カジカ Cottus pollux
カジカ科カジカ属

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カジカ

【生息場所】 河川上流域に生息し、清涼な流れの瀬の石の下に多い。一生を河川で過ごす。
【外観・生活】 日本固有種で全長15cm程度になる。体は薄褐色から暗褐色まで変異に富んだ迷彩色をしている。 岩肌のくぼみなどにペッタリとくっついていると、周囲の岩石と区別がつかない。体に鱗はなく、体の割に頭が大きい。 眼は前向きについていて、たらこ唇だ。胸びれは大きく広く発達し、軟条はすべて分枝せず、腹びれはハゼ類のように吸盤状になっていない。 浮き袋を退化させ、底性生活に特化するように進化しており、群れで行動せず、同種同士が出会うと威嚇し合うことから縄張りをもつとされている。 繁殖期は3月から6月で、瀬にある大型の浮石の下に産卵し、卵は雄が保護する。カジカ大卵型と呼ばれていた通り、卵は3mm程度と比較的大きい。 孵化した仔魚は川を流れ下らずに産卵床周囲の礫の間で生活し、卵黄を吸収し終えた頃に流れの緩やかな平瀬の礫底に移動して成長する。 1年で4~5cm、2年で約7cmになり、2~3年で成熟する。 成魚は夜行性で、水底でジッと待ち伏せし、餌となる水生昆虫や甲殻類、小魚などを見つけると大きな胸びれを使って俊敏にダッシュして丸呑みする。 鈍そうに見えるが石の間を上手に泳ぎ、動きはかなり素早い。
【捕る】 底生で岩などにピッタリと体を寄せているので、タモ網をしっかりと底につけて構え、浮き石をどかして捕る。 狭く水が流れているところなら、瀬尻にタモ網を構え、上の方から足で石をガラゴロどかしながら下ると入る。 また、短竿の先につけた釣り針にイクラをかけて、箱めがねで水中を覗きながら本種がいそうな石の隙間に突っ込んで見釣りする方法もある。
【飼う】 飼育は難しい。きれいな水を好み水温上昇に弱い。夏季の高水温では全く補食せず痩せていき、やがて死んでしまう・・・。 飼育にはクーラーは必須だろう。
【その他情報】 カジカ類は遺伝的に異なる3つに分けられていて、河川上流域に生息する陸封性の本種と、 中・下流域に生息し両側回遊性のカジカ中卵型およびウツセミカジカ(カジカ小卵型)があり、現在ではそれぞれ別種とみなされている。 本種は形態的には他のカジカ(中卵型、ウツセミカジカ)よりも胸びれ条数が少ないこと (本種は12~14本、中卵型が13~16本、ウツセミカジカが15~17本)などで区別される。 カジカの産卵は3種ともに瀬の礫底の浮石の下で行われるが、工事などが行われると浮石の隙間に土砂が入り込み、産卵が阻害される。 水質にも敏感で悪化するととたんに姿を消すデリケートな魚でもある。健全な河川は減少し続けているので、近年、数を減らしているそうだ。 なお、カジカは「河鹿」の意で、鹿のように美味い魚だからという説がある。 唐揚げ、みそ汁、鍋、佃煮などにされ、実際に食べると美味い。漢字で「鰍」と書くのは、秋が旬だからなのかな。
【コメント】 流れが速いところに生息している魚と聞くと、俊敏に泳ぐアユのようなスラッとした流線形の”かっこいい”魚がイメージされるが、この魚は違う。 頭でっかちで”ぶさかわいい”。やや前向きについた眼にたらこ唇で、睨みを利かせているように見えることもあるが、 とても愛嬌のある顔で、正面から見ると「ミニラ(ゴジラの息子)」に似てる。 背から見ると頭部はずんぐりした三角形で胸びれがとても大きく、体はまるで矢印の形に見える。 体に鱗はない。鱗がない魚にはナマズやヒイラギなどがあるが、本種はこれらと異なってヌルヌル、ベタベタもしない。 体色は緑褐色のものや赤っぽいもの、白黒のものまでいろいろ。周囲の石の色に合わせ、体をくねらせ姿をくらます忍者みたいだ。 水底にいてハゼにも似た体形をしているが、ハゼの仲間ではないので腹びれは吸盤状になっておらず、石などにくっつくことができない。 あの激しい流れの中でよく流されず、上手に泳げるものだと感心する。

春に捕った全長10cmの個体。 石がゴロゴロしている瀬で捕れた。体色は濃く赤褐色をしている。

春に捕った全長7cmの個体。 大きな胸びれが特徴的だ。

早春に捕った雌。 水が落ち込む淵の最深部でタモ網に入った。このコロッコロの体形は、繁殖期でお腹には卵がいっぱいだからだろう。 ここまでお腹が大きいと動きにくそう。

山間の河川で捕った全長7cm程度の個体。 タカハヤもたくさん捕ることができた。

春に捕った全長6cmの個体。 頭部や胸びれがやや小さく感じるのは私だけだろうか・・・。

全長5cmの個体。

4cmほどの個体。 ひれを広げて、はいポーズ。

同じく4cmの個体。 上の個体よりもさらに上流で捕れた。餌が少ないのだろうか、痩せている。

夏のはじめに捕まえた個体。 全長7cm程度。ムシムシした日に冷たいきれいな水が流れる河川上流部での魚捕りは気持ちいい。水が流れる音も気持ち良いしね。 ただ、タカハヤとか本種とか魚種は少ないけどね。

上と同じときに捕まえた個体。 薄く流れる瀬の下流側にタモ網を構えて、足で石をゴロゴロさせながら追い込む。 立ち寄った10分程度の短い時間だったが、全長5~8cm程度の小型個体がぱらぱら捕れた。

初夏に捕まえた個体。ここで捕れた中では最も大き くて全長8.5cm程度だった。あまり餌が捕れていないのかお腹がへこんでいて少し痩せているように感じた。

全長6cmぐらいの個体。 いつもどおりのやり方で、瀬の石をひっくり返すと下流に構えたタモ網に入る。体には不釣合いなほど大きな胸びれをもつ。

夏に捕まえた。全長は7cmくらいだった。 幅の狭い観察ケースに入れると、左右の胸びれを手を使うようにつっかえて、クネクネしながら後ずさりする。 魚とは思えない面白い動きだった。

上と同じ場所で捕まえた個体。本種は瀬を好む。 下流側にタモ網を構え、ゴロゴロと石を動かすと捕まえることができる。サイズは上の個体より一回り小さい。

岩盤の上を滑り台のように水が流れる所で捕まえ た。 全長は9cmほど。夏でも冷たい水が流れ、淵ではアユ、オイカワ、カワムツ、ムギツク、カマツカなども見られた。

秋の初めに捕まえた全長12cm程度の個体。 網をやっと構えることができるくらいの強い流れがある瀬で捕まえた。食べるには良いサイズだ。

秋に捕まえた個体。体色はバリエーションに富む。 この個体は明暗がはっきりしたまだら模様だ。

前日の雨で少し増水した河川で捕まえた個体。 全長10cmくらいで体色が赤っぽい。瀬尻にタモ網を構え、瀬の部分を石をどけながらズリズリ追い込むように歩くと入る。

秋の終わりに捕まえた個体。 こちらを見て微笑んでいるようだ。チャームポイントはやっぱり「たらこ唇」。

全長6cmくらい個体。 普段水が少ない河川では、雨後などの水量がやや多い方が捕まえやすい。ほんの数m程度の区間だったが、たくさんタモ網に入った。 ここは良好な環境が保たれているようだ。

比較的スマートな個体。 全長は7.5cm程度だった。

流れの強い瀬でタモ網に入った。 いつものやり方で大きな石をごろりとして捕る。全長5cmを超えるくらい。

秋に捕まえた体が白黒の個体。 はっきり白黒だったので少し驚いた。全長は5cmくらい。特に石が白いとかないんだけど・・・。

冬に捕った全長約8cmの個体。 護岸工事が行われ、生息を心配していたが、工事終了後も確認できた。

全長約8cmの別個体。やや赤っぽい。

冬に捕った全長約6cmの個体。 体色は黄色みが強い。

全長約6cmの別個体。 同じ河川でも周囲の明るさや石の色などで体色が異なる。この個体はずいぶん明るい体色だった。

同じく冬の個体。 全長は6cm程度。第一背びれが明色に縁取られている。

全長3cmの幼魚。 幼魚はこんな白っぽい体色の個体が多いように感じる。

全長3cmほどの別個体。 ひれを全開して、まとった着物を広げて見せているような仕草に見える。

早春に捕まえた全長3cm程度の個体。

秋の終わりに捕まえた全長4cmに満たない個体。 大中小さまざまなサイズの個体を捕ることができた。

初夏のツーショット。 大きい方の個体で体長5cm程度。やや赤っぽい色をしている。

全長12cmを超える老齢の個体。 全体的に痩せていて、胸びれの条が曲がっている。

尻びれは第二背びれと同じくらい大きいんだね。 この写真で初めて知りました・・・。

腹びれは2つに割れていて、 ヨシノボリのように吸盤状になっていない。腹面は白い。

それは腹側から見ると更によくわかる。 各ひれはトゲトゲしている感じ。また腹部を覆う筋肉が薄く、大きな獲物を飲み込んだときは、お腹を大きく膨らませ対応することができる。

大型の個体を真上から。 捕まえた場所の色とそっくり。 何かに寄りかかり体をぴったりとくっつけないと落ち着かないようで、観察ケースの隅っこに体を曲げてひっつくように静止することがある。

大きな胸びれが目立つ。 体をクネッと曲げているが、観察ケースに入れると、寄り添うところを探して、クネクネクネと移動することがある。

頭部を横から。 この大きな胸びれは獲物に向かってダッシュするための強力な推進力を生み出す。ちなみに胸びれの条数は13本だ。

この個体はえらのあたりにトゲが確認できる。 はじめて気付いたけど、こんなのってあるのかな?アユカケみたいで珍しい?

体色の明るい個体を斜め前から。

何か・・・顔を赤くして、怒ってる?

全長12cmの個体を斜め正面から。 大きな頭だなあ。ブサかわいい?

別個体を正面から。 眼は前向きについている。ゴジラの息子、ミニラにそっくり。

早春に捕まえた雌。 繁殖期を向かえ、お腹が卵で大きくなっていた。「ほら、こんなに大きいのよ」って見せてくれるみたい。

大きな顔が隠れているゾ・・・。

秋に捕まえた個体を 油で揚げて美味しく頂きました。

last modified:2022/3/6
created:2012/1/7

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