生き物の命について考えよう
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捕った魚の飼育を通じて得られるものは多い
魚を捕まえたら、持ち帰って飼育してみてはどうでしょうか。
水槽で泳ぐ魚たちの行動を観察すれば、一様に銀色で同じような形に見えた魚たちにもそれぞれ個性があることがわかります。
長く飼育することができれば、同じ魚であっても季節により体色や行動が異なることもわかるでしょう。
例えば、オイカワやタナゴの仲間は繁殖期に婚姻色を帯びて体色が一変します。
ヒレが鮮やかに色付いて伸びたり、顔の周りに追い星と呼ばれる白色のブツブツが出たりします。
攻撃的な性格になり他の魚を追い回したり、メスに卵を産んでもらうための縄張りをつくったりするなど、行動パターンにも変化が見られます。
ただし、生き物の飼育には責任と覚悟が必要です。水槽の中の小さな命は、飼育者に委ねられています。
生かすも殺すも飼育者次第であり、一旦飼育をはじめたら、最期まで責任をもって飼育する必要があります。
適切な世話をする術を身につけ、エサやりや水換えなどの世話を命が続く限り続ける根気も必要です。
そしてもし、飼育を続けることができなくなり、さらに引き取ってくれる人がいなかった場合には、例えば生ゴミとして処分する覚悟も必要です。
「かわいそうだから」という理由で、その辺の川や池などに放流することは許されません。
慣れてコツがわかれば飼育は決して難しくありませんが、最初のうちは大切に飼育していたつもりでも失敗して、悲しい思いをすることがあるかもしれません。
エサをやりすぎて水質を悪化させた結果、死んでしまったとか、いつも同じ人工飼料ばかりをあげた結果、栄養が偏り病気になってしまったとか、
混泳魚の選択が悪く、いつの間にか食べられていたり、ヒレを囓られたり、目玉を食べられたり・・・。
これらは大変悲しいことですが、それはそれで良い経験でもあるのです。
良いことも残念なことも、生き物の飼育を通した様々な経験から、飼育者自身が身をもって学ぶことは多く、
命が繰り広げるダイナミックさ、小さな命のはかなさやもろさ、命の大切さを感じ、理解することができます。
私は特に子供たちにこのような経験をさせてあげるべきだと思っています。
生き物を育てていると、上述したような予期せぬ感動や、意外な驚き、自然の不思議さ、命の尊さを感じる場面が数多くあります。
これこそが図鑑では得られない「生きた体験」であり、知的好奇心が育まれると共に科学的なものの見方や考え方を養う力をつけると思うからです。