巻き貝の仲間

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水田、用水路、ため池や河川など、水のあるいろんなことろに生息しています。 水田の泥底を気ままに這い回り、落書きを残しているタニシの仲間は可愛いものです。 冷たい水が流れる山間部などに行くとカワニナがたくさん石に貼り付いています。 琵琶湖淀川水系には固有種を含むたくさんの淡水貝類が生息していますが、中にはこの数十年で急速に生息域を拡大し、 各地で駆除活動が行われている国外外来種スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の例もあります。
ヒメタニシ
マルタニシ
オオタニシ
カワニナ
チリメンカワニナ
モノアラガイ
イシマキガイ
スクミリンゴガイ(国外外来種)

ヒメタニシ

ヒメタニシ タニシはメダカやドジョウと同じく田んぼでは馴染みの生き物だ。 日本には4種のタニシが生息しているが、本種は汚染にも強く池や用水路など最も多様な環境に生息しており、見かける機会が多い。 本種は田んぼ、池沼や水路などを好み、水路のコンクリート壁に付着している姿もよく見る。 汚染にも比較的強い方で、淀川のワンドなんかにも数多く生息している。殻長はやや尖り、殻は薄褐色から薄緑褐色で殻高約3.5cmと小型。 結構変異にとんでいて、平滑な殻表面をもつ個体、螺肋を数本巡らす個体、毛を生じている個体などいろんな個体がいる。 藻類を生やし泥をかぶっているとまるで小石と間違うくらいだ。石や泥表面についた付着藻類を食べている。 睡蓮鉢などでメダカを飼育していると、鉢の壁面に緑色の長い藻類が発生することがあるが、本種を1匹入れいているだけでかなりその発生を抑制してくれる。 雌雄は触角で区別することができ、右触角が曲がっているのがオスだ。卵を産むのではなく30個程度の稚貝を産む。

マルタニシ

マルタニシ 極度に乾燥しない水田や用水路、小川やため池などで見られる丸っこいタニシ。殻高は4cmくらいだが、中には6cmにもなる個体もいるそうだ。 他のタニシより美味いらしく、貴重なタンパク源として食べられていたそうだ。水質汚染に弱いためか、上流域に見られることが多いように思う。 茶褐色で全体的に丸みを帯び、小さな穴の跡が列状に数本見られる。初夏には10~20匹の稚貝を産む。 交尾後、受精された卵は育児のうと呼ばれる殻の中にある袋の中で育ち、親と同じ貝殻をもった体になると産み出される。 産み出されるとすぐに中の子貝は薄い殻を破って孵化する。幼貝は1mm程度でそろばんの玉のような形をしている。 ヒメタニシを見慣れている私にとって、本種のこの外形はちょっとした驚きだった。ホント、丸くてかわいいのだ。 越冬時に適度に湿った水田がある降雪地域や山間部を除くと、近年は圃場整備が進み冬季の乾田化が進んだことなどを理由に年々減少している。

オオタニシ

オオタニシ 水田や用水路でも見られるが水量と水質の安定したため池に多い。 近年の大阪では本種が生息しているところは限られているようで、あちこちで見ることができるような種ではなくなっている。 殻高は7cmに達し、日本産淡水巻き貝では最大の種だ。 全体的に丸っこい形をしているが、マルタニシほどではなく、体層の周縁が角張っていることが特徴。 春になり水が温んでくると出てきて、初夏に幼貝を産む。 幼貝は黄緑色でマルタニシにより似ているが、角が角張っていてまるでそろばんの玉のようなので区別は可能。 冬になると深いところに移動し、山間の水田などでは泥の底に潜って越冬するそうだ。 写真は大きなため池で見付けた殻高6.5cm程度の個体。外来種じゃないかと疑うほどにデカイ。 泥臭そうだけど、この大きさならそりゃ食料にもなるわっ・・・。

カワニナ

カワニナ ゲンジボタルの幼虫が好んで食べるエサとして有名。殻は細長く殻高は2~4cmくらい。 殻の表面には細かい螺条脈が並ぶがそれ以外に目立った彫刻はもたない。 水がきれいでやや冷たい流れのある川や水路などに広く生息するが、山間部であれば田んぼなどでも見られる。形や色はバリエーションに富んでいて、 一つの河川であっても流速がある上流域には太丸型が、下流域では細長型になるそうだし、褐色、緑褐色、黒っぽいもの、筋模様があるものなどいろいろだ。 本種も昔は食用にされたそうだ。 日本にはカワニナの仲間が30種類ほどいるらしいが、最も普通にみられるのが本種カワニナである。

チリメンカワニナ

チリメンカワニナ 川や池などの砂泥底や泥底に生息する。カワニナに比べるとより流れの緩やかなところを好むようだ。 混生している川も結構多いように思うが、そのような場合はカワニナが流心近くの瀬に、本種は岸近くの水際などにいる。流れのない淀川のワンドにも多い。 殻高は2~4cmでカワニナとほぼ同じくらいであるが、はっきりした縦肋(縦の凹凸筋模様)があることが特徴だ。 本種もホタルの幼虫のエサになるが、ホタルは本種よりもカワニナの方を好むらしい。

モノアラガイ

モノアラガイこれもよく見かける巻き貝のひとつ。 池沼や水田、用水路、流れが緩やかな川の水草や石の表面などに付着していて、水草が繁茂しているようなところに多い。 殻高は15~20mmくらいで、体層が大きく発達し、殻口が大きく螺塔が極めて低い。タニシのように殻口にフタをもたない。 つまんでつぶそうと思えば簡単につぶせるほど殻は薄い。外から水草を持ち帰るとだいたい本種が一緒に付いてくる。 気をつけたつもりでも、水槽に入れてしばらくするとゼラチン質に覆われた卵塊がところどころに見られるようになり、そのうち稚貝であふれてしまうのだ。 一緒に泳いでいる小魚たちに影響はないのだが、意図せず入り込んだ生き物が水槽にいるというのは気持ちの良いものではない。 一般には水底や水草などをはって移動するが、水面に逆さにはりついて移動することもある。 ちなみに、カワニナはゲンジボタルのエサになるが、本種はヘイケボタルのエサになる。

イシマキガイ

イシマキガイ 汽水域、淡水域の岩や転石などの上に生息する。殻径2cmくらいのほぼ球形をしていて、大きな個体は殻頂部が欠けていることが多い。 殻表面は黒褐色または緑褐色で、微少な三角の模様が密に拡がっている。フジツボなどを背負っているような個体も見られる。 岩石の表面を這って、そこに付着した藻類などを食べる。その食性から観賞魚水槽のタンクメイトとして壁面のコケ取り用に販売、利用されている。 両側回遊性で、河川で孵化した稚貝は海に下り、植物プランクトンなどを食べる浮遊生活した後に、汽水域に遡上、着底して幼貝となる。 成長しながら河川の下流部から上流部へと遡上していくため、上流域に行くほど大きな個体が見つかるという訳だ。 写真は淀川汽水域の転石の側面上部にいた個体で、干潮時に姿を現した。 周りを見渡すとあちこちの石の上や側面に小さいのから中ぐらいのまで本種がたくさん貼り付いていた。

スクミリンゴガイ(国外外来種)

スクミリンゴガイ ジャンボタニシとも呼ばれる通り、殻高は5cmにもなる大型の巻き貝。 平野部の水田でよく見られるヒメタニシなどに変わり、今では我が物顔で這い回る本種が多く見られる。淀川のワンドにもいる。 中南米原産で1981年に食用として日本に持ち込まれ養殖されたが、採算が合わず廃業となり、 放棄された養殖場から逃げ出したり投棄されたりして広がった。 植えられたばかりの若いイネも食べるため、イネがまばらに育った水田すら見られるほどで、食害が深刻化している。 初夏から秋にかけ鮮やかなピンク色の卵をイネの茎や用水路の壁などに産み付ける。何ともヘンテコな目立つ色で、日本の田園風景にはとてもなじまない。 以前、朝日放送のナイトスクープという番組で、本種の卵を食べたいという依頼があった。 本種はそもそも養殖用として持ち込まれたので「食べて駆除」を少し期待したが、この番組をもってしても臭くて食べられなかったようだ。 世界の侵略的外来種ワースト100のひとつ。各地で駆除イベントなどが開催されている。

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