ユゴイ Kuhlia
marginata
ユゴイ科ユゴイ属
【生息場所】
河川汽水域から淡水域にかけて生息する。
【外観・生活】
全長は20cmくらいになる。体は細長い楕円形で強く側扁する。体は銀白色でギラギラしており、体側上方に不規則な黒色斑が散在する。
うろこは黒く縁取られ、ひとつひとつがよくわかる。眼の上方はオレンジ色で、背びれ、尾びれ、尻びれの一部もオレンジ色をしている。
それらのひれには黒斑があり、そのすぐ外側は白い。仔稚魚は海で成長し、全長25mmくらいで河川に進入するそうだ。
表層や中層を活発に遊泳し、落下昆虫や流れてくる水生昆虫、小型の甲殻類などを食べる。
【捕る】
秋になると幼魚が河川の淀みなどに出現するので、タモ網で捕まえる。
【その他情報】
黒潮の影響を受ける南日本沿岸部に分布する。
沖縄の河川などでは河口域から渓流域まで見られる普通種のようであるが、九州以北で成魚が見られるのはまれで、
紀伊半島の河川では秋を中心に幼魚が見られる程度のようだ。国外では台湾、フィリピン、インドネシア、ポリネシアに分布する。
静岡県伊東市に、海に通じ温泉が出ることでも知られる浄ノ池に多く群泳していたことから、ユゴイ(湯鯉)の和名が与えられたそうだ。
そこではかつて国の天然記念物に指定されていたが、1958年の台風の影響と温泉湧出停止により本種はいなくなって、
1982年に指定解除されている。ちなみにコイと名はつくがコイの仲間ではなく、スズキの仲間だ。
【コメント】
秋の河川、流れ込みの脇に枯れ枝が集まっているところがあったので、ヨウジウオの仲間でも捕れないかと思ってタモ網を入れてみた。
ガサゴソしてからすくい上げてみると、オイカワの稚魚に混じって見慣れない銀白色の小さな魚が入っていた。
尾びれ上葉と下葉にある大きな黒色斑が目に入ったので、かつて海で捕まえたオオクチユゴイの幼魚かと思ったが、
手に取るとひれにオレンジ色や白色がある。これは新しい種類との出会いに違いないと、わくわくした。本種も南方系の魚。
親魚はほぼ見られないということなので、この個体も南西諸島などで生まれ、流れ藻などに寄り添い黒潮に乗ってやってきたのだろう。
小さな冒険家との出会いに感謝。
秋、干潮域の少し上流でタモ網に入った。
全長3cmに満たないくらいの小さな個体だ。体は全体的に銀白色でギラギラしていて、ひれの黒色斑がよく目立つ。
秋の初めに汽水域で捕まえた数cmの幼魚。
淵でオイカワの幼魚たちと泳いでいる姿を見つけたので、タモ網で下からすくって捕まえた。
体は強く側扁し、上から見ると細長い。
黄褐色をベースにうろこを縁取る黒色模様や頭部の模様があり、どこか南国チックに見える。
眼は大きく、口は上を向く。
頭部には黄褐色のウネウネ模様が見られる。
created:2018/11/23