それぞれに特徴があるので自分で使いやすく用途にあったものを選択する必要があります。
投げ込み式は手軽で安価な器具で簡単に設置できますがディスプレイ感を損なうため、薬浴などの一時ストック用に使ったら良いと思います。 スポンジ式は濾過能力は他の方式に比べやや劣るように感じますが、卵や稚魚などを吸い込むことがないので産卵、稚魚育成用に好適です。 上部式はメンテナンスも簡単で濾過能力、酸素供給力も高く、優れた濾過システムだと思います。 底面式はメンテナンスがちょっと面倒くさいですが、安価で濾過能力も優れています。一般的な飼育環境としては上部式や底面式が総じて良いと思います。

加温器具 → 必要であれば急激な水温変化防止に使う

水温は水槽が置かれている室温や外気温に影響を受けます。水温に関しては、夏場の高温と並んで、季節の変わり目の急激な温度変化に注意が必要です。 屋外やプレハブ等の温度変化の激しい部屋で飼育している場合、特に春や秋に水温は1日の間で10℃以上変動することがあります。 淡水魚が生息している河川や池などの環境では、水温が短期間にこれほど大きく変動することはまずありません。 このような温度差は大きなストレスになり、それが原因で調子を悪くしたり、発病したりすることがあるようです。 その対策として加温器具は有効です( 日本淡水魚愛護会)。 ただし熱帯魚のように常時24℃以上などと設定する必要はなく、あくまでも急激な温度変化を防ぐことを目的とした温度設定で良いです。
なお、家の中で飼育している場合、あえて加温器具を使用する必要はない場合もあります。 屋内環境にもよりますが一般に人が生活している屋内の室温は、屋外と比べ1日間で大きく変動することが少なく、また水はゆっくりと温度変化するためです。

水槽照明器具 → 特に必要とは思いませんが・・・

室内で飼育する場合は、これも必ず必要なものではありません。天井からの室内照明で十分だと思います。 個人的な好みもあると思いますが、水槽照明を照らすと魚が驚いて落ち着かず、体色も色あせて見えるので、 窓からの自然光や室内照明でやや薄暗い方が自然な姿を観察できて良いと思います。 水草を入れている場合には、光合成のために強い光が必要になるので、水槽照明は設置した方が良いかも知れません。

その他 → 水温計やフタはつけるようにする

水温は日々の管理項目として大変重要です。水温計は水槽に必ずセットするようにします。 それから、ジャンプする種類も多いので、水槽のフタは必ず付けるようにします。

<参考・引用ソース>
●川魚入門、マリン企画、2001年
●秋山他、川魚 完全飼育ガイド、マリン企画、2003年
●川や湖の生き物の飼い方、ピーシーズ、2011年
●秋山他、川魚飼育のすべて、エムピージェー、2011年
日本淡水魚類愛護会

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