チョウセンブナ Macropodus
ocellatus ~一部地域に残る朝鮮由来のひれ長闘魚~
ゴクラクギョ科ゴクラクギョ属
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【生態】
平野部の浅い池沼や水田地帯の水路など、止水または流れがほとんどない場所に生息する。水質の悪化にも、寒さにも強い。
全長は5~8cmほど。体は側偏し、褐色から黒褐色で、体前部にくの字に曲がる横帯をもつ。鰓蓋後縁には青緑色の斑がある。
背びれと尻びれの基底が長く、尾びれの後縁は丸い。
鰓の上部にラビリンス器官という特殊な呼吸器官をもち、空気中の酸素を取り込むことができる。
そのため、溶存酸素の少ない水域でも生息できる。
繁殖期は初夏で、雄は背びれ、尻びれ、尾びれが著しく伸長し、青を基調とした美しい婚姻色を帯びる。
雄は岸近くの浮草や抽水植物の茂った場所で、口から気泡を吹き出して浮き巣をつくり、雌がその中に産卵する。
雄は卵や仔魚を保護し、その期間は近づく魚を激しく攻撃する。別名「闘魚」はその習性による。
雑食性で動物プランクトン、アカムシ、イトミミズなどを食べる。
なお、フナと名がつくがフナではなく、熱帯魚のベタなどの仲間。観賞魚として流通することがある。
【移入の経緯と現状】
中国東北部、朝鮮半島といった東アジア東部に分布する。日本へは1914年に観賞目的で大韓民国から輸入された。
関東では飼育個体が1917年に洪水により野外に逸脱し、岡山では日本血吸虫駆除のために放流されるなど、
1970年代までは各地の野外水域へ移入された。
東北、関東、甲信越、東海、中国、四国地方で繁殖したが、圃場整備による生息環境の悪化や農薬使用などにより、生息数は激減した。
今では、茨城県、新潟県、長野県、愛知県、岡山県などの一部の水域に局在しているのみ。いったんほとんど姿を消し、現在も
限られた場所に生き残っていることから、希少魚のような扱いを受けることもあるようだが、本種は国外外来種であることを忘れてはならない。
観賞魚として流通するほどの美しさをもつことも気がかりだ。
影響の度合いは不明だが、生息地では在来の生態系に何らかの影響を与えていることは間違いない。駆除や拡散防止が必要な種であることを記しておく。
春のはじめの個体。全長は4.5cmほど。
流れがなく水が滞留する泥底の狭い水路を岸からタモ網ですくった。
水は濁り汚れていたが、泥もドブのような嫌な臭いはなく、同所ではドジョウやモツゴ、タモロコ、ミナミメダカなどが捕れた。
体は褐色で背びれと尻びれの基部が長い。
体側前方には暗色の横帯があり、ゆるく「くの字」型に曲がる。鰓蓋の後縁にある青緑色の斑がよく目立つ。
枯れた枝が覆う水路で捕まえた。
この個体の全長は約5cm。水田からの落ち込みで深くなったところを泥ごとタモ網ですくった。
すくったときは薄褐色だったけど、興奮すると体色が濃くなるのかな。ほほは薄い紫色に染まっている。
ケースに入れると、
体を斜めにする。頭を上にしたり下にしたり。この写真みたいに、空気を吸うように口を突き出す。
吻は尖り、小さな口は上を向く。
鰓蓋の後縁に眼のような青緑色斑があるのは、オヤニラミと同じだね。
本種も繁殖期には近づく魚を激しく攻撃するから、その攻撃から眼を守るために発達したのかな。
この顔つきは日本の淡水魚にはない雰囲気だ。
体は側扁しているので、
上から見ると細長い。体前方の暗色横帯が斜め縞々模様。
正面から。
頭部から背面はは直線的で、口は上につく。上向きのおちょぼ口。日本の野外にいてはいけない魚だけど、かわいい。