コガネチワラスボ Taenioides gracilis
ハゼ科オクスデルクス亜科チワラスボ属

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コガネチワラスボ

【生息場所】 干潮時に出現する河口域の干潟で、好気性の泥底から砂泥底に生息している。
【外観・生活】 全長は15cmほど。体は細長い円筒形で力強く動く。 背びれと尻びれの基底は長く、後端が尾びれとつながっていてウナギのような体形をしている。腹びれは吸盤状で、 ちゃんとハゼの仲間だ。体色は暗い赤銅色で光の加減で黄銅メタリックに反射する。 砂泥底の中で生活しているため、眼は退化してとても小さいが、上に向いて開く大きな口をもち、鋭い歯を備えている。 下顎にある3対のひげ状突起も特徴のひとつで、変異はあるようだが口先から2本、3本、2本の順に並んでいる個体が多い。 普段は泥底に巣穴を掘って潜って生活し、カニなどの甲殻類を食べている。
【捕る】 河口干潟の泥底から砂泥底を泥ごとタモ網ですくう。
【その他情報】 これまでチワラスボとされてきた種の中には遺伝的に異なる4種(A~D)が存在することが明らかにされていた。 形態的には下顎にあるひげ状突起の本数や背鰭軟条数などでおよそ区別でき、 このページの個体はチワラスボC種に該当する。 2021年7月、C種については「コガネチワラスボ」という新標準和名が提唱された。 本種のページを公開した日と標準和名が提唱された論文の公開日が同じって何たる偶然・・・。 良好な泥環境がないと生息できないため、干潟環境の生物指標となる。 護岸整備や埋め立てなどによる生息地の消失、ダムによる土砂供給量の減少による生息地の減少や底泥質の変化などに伴って、 他の干潟生物と同様に個体数を減らしている。 ちなみに有明海で漁獲され食用にされるよく似た魚はワラスボ(Odontamblyopus lacepedii)であり、チワラスボ類でもない別種。 本種は一般に食用にされない。たぶん食べて美味くないからやろな、知らんけど。
【コメント】 河口干潟の軟泥底は足がとられてとても歩きにくいし、どろどろになるし、足が沈み込んで動けなくなるのが怖いし、踏み入りたくない場所。 本種を含むチワラスボの仲間はそんな場所に深く潜って生活していると思い込んでいて、自分のタモ網に入ることはまずないと思っていた。 なので、最初に捕れたときは声を出すほどびっくりした。 タモ網ですくった場所は、小さな礫が混ざるようなやや硬い砂泥底に軟らかい泥が浅く積もったようなところで、 怖くて躊躇するほどの深い泥の中ではなかったからだ。それでも、夏で活動量が多いからたまたまそんな場所にいたんだろうと思ったが、 ちょっと調べてみれば、もともと底質は軟らかろうが硬かろうがそんな拘りはない種だとわかった。納得。 容姿はインパクトがある、ありすぎる・・・。顔つきはもちろん、血が透けて見えるような赤い体色も、 グネグネと観察ケースから何度も飛び出しそうになる力強い動きも、噂に違わず地球外生命体「エイリアン」だ。 「すっごいな、この容姿」と思いながらしばらく眺めていたが、そのうち正面の顔を見て「意外とかわいいやん」と口から出た。 正面から見ても真横から見ても、見ようによっては”きもかわいい”。

全長15cmほどの個体。 干潟の泥でタモ網に入った。ウナギのようなニョロニョロした体つきで、赤銅色をしている。ハゼの仲間とは思えないね。

トップ写真と同じ個体。 全長14cmほど。軟らかい泥底をすくうとタモ網に入った。赤銅メタリックな体色が印象的だった。

軟泥で捕まえた 全長12cm程の個体。明るいケースに入れるとあっちへこっちへ動き回り、頭を持ち上げたところ。 太陽の光を浴びて体が黄銅色に光る。泥に混じってミミズのような小さな個体もたくさん捕れた。

同時に捕れた 全長5cmほどの個体。体色は赤黒い。泥砂の中からこの個体が出てきたとき、でかい太ミミズだと思った。

秋のはじめに捕まえた。 全長3cmに満たないぐらいの個体。体は透き通って赤く、アカムシみたいだった。

細長い体でクネクネ動く。 頭の形は違うけど、上から見るとウナギのようだ。

泥干潟で捕まえた。 頭部が三角形に近いウナギと比べると、吻には幅がありやや四角い形。体もやや短い。

体前半部分が 特に黄銅メタリックに輝く。”コガネ”の名の由来だ。背びれと尻びれ基底は長く、後端で尾びれとつながる。

頭部を拡大。 眼は小さくて口は上向き。頬と鰓ぶたあたりが黄銅メタリック色。横から見ると顔は犬みたい。腹びれは意外と大きく吸盤状。 ケースに入れて観察すると落ち着きなく右に左に動き回る。体をスッと止める際に吸盤状の胸びれを使っているようだった。

顔は 皮皺(ひしゅう)と呼ばれる皮膚のひだがある。 泥の中では眼はあまり役にたたないので、眼はとても小さくて退化的。胸びれは透明で円い形をしている。

小型個体の頭部。 血のような赤さが皮膚から透けて見える。やっぱり犬に見える。 チキチキマシン猛レースのケンケン、ハウルの動く城に出てくる犬みたいな感じ。人面犬にも見えてきた。

眼は退化していて黒点として 確認できるレベル。 皮がしわになった部分がある。

口には歯が並び、 下顎にはひげ状突起がある。 2本、3本、2本の順で合計7本だ。胸びれは円い形状をしている。

有明海で有名な ワラスボほどグロテスクではないが、ニューっと細長くてほぼ口だけのこんなのが捕れたらびっくりするよね、普通・・・。

last modified : 2023/10/18
created : 2021/7/26

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